ガワール油田
【英】: ghawar oilfield
サウジアラビア東部、首都リヤドの東方約 200km 、アラビア湾(ペルシャ湾)岸から約 80km 内陸の砂漠に位置する世界最大の油田。 アラムコ社(サウジアラムコの前身)により 1948 年に発見され、1951 年に生産が開始された。生産された油は、北隣のアブカイク油田の集油基地に送られて処理され、「アラビアン・ライト原油」としてラスタヌラ港から出荷される。 地質区としてはアラビア卓状地に属し、集油形態は基盤岩の地塁上に形成された背斜構造。南北長 255km に及ぶ長大で緩やかな傾斜の背斜構造は、断層や沈降部によりブロック化されており、北からファズラン、アインダール、シェドグム、ウトマニヤ、ハウイヤ、ハラドの 6 地区に分かれる。全体の集油面積は約 2,000km2 。主油層はジュラ紀のアラブD層と名づけられた石灰岩で、深さは 2,000 ~ 2,500m 。究極可採埋蔵量は、油が約 1,200 億バレル、ガスが約 33 兆立方フィートと見積もられている。原油性状は、比重 32 ~ 36°API(地区により異なる)、イオウ分 1.7 %。油層の圧力維持のため、大規模な水圧入(水攻法)が行われている。近年原油に伴って生産される水の量比(ウォーターカット)が増加の傾向にあったが、 2003 年現在 33 %で安定していると報じられている。 本油田がこれまでに記録した最大の産油量(年平均)は 1981 年の約 570 万バレル/日である。従来、本油田は、戦略的に定められた目標生産量を余裕をもってクリアーしてきたが、生産能力が低下しつつあるとの見方がある(この点については様々な議論がある)。一方、油層より下位にある古生代二畳紀クフ層の石灰岩には膨大な量のガスが埋蔵されていることが知られており、本油田はガスの供給ソースとしての重要性も指摘されている。2003 年の産油量は 520 万バレル/日、同年末における累計生産量は約 550 億バレルと報じられている。 主文献『世界の大油田』(1984)、『石油地質・探鉱用語集』(1989)、石田聖(2004)、『石油の終焉』(2005)、AAPG Explorer(Jan. 2005) (齊藤 隆、2006 年 3 月) |

ガワール油田
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/16 04:50 UTC 版)
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Ghawar Field | |
---|---|
Ghawar Fieldの位置 | |
国 | Saudi Arabia |
場所 | Al-Ahsa, Eastern Province |
陸上/海上 | Onshore |
座標 | 北緯25度25分48秒 東経49度37分12秒 / 北緯25.43000度 東経49.62000度 |
運営者 | サウジアラムコ |
開発史 | |
発見 | 1948 |
生産開始 | 1951 |
最盛期年 | 2005 (Contested) |
生産 | |
原油生産量 | 5,000,000 バレル / 日 (~2.5×108 t/a) |
推定原油埋蔵量 | 71,000 百万バレル (~9.7×109 t) |
地層 | Upper/Middle Jurassic, Upper/Lower Permian, Lower Devonian |
ガワール油田(ガワールゆでん、アラビア語: حقل الغوار Haql al-Ghawār、英語: Ghawar Field)は、サウジアラビアにある世界最大の埋蔵量を誇る油田。南北280km弱、東西50km弱という広大な面積に広がる。1948年に初めて発見されて以降次々と周囲で原油の存在が確認されたが、当初はあまりの巨大さから別々の油田と思われていた。1951年に生産開始して以来、日量平均約500万バレルの原油を産出し、その累計は550億バレルに達する。その生産量はサウジアラビアの総生産量のおよそ60%前後を占めてきた。推定の可採埋蔵量は800億バレル前後とする資料が多いが、サウジアラビアでは究極的には1200億バレル程度の生産が可能としているようだ。
生産量、埋蔵量ともに世界の既発見油田の中で飛びぬけて多く、生産量でいえば二位の油田の二倍以上であり、一国全体としても日量500万バレル以上生産している国はロシア、アメリカぐらいである。埋蔵量では二位のクウェートのブルガン油田(湾岸戦争時にイラクによって火をつけられた油田)は600億バレル以上の埋蔵量を持つものの、三位以下の油田はガワールの半分の埋蔵量もない。有名な北海油田でさえ、全部合わせてもガワール油田の半分の埋蔵量も持たない。
その世界原油市場における重要性は強調し過ぎてもし過ぎることはないが、最近では、原油の自噴圧力維持のために数百万バレル/日の海水が圧入されており、原油への水分混入比率に上昇傾向がある。そのため「この巨大油田にしても避けられない老齢化、枯渇による生産減退が始まりつつある兆候だ」とする意見があるため、今後の原油市場において恒常的な供給不足の懸念が付随している。ただしこれらはOPECなどの産油データの一解釈であり、「市場に大きな影響を与える枯渇はまだ先だ」と考える意見の方が当のサウジアラビア含め、多勢である。
外部リンク
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