ケビン・ミラー問題とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > ケビン・ミラー問題の意味・解説 

ケビン・ミラー問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/24 01:18 UTC 版)

ケビン・ミラー問題 とは、2003年の1月から2月にかけて、MLBフロリダ・マーリンズに所属していたプロ野球選手ケビン・ミラー選手との契約をめぐり、中日ドラゴンズボストン・レッドソックスの間で発生した騒動のこと。ケビン・ミラー事件ケビン・ミラー騒動 とも呼称される。

なお、本稿における日付はすべて日本時間を扱っている。

発端

2003年1月、NPBの中日ドラゴンズは、新外国人選手としてケビン・ミラーを獲得。年俸総額660万ドルの2年契約を結んだと11日に発表した[1]

ところが、マーリンズがミラーを中日に譲渡するために、同選手をウェイバー公示にかけたところ、中日に加えてMLBのレッドソックスも入札を表明した。これはMLBとNPBの間にある「日本の球団に譲渡する目的でウェイバーにかけた選手は、他球団が入札をしない」という紳士協定を無視したものであった。

経過

レッドソックスはまずミラーとの交渉を開始するが、ミラー側は拒否。すると今度は中日に対し「マーリンズに支払った契約金を全額レッドソックスが肩代わりをする」「代替選手としてベニー・アグバヤニ[2]を中日に譲渡する」との条件でミラーの契約譲渡を申し込むも、中日側が拒否[3]。その翌日、ボストンの地元紙ボストン・グローブは、ミラー選手がレッドソックスでのプレーを希望していると報じ[4]、その後中日側はミラーが来日を拒否していることを認めたが自由契約とはせず、31日にミラーを支配下選手登録する[5]。背番号も前年まで山崎武司[6]が着用していた22と発表された。

しかし、ミラーはレッドソックスへの入団を希望。「基本的に合意したが、正式契約はまだだ。中村とどこが違う」と、当時ニューヨーク・メッツとの入団合意が報じられながら決裂した中村紀洋の例を引き合いに出し、自らの正当性を主張し来日を拒否する[7][8]。MLB機構は、ミラーはMLBの他球団が獲得を表明しても断るという内容の文書にマーリンズと合意しており、すでに中日と契約したため、レッドソックス入団を希望する場合は日本人選手と同様に、ポスティングシステムによってのみフリーエージェントになるとの見解を示し、調停はしないとした[9]

契約解除、レッドソックスへ

その後中日はミラーの説得を断念[10]。2月14日にはマーリンズとレッドソックス間での移籍が合意に達したと報じられ[11]、同日に中日は自由契約を示唆した[12]。MLB選手会はレッドソックス入団を希望するミラーを支持し、中日がミラーとの契約を解除しない場合は、東京ドームで開催予定であったシアトル・マリナーズオークランド・アスレチックスの開幕戦への選手派遣を拒否する可能性を示唆した[13]

MLB機構はミラーの選手契約に関する身分問題が中日との間で解決したと15日に発表。中日はミラーを保有する主張を取り下げる代わりに、一定額の金銭を受け取ることとなった[14]。翌日に中日は契約解除を了承し、17日に自由契約選手として公示された[15]

その3日後、レッドソックスがミラーと年俸総額530万ドルの2年契約を正式に結んだことが発表され[16]、27日にはミラーの謝罪文が公表された。来日を拒否した理由も書かれており、イラクとの交戦が予想されるなかで米国を離れることに家族が反対したためであり、自身の意志ではない旨が書かれていた[17]

その後

中日はミラーを自由契約とした翌日にアレックス・オチョアと契約合意し[18] 、アレックスは23日に同球団へ入団した[19]

