カトリックの見解
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「キリスト教とユダヤ教」の記事における「カトリックの見解」の解説
カトリックは「エクストラ・エクレシアム・ヌラ・サルス」(教会外に救済なし)と教えているが、レオナルド・フィーニー神父のようにこれを「救済はカトリック信者に限られる」と解釈したものもいた。また同様に、教会のメンバーでない人々は救済にたどりつけないという可能性を否定できない。最近、この教えについては第2バチカン公会議の公会議文章『ウニタティス・レディンテグラティオ』(エキュメニズムに関する教令、1964年)、『ルーメン・ジェンティウム』(教会憲章、1964年)、『ノストラ・エターテ』(キリスト教以外の諸宗教に対する教会の態度についての宣言、1965年)と、法王ヨハネ・パウロ2世の回勅『ウト・ウナム・シント』(キリスト者の一致、1995年)、ローマ教皇庁教理省の宣言『ドミヌス・イエズス』(イエス・キリストと教会の救いの唯一性と普遍性について、2000年)で特に取り上げられている。教理省宣言では、非キリスト教徒はカトリックと比較して「深刻な欠陥をもって」いると主張したことで批判を浴びたが、また「正式な教会信徒でない人々にも、キリストの救済は恩寵により及ぶ。教会との関係が正式でなく恩寵がはっきりとは及ばなかったとしても、彼らの精神的肉体的状況に合わせて彼らを教え導くことはできる。」とも述べてもいる。 ヨハネ・パウロ2世は2000年10月2日、この宣言は非キリスト教徒の救済を積極的に否定したものではないと強調した。「...この告白は、非キリスト教徒への救済を否定するものではなく、その最終的な源は人と神が一体化したキリストであることを指摘している。」12月6日、法王は声明を発表し、教会は他宗教の信者にも救済は与えられるという伝統的な姿勢を維持すると再び強調した。「福音は、八福に従って生きる人々、勇気ある貧者、心の純粋な者、愛を胸に生の苦しみに耐える人々は、神の王国に入るだろうと我々に教えている。」さらに法王は「誠実な心で神を求める人々は、キリストとその教会を未だ知らぬ人々であったとしても、みな恩寵を受けてこの王国の建設に貢献しているのだ。」と付け加えた。2002年8月13日、アメリカのカトリック司教らが、改革派と保守派のユダヤ教指導者らとの共同声明を発表した。これは「契約と布教における省察」と呼ばれ、ユダヤ教徒を改宗の対象としてはならないと断言した。声明では「ユダヤ教徒はすでに神との契約を済ませて」おり、「ユダヤ教徒は神の王国実現に向けて世界を調えるため神に呼ばれている」とした。しかしアメリカの一部パプテスト派と他のキリスト教原理主義者には、未だ「疑り深い」ユダヤ教徒に援助活動と称して関わることは、自分たちの義務だと考える者もいる。
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