コンコードからレキシントンへ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/25 06:29 UTC 版)
「レキシントン・コンコードの戦い」の記事における「コンコードからレキシントンへ」の解説
スミスは田園地帯にいるおよそ1,000名の愛国者達から自隊を守るために丘の尾根に沿って側面分隊を派遣した。この尾根はメリアムズ・コーナーの近くで終わり、コンコードの郊外1マイル (1.6 km)で小さな橋があった。この狭い橋を渡るためにイギリス兵は一旦停止し隊列を組み直し3列縦隊で橋を渡った。最後の兵士が橋を渡ったとき、ビレリカやチェルムズフォードからの愛国者が発砲し、イギリス兵が振り向いて一斉射撃をすると、愛国者達も反撃した。イギリス軍は2人が戦死し、6人が負傷したが、愛国者達の被害は無かった。スミスは橋を渡ったあとで、また分隊を側面に展開させた。 メリアムズ・コーナーを過ぎて約1マイル (1.6 km)進むとブルックス・ヒルの森の中に500名近い民兵が集まっていた。スミスは1隊を率いて丘を駆け上がり民兵を追い払おうとしたが、民兵は1歩も引かなかった。一方でスミスの残り部隊は道端にあったブルックス酒場まで進んでフレイミングハムからの民兵1個中隊と交戦し、数名を死傷させた。スミスはブルックス・ヒルから撤退しリンカーンに向かうもう一つの小さな橋を越えた。 まもなくイギリス軍は道が湾曲した所(「血の曲がり角」)で、ベドフォードやリンカーンから集まった200名の民兵に出くわした。民兵のいた場所は1600年代中頃から木を伐採していない斜面であり、下は平原に広がっていた。民兵は斜面の木の陰や岩の多い木で埋められた牧草地の壁の陰に待ち伏せていた。道の反対側からも民兵が集まりイギリス軍に十字砲火を浴びせた。さらに後方からも別の部隊が到着して攻撃を始めた。ここで8名のイギリス兵と4名の植民地民兵が戦死した。イギリス軍は速歩に移り、愛国者達が森や沼を抜けていくよりも早くこの地点を突破した。イギリス軍の後方にいた愛国者達は密集し過ぎており、戦列も乱れていたのでうまく攻撃を掛けられなかった。 愛国者達の総勢はこの時点で2,000名に達しており、スミスは再度分隊を派遣した。エフレイム・ハートウェル農場あるいはジョセフ・メイソン農場で3個中隊の民兵がスミス隊を待ち伏せしていたが、スミスの分隊が接近して後方から民兵を攻撃した。リンカーンとレキシントンの町境近くでもベドフォード民兵の待ち伏せがあったが、この時も分隊が活躍した。しかしイギリス兵の損害はこの戦闘や持続的な長距離の狙撃によってかなりの数に上っていた。しかもイギリス兵の弾薬が尽きかけていた。 レキシントンの町に入ると、裏付けの無い証言ではあるが、パーカー大尉がレキシントンの訓練された民兵を集めて丘の上に陣取っていた。そのうちの何人かは早朝の戦闘で負傷し包帯をしていた。何年も後に書かれた資料によれば、この部隊はスミス自身が視界に入った時に初めて攻撃を掛けた。スミスはこの時、太腿を負傷した。「パーカーの報復」として知られるこの攻撃でイギリス軍の歩みが止まった。ピトケアン少佐が歩兵隊を丘の上に送ってパーカー部隊を追い払わせた。 歩兵部隊はさらに2つの丘、「ブラフ」と「フィスク・ヒル」を掃討し、待ち伏せで被害を増やした。ピトケアンはフィスク・ヒルの掃討中に馬から落ちて脚を怪我した。コンコード遠征隊の指揮者二人が負傷者で馬が無い者となってしまった。部隊の兵士は疲れており、喉が渇き弾薬も乏しくなりかけていた。何人かは降伏したが多くは突破し走った。その組織だった撤退行は敗走に変わっていった。レキシントン中央部の手前には「コンコード・ヒル」が残っていた。何人かの負傷していない士官が振り向いて兵士を剣で脅し、隊列を崩さないようにした。コンコードからレキシントンまで愛国者達は少なくとも8度は隊列を作ることのできる場所で攻撃を掛けてきた。伝説では散開した兵士が障害物の陰から狙撃したことにはなっている。散開攻撃は実際にあったし、この独立戦争ではアメリカ大陸軍の得意とする戦法になっていった。実際にレキシントンとコンコードであるいは後のバンカーヒルでも、ライフルを持っていたという歴史資料は無い。 3個中隊を率いる士官の中で一人だけが無傷だった。その士官が部隊共々降伏を考えていたとき、前方で歓声が上がった。パーシー伯ヒュー・パーシー(後の第2代ノーサンバーランド公爵)指揮下の約1,000名の部隊が大砲も携えて救援に駆け付けた。午後2時半であった。
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