脚注

  1. ^ 中日がミラーと大型契約 4番打者候補へ期待 2003年1月11日 共同通信、2013年5月5日閲覧。
  2. ^ 後に千葉ロッテマリーンズに入団する。
  3. ^ 中日、レ軍の譲渡要求断る ミラーめぐる異例の交渉 2003年1月17日 共同通信、2013年5月5日閲覧。
  4. ^ ミラー、レ軍入りに傾く ボストン紙が報じる 2003年1月19日 共同通信、2013年5月5日閲覧。
  5. ^ 「日本に来るしかない」 ミラー問題で西川球団社長 2003年1月31日 共同通信、2013年5月5日閲覧。
  6. ^ 平井正史との交換トレードでオリックス・ブルーウェーブに移籍した。
  7. ^ Rソックスでプレーしたい ミラー問題でボストン紙 2003年2月1日 共同通信、2013年5月5日閲覧。
  8. ^ ただし中村は自らに球団の選択権があるFAという立場だったのに対し、ミラーは球団側に拘束力のあるウェイバー公示であるため、立場は一概に同じとは言えない。
  9. ^ 調停せずと大リーグ ミラーの中日入団問題 2003年2月1日 共同通信、2013年5月5日閲覧。
  10. ^ 中日、ミラー説得を断念 今後法的手段も視野に対応 2003年2月5日 共同通信、2013年5月5日閲覧。
  11. ^ Rソックス入り合意と報道 ミラー問題でボストン紙 2003年2月14日 共同通信、2013年5月5日閲覧。
  12. ^ ミラーの自由契約を検討 中日の伊藤球団代表 2003年2月14日 共同通信、2013年5月5日閲覧。
  13. ^ マリナーズ戦中止の可能性 選手会が中日に不快感 2003年2月14日 共同通信、2013年5月5日閲覧。
  14. ^ ミラー、Rソックスへ移籍 「契約問題」解決直後 2003年2月15日 共同通信、2013年5月5日閲覧。
  15. ^ ミラーが自由契約に 中日、すでに契約解除を了承 2003年2月17日 共同通信、2013年5月5日閲覧。
  16. ^ ミラー、2年で6億円 Rソックスと正式契約 2003年2月20日 共同通信、2013年5月5日閲覧。
  17. ^ 中日、ミラーの謝罪文公表 来日拒否は家族の反対から 2003年2月27日 共同通信、2013年5月5日閲覧。
  18. ^ 中日、オチョアと条件合意 登録名は「アレックス」 2003年2月18日 共同通信、2013年5月5日閲覧。
  19. ^ アレックスが入団会見 中日の新外国人選手 2003年2月23日 共同通信、2013年5月5日閲覧。

関連項目


ケビン・ミラー問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/09 16:17 UTC 版)

ケビン・ミラー」の記事における「ケビン・ミラー問題」の解説

詳細は「ケビン・ミラー問題」を参照 2003年1月それまで主砲として活躍していたレオ・ゴメス引退に伴い新し主砲探していた中日当時フロリダ・マーリンズ所属していたミラー白羽の矢立て2年契約年俸総額660ドル契約結んだ。 ところが、マーリンズ中日譲渡するためにミラーウェイバー公示にかけたところ、突如レッドソックス獲得表明したメジャーリーグ日本球界の間にある「日本球団譲渡する目的ウェイバー公示にかけた選手獲得をしない」という紳士協定無視したものであったレッドソックスはまずミラー本人交渉をするが、ミラー側が拒否。すると、今度中日対しミラー支払った契約金全額レッドソックス肩代わりする」「代替選手としてベニー・アグバヤニ中日譲渡すると言う条件トレード申し込むも、中日側が拒否。後にメジャーリーグ機構が「ミラー所有権中日にある」という声明発表したこともあり、中日ミラー支配下選手登録し、背番号前年まで山崎武司着用していた22発表された。。 しかし、ここで突如ミラー翻意し、レッドソックス入団希望し来日拒否中日側が説得続けるも、ミラー側は「米軍軍医補をしていた父親最近イラクを巡る状況から日本へ行くことを心配している」と頑として首を縦に振らず、さらに会談日時指定しておきながら姿を見せないと言った態度に出る。また、メジャーリーグ選手会ミラー支持し中日ミラーとの契約解除しない場合は、東京ドーム開催予定であったシアトル・マリナーズオークランド・アスレチックス開幕戦への選手派遣拒否することをほのめかした事もあって、中日は「これ以上説得は無理」と判断結局ミラー契約金全額返還し中日側に謝罪をする」「マーリンズ中日金銭補償をする」と言う条件中日ミラーとの契約破棄するミラーレッドソックス入団し中日ミラー代わりとしてアレックス・オチョア獲得する事となる。なお、アスレチックスマリナーズは、イラク情勢悪化理由結局来日中止する。 なお、ミラー中日とのトラブルについて、「ニューヨーク・メッツ契約してから翻意した日本人三塁手中村紀洋)と同じこと」と述べた(ただ、正確に中村FAでの移籍だが、ミラーFA資格持たずウェイバー公示移籍したため、立場一緒とは言えない)。また、ミラーレッドソックス入団後雑誌等インタビューで「機会あったら日本プレーしたい」と発言していた。

※この「ケビン・ミラー問題」の解説は、「ケビン・ミラー」の解説の一部です。
「ケビン・ミラー問題」を含む「ケビン・ミラー」の記事については、「ケビン・ミラー」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「ケビン・ミラー問題」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ケビン・ミラー問題」の関連用語

ケビン・ミラー問題のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ケビン・ミラー問題のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのケビン・ミラー問題 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのケビン・ミラー (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS