アラゴン事件 -〈赤色戦線〉とは? わかりやすく解説

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アラゴン事件 -〈赤色戦線〉

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 02:34 UTC 版)

ルイ・アラゴン」の記事における「アラゴン事件 -〈赤色戦線〉」の解説

1930年4月マヤコフスキー自殺アラゴンエルザは姉リーリャ・ブリークに会うためにソ連訪れた。ジョルジュ・サドゥールが合流しアラゴンとサドゥールはハルキウハリコフ)で開催され国際革命作家同盟 (UIER) の大会シュルレアリスト代表して参加した。この経験大きな転機となったシュルレアリスム共産党からの独立性主張するブルトンに対してアラゴン共産党共同戦線張る必要がある考えるようになり、サドゥールとともに作成したハリコフ会議の報告書には、共産党との合意基づいて国際革命作家同盟フランス支部革命作家芸術家協会 (AEAR)」を設立することなどが盛り込まれていた。ハリコフ報告シュルレアリストにとって到底受け入れられるものではなくこの後3か月わたって激論交わされた。 さらに、アラゴンソ連滞在中に書いた長詩赤色戦線フランス語版)」は、彼の社会主義的情熱を語るものであり、これにより、アラゴンブルトンひいてはシュルレアリスムとの決別決定的なものとなった労働者革命呼びかけ、「赤い列車は動き出し、だれも止められはしないSSSRSSSR五カ年計画を四年で成し遂げようSSSR人間による人間搾取をやめさせようSSSRSSSRSSSR」(SSSRソビエト連邦)、「ポリ公どもをぶっ殺せ」、「レオン・ブルムに火を放て」といった詩句を含むこの詩は、1931年10月刊行され詩集迫害する迫害者』の巻頭詩として掲載され国際革命作家同盟機関誌世界革命文学』のフランス語版にも掲載された。ところが、このフランス語版11月パリ押収され、翌32年1月16日アラゴンは、「無政府主義宣伝のために」、「軍隊不服従を促し殺人教唆した」として告発された。これは、5年禁錮刑言い渡される可能性のある犯罪であり、シュルレアリストらを巻き込んだアラゴン事件」に発展したシュルレアリストらはさっそく「裁判目的とした詩作品解釈試みに抗議し訴訟中止要求する」という声明発表しアラゴン告発抗議する署名運動開始した。たちまち、フランスだけでなく、ベルギードイツチェコスロバキアユーゴスラビアなどの知識人から300人以上の署名集まった一方ブルトンにとってこの運動は、詩作品赤色戦線」の評価とは別であり、彼は同年3月発表した小冊子『詩の貧困世論裁かれる「アラゴン事件」』 において、この詩は「新しい道切り拓くものではなく」、「状況の詩」であり、「詩における後退」であると断言した。これに対して1932年3月設立され革命作家芸術家協会アラゴン支持しアラゴン『リュマニテ』紙に『詩の貧困』の内容否認するとする囲み記事掲載した。こうして、ハリコフ会議機に共産主義への一歩踏み出しブルトンの「シュルレアリスム第二宣言」を否認したアラゴンの「赤色戦線」、そして「アラゴン事件」は、シュルレアリスムという文学芸術革命留まるか、これを社会革命発展させるかという問題シュルレアリストらに突きつけることになり、アラゴン自身は後に『社会主義レアリスムのために』に「ソビエトから帰ってきたわたしはもはや同じ人間ではなかった。もはや『パリ農夫』の作者ではなく、『赤色戦線』の作者だった」と書くことになる。

※この「アラゴン事件 -〈赤色戦線〉」の解説は、「ルイ・アラゴン」の解説の一部です。
「アラゴン事件 -〈赤色戦線〉」を含む「ルイ・アラゴン」の記事については、「ルイ・アラゴン」の概要を参照ください。

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