イモビカッターによるイモビライザー破り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/27 09:31 UTC 版)
「イモビライザー」の記事における「イモビカッターによるイモビライザー破り」の解説
イモビライザーを搭載していても、該当の自動車が盗まれるケースもゼロではない。 また、国産自動車メーカーの車種の中には、運転席付近にある整備用のコネクタに差し込むことで車両側のIDコードをリセットできるものも存在しており、これを利用して別のキーのIDコードに照合させることでエンジンの始動を可能にする装置(通称「イモビカッター」)も登場し、十数秒で解錠できるようになってしまった。 一部の損害保険会社では、この装備車を対象とした自動車保険料の割引サービスも行っているが、一方で実際に車両が盗まれた場合に、保険金の支払いを拒絶される事例が多発している。この場合、保険金支払いを受けるには、契約者が自ら訴訟を提起しなければならず、長い時間と労力を要する。 2005年12月13日、大阪地方裁判所判決の事案を例とすれば、2004年3月21日に、奈良県香芝市の男性が所有するトヨタ・ランドクルーザーが盗まれる事件が発生。これに対し、男性の契約する損害保険会社へ保険金(約500万円)の支払いを要求するが、被告の保険会社は「イモビライザーは解除不能であるから盗難は不可能なはずだ」と主張し、損害保険の支払いを拒否したため、保険金の支払いを求める民事訴訟に発展した。 最終的には 車両が実際になくなっているため、盗難の事実を覆すのは困難である レッカー車で車両ごと持ち去った可能性は捨てきれない レッカー車などで持ち去ったあと、イモビライザーを交換すればエンジンは始動できる と認定、損害保険会社に全額の支払いを命じた。事件から支払いの判決を得るまで1年9か月を要した。 現在の「法令」では、これらの所持は完全な違反ではないが、2013年2月13日に愛知県が業務で必要な場合など「正当な理由」なく所持することを禁止する条例の改正案を同年7月1日から施行することが発表された(罰則は1年以下の懲役および50万円以下の罰金)。 イモビライザーが出始めた当初は、一部の高級車などに採用されていた程度だったが、最近では軽自動車やミニバン、大型オートバイなど、標準装備として大衆車に採用される車種が多くなっている他、積荷目的での車両ごとの乗り逃げ盗難への対策として、いすゞ・エルフなど一部の貨物自動車への装備も始まっている。欧米では低価格の小型車でも、装着が「保安装置」として事実上義務付けられている。その一方で、トヨタ・ハイエースのように、極めて盗難率が高いにもかかわらず、2012年の5代目のマイナーチェンジの際にようやく全車標準装備になった例もある。 2004年に発売されたスズキ・スイフト(2代目)はBセグメントの日本車としては初めて全グレードで標準装備としている。また、特別仕様車ではよく特別装備として装備される機能でもある。
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