コーティング・機能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 21:48 UTC 版)
レンズ表面に施されるコーティングや素材により機能を持たせたレンズも存在する。カタログ等に表記される名称はメーカーによって異なる。現代ではコーティングや機能をオプションとすることで標準価格を抑える販売手法が主流となっている。 紫外線カットコート プラスチックはそれ自体に紫外線を通しにくい性質を有するが、よりカット率を高めるためコーティングが施される。 紫外線カットの眼鏡レンズは、バイオレットライト(波長が360〜400nm)もカットするが、バイオレットライトに近視の進行を抑制する効果があるとして、メガネによる紫外線カットが近視を増加させているという報告もある。これに対応してバイオレットライトを選択的に透過するレンズも登場している。さらには、紫外線そのものに近視抑制効果があるとする説もある。 ハードコート レンズに傷がつくのを防止する。ハードコートの技術が開発される前のプラスチックレンズは極めて傷つきやすいため販売量が伸びなかったが、ハードコートが施されるようになってからは実用上問題ない傷つきにくさを得、販売量でガラスレンズを凌駕するに至った。現在ではハードコートの施されていないプラスチックレンズは生産されていない。 汚れ防止 水や皮脂を弾きやすくすることで、汚れにくく拭き取りやすくなる撥水コート、湯気で曇らない防曇コート、ほこりが付きにくい帯電防止コートなど。防曇コートは付属の液体(界面活性剤)を定期的につけるタイプが主流だったが、不要なコーティングも登場している。 反射防止コート 光の反射を防止する。これが施されていないと、装用者自身にとってはレンズ裏面に自分の目が映って見えたり、背後から来る光が反射したりする。写真撮影の際、カメラのフラッシュ光が反射して目が透けず真っ白に写り、運転免許証やパスポートや個人番号カードの申請では、差し替えや撮り直しを指示される。 現代ではキズ防止、紫外線カット、撥水、反射防止は標準コートであるため、より性能を高めたコーティングをオプションとして設定しているレンズが多い。 耐熱レンズ レンズの各コーティングは、膨張率が異なるため、熱が加わるとコート層の境目から剥がれやすい。対策として、各コーティングの膨張率を揃えることで剥がれを抑えたレンズ。熱に弱いプラスチックレンズの耐熱性を高めるものではない。 衝撃吸収(プライマー) 強度を高めるコーティング。レンズに衝撃がかかった際に割れにくくなる。縁なしやナイロールフレームに有用である。 偏光 水面や雪面からの表面反射光をカットする偏光板を使用する。 ミラー加工 レンズ前面に光を反射するコートを施す。 カラーレンズ プラスチックが着色しやすいことを利用し、素材自体が着色されたプラスチックレンズ。ファッション用の他、眩しさの軽減や視力矯正機能のあるサングラスとしても利用できる。 調光レンズ 紫外線量や温度により、透過率が変わるレンズ。眼鏡兼サングラスとて利用出来る。 ブルーライトカット 高エネルギー可視光線(波長が380〜500nm)を軽減するレンズ。ガラスではコーティングとなるが、プラスチックでは添加剤や薄茶色の着色により、レンズ自体でカットするものがある。カット率が高いレンズは、視界が黄色がかって見えるものもある。デジタル機器による睡眠障害や眼精疲労、眼の障害の防止を謳って販売されている。日本眼科医会は2021年4月、睡眠障害の防止については効果を期待できる可能性があるとしながらも、それ以外の効果は期待できないとし、さらに小児にブルーライトカット眼鏡を装用させては自然のままの太陽光を浴びる機会を奪い近視進行のリスクを高めるとして、小児の装用に対して慎重意見を表明した。米国眼科学会も、ブルーライトが眼に悪いとする科学的根拠はなく、ブルーライトカット眼鏡の使用を推奨しないとしている。
※この「コーティング・機能」の解説は、「眼鏡」の解説の一部です。
「コーティング・機能」を含む「眼鏡」の記事については、「眼鏡」の概要を参照ください。
- コーティング・機能のページへのリンク