アリバイについて
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 02:30 UTC 版)
「柏の少女殺し事件」の記事における「アリバイについて」の解説
まず、Bが自宅を出たのは、Bの母が見ていたテレビ番組と、約束していた友人一家が待たされた時間の逆算から12時55分頃と推定される。B宅から小学校までは子供がゆっくり歩いて約4分であり、寄り道をした形跡もないため、Bが学校に到着したのは12時59分頃と推定される。その後、学校の隣の住人がBの遺体を発見したのが13時5分頃(自室の時計で確認した直後)で、彼女に頼まれた隣人が119番通報をしたのが13時8分(柏市消防本部の記録)、そして救急車が学校正門に到着したのが13時10分である。 一方、犯行直前のAと校庭で出会ったという元同級生C(上記参照)によれば、自分とAはその時2回顔を合わせているという。その証言によれば、友人たちとともに柏駅を出発したCは、まず学校正門で、東門方向から自転車で走ってきたAと出会ったという。AはCと挨拶を交わした後に正門から外に出てゆき、その後Cたちが壁沿いにプール付近まで進んだところで、彼らは南門方向から来たAと再び出会っている。AはCと再び言葉を交わした後、その横をすり抜けて東門から出て行ったという。 Cは12時48分に柏駅を出発したことを駅の時計で確認しており、警察の検証では駅から学校正門まで約15分かかる。すなわち、CとAが正門で最初に顔を合わせたのは13時3分頃である(この時刻は、2人を目撃した近隣住民が直前に見ていたテレビ番組からも裏付けられる)。そして、正門からプールまでは3分かかるため、CとAの2度目の出会いは13時6分頃と推定される(この時刻は、Cの帰宅時刻からの逆算ともおおよそ一致する)。 ところが自白によれば、Aはプール付近で2度目にCと出会った後、校庭外周近くのマラソンコースを一周してから犯行に及んだという。検証によればマラソンコース一周には約5分30秒かかるため、Aが現場に到着したのは13時11分頃ということになるが、上記のようにこの時刻にはすでに遺体が発見され、救急車が現場に到着している。なお、この矛盾は捜査段階から明らかになっており、捜査員も再審判廷で「それをつめてみると、どうもやはり不自然な面が出て来てしまう」と認めている。 仮に、犯行時についてのみAの自白が正しくないとしても、Aが最初にCと出会う前に犯行に及んだとすれば、現場から正門まで校庭外周近くを反時計回りしてきたことになるが、それにはやはり約3分を要する。しかし、13時0分頃を犯行時刻とすると、Bの現場到着時刻とほぼ重なり、時間的余裕がなくなる。また、Cとの会話の様子は犯行後のものとするには不自然である。2回の出会いの間に犯行に及んだとしても、やはり正門から現場を経由してプールまでは移動だけでも3分以上かかる。 弁護側は以上のことから、Aにはアリバイが成立していると訴える。その一方でAは、後の再検証でも、事件当時の行動について時間的・位置的にあり得ない主張をなし、またそれを転変させてもいる。
※この「アリバイについて」の解説は、「柏の少女殺し事件」の解説の一部です。
「アリバイについて」を含む「柏の少女殺し事件」の記事については、「柏の少女殺し事件」の概要を参照ください。
- アリバイについてのページへのリンク