キハ07 901
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/22 22:31 UTC 版)
「国鉄キハ07形気動車」の記事における「キハ07 901」の解説
世界的に普及の兆しを見せていたガスタービン動車を日本においても研究するため、日本鉄道車輌工業協会が中心となって「ガスタービン車両技術委員会」が発足し、国鉄の車両設計事務所、鉄道技術研究所、メーカー15社が参加し、運輸省から研究補助金を受けて実車試験を行うことになった。この目的で、大垣機関区で廃車になったキハ07 204を種車として、ガスタービンエンジンを搭載する改造が行われた。ガスタービンエンジンは石川島播磨重工業がゼネラル・エレクトリックとの技術提携で製作したヘリコプター用IM100-2形(CT58形)ターボシャフトエンジン (1,050 PS/19,500 rpm) で、これを床下に搭載し、トルクコンバータ無しの一段減速機械式動力伝達装置を介して片方の台車の2軸を駆動する構造となっている。設計最高速度は150 km/h。この改造の際に動力台車をキハ181系気動車と同型のDT36Bに交換された。鉄道技術研究所での連続153 km/h性能試験を含む台上試験を1968年度(昭和43年度)に行い、最大推進軸伝達馬力は152 km/hで1,062 PS、最大動輪周引張力は85 km/hで2,050 kgを記録した。 これを受けて本線上でも試験走行を行なうこととなり、1969年11月に汽車製造東京製作所で再改造のうえキハ07 901として車籍復帰した。その際、付随台車のTR205Bへの交換とFRP製の流線形前面の取付けが行われた。1970年2月より磐越東線郡山 - 船引間23.1 kmで試験が行われた。この試験では7ノッチ起動後60秒で55 km/hに達する加速性能を記録し、最大動輪周引張力は2,500 kg、懸念されていた騒音はディーゼル動車と同等とされたが、力行速度が想定より低かったこともあり燃料消費率は既存の急行用ディーゼル動車の1.8倍に達した。さらに同年7月には川崎重工業製のKTF1430 (1,230 PS/18,500 rpm) を床上に搭載して同じく磐越東線で走行試験が行なわれた。こちらでは7ノッチ起動後60秒で57.5 km/hに達する加速性能で、最大動輪周引張力は3,100 kg、騒音は機関の床上搭載の効果によりディーゼル動車より低減し、減速比を大きくして燃費の良い回転数を中心に使用したことから燃料消費率は現行ディーゼル動車の1.4倍に改善した。これらの試験結果を基にしてキハ391形気動車が製作されることとなり、1971年に再び役目を終えて除籍された。
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