ゴードン市庁の占拠
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/12/20 13:18 UTC 版)
「レイモンド・イエローサンダー」の記事における「ゴードン市庁の占拠」の解説
まずデニス、ラッセル、レオナルドの三人が先頭に立ち、徒歩でゴードンに入った。保安官、州警察、FBIが暴動鎮圧装備で出迎えたが、手出しはしなかった。数人の白人がビールの缶や爆竹を投げつけたが、すぐに逃げた。続いて抗議団の一斉行進が始まった。人口2000人のゴードン市は、「インディアンの集団が迫ってくる」との報にパニック状態となった。伝統的な衣装を着て、星条旗を逆さに掲げ、太鼓を叩きながら中央大通りを行進してくるインディアンたちの姿を見て、200人の白人住民たちが、着の身着のままで町から逃げ出した。AIMは市のホールと市長室を占拠して、決起集会を開き、当局の役人たちを招いて、以下のような要求書を突きつけた。 イエローサンダーを再検死すること イエローサンダー殺害犯を再逮捕し、第二級ではなく第一級の謀殺罪で起訴すること 今後、インディアン関連の犯罪事件を公平に捜査すること 市を埋め尽くしたインディアンの猛抗議に、当局は再検死を受け入れた。レイモンドの墓から棺が掘り起こされ、デニス・バンクス、ラッセルとテッドのミーンズ兄弟、レオナルド・クロウドッグ、シーベルト・ヤングベア酋長、レイモンドの母親と妹の立会いのもと、遺体が検分された。検死はAIMの推薦する日系人検察医が行った。レイモンドの死体にはタバコの火を押しあてた痕があり、頭蓋骨は砕けていた。拳やブーツの先、金づちのような鈍器で殴られた跡が全身に残っていた。 白人に殺されたインディアンによくあるように、去勢されているのではないかとの心配はあったが、今回はそれはなかった。検察官が「思ったより悪い状態じゃないね。彼は去勢されてはいない」と述べると、インディアンの女性がこう答えた。「おお、それじゃレイモンド・イエローサンダーはまだ生きてるってのかい?」 大勢のインディアンたちが、鎮魂のために、後に「AIMの歌」となる歌を歌った。 AIMとインディアンたちはゴードン市に一週間滞在し、ヘアー兄弟の死刑と、市警察署長の罷免を求め、「ゴードン人権問題会議」を組織して、インディアンへの差別案件に対する公聴会を開いた。白人警官によるインディアンへの迫害暴力の実態をつきつけるため証人審問を行い、インディアン少女を連続強姦したゴードン市警察の白人警官ジョン・ポールを免職処分とさせた。さらに教育現場に於ける差別案件が議題に挙げられ、伝統的なインディアンの長髪に対する教育現場の短髪強制などの案件について、是正抗議が教育委員会に出された。また、未成年のインディアンを成年囚人と同じ刑務所に収監するという差別制度を撤廃させた。 AIMはゴードン市にAIMの支部を開設し、インディアンの被差別案件に対する情報ネットワークを置いて、一週間にわたる市庁舎の占拠を解いた。
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