エンジン熱に対する懸念
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 04:11 UTC 版)
「V-22 (航空機)」の記事における「エンジン熱に対する懸念」の解説
オスプレイのエンジン熱、正確には「エンジン排気プルームがもたらす過剰な熱の作用」(excessive heat impact from engine exhaust plumes)が、アメリカ海軍の一部の揚陸艦のフライトデッキを損傷(2004年夏にイオー・ジマ (LHD-7)では変色、2005年夏にバターン (強襲揚陸艦)ではたわみが発生)することがわかっている。海軍航空システム司令部(NAVAIR)と海軍海洋システムコマンド(NAVSEA)は、エンジンの下に金属製のポータブルヒートシールド(オスプレイ専用の移動式耐熱板)を設置してデッキへの損傷を防止(10分以上アイドリングする場合はポータブルヒートシールドを使用)する一時的解決策を考案したが、この問題の長期的解決を図り、V-22やF-35Bを運用するには、まずデッキ自体を耐熱コーティングやパッシプサーマルバリアーを施したものへと再設計し、さらに船体の構造も変える必要があるとしている。これを受け、国防高等研究計画局(DARPA)では、フライトデッキ上に設置可能な堅牢な冷却システムの開発を産業側に求めたという。海上自衛隊ではアメリカ軍との共同訓練に備え、輸送艦「しもきた」などデッキに対策が施されていない従来の護衛艦にはポータブルヒートシールドを搭載するようになった。 2009年5月27日、ノースカロライナ州において、訓練飛行中のMV-22が燃料切れで国営狩猟区に予防着陸した際、同機を給油して離陸しようとしたところ、エンジンの排気熱で植生が燃え始め、機体の外装を損傷する事故が発生したことがあった。2011年6月24日、沖縄県は同事故を含めた「高温排気と周辺への影響」について質問する照会書を防衛省に送付。防衛省は同12月19日の回答書で、過去に火災が発生していることを認めた上で、同機のハワイへの配備に関する環境影響評価書案(DEIS)を引用して、運用措置・手順の改善により安全な運用を確保することを米国側に申し入れる旨回答した。 いずれにせよ、政府としては、過去に火災が発生していることから、米国政府に対して、我が国においてMV-22を運用する場合はパイロットに義務付けられている排気デフレクタの作動確認および同装置の継続監視の遵守を徹底すること 排気デフレクタを含めた機体システムに故障などが発生しないよう確実な整備を行うこと 着陸している時間を制限すること などといった運用措置・手順を追求することにより、排気ガスによる火災発生のリスクの更なる低減を図り、安全な運用の確保に万全を期すよう、しっかりと申し入れてまいりたい。 — 一川保夫防衛大臣、防防日第15061号 23.12.19 『MV-22オスプレイ配備について(回答)』
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