ネズミ講
「ネズミ講(ねずみこう)」とは、無限連鎖講の通称であり、新規会員が入会料として支払う金品を既存会員に配当する(勧誘すればするほど儲かる)という甘言のもとに親会員・子会員・孫会員と会員数を増殖させていこうとするビジネス形態(ビジネスモデル)のこと、もしくは、そのようなビジネスを企て実施する組織のことである。法的に禁止されている悪徳商法である。
【ネズミ講の語源】
ネズミ講という通称は、会員が複数の会員を勧誘し、新規加入した複数の会員がそれぞれ複数の会員を勧誘して……という形で会員数をねずみ算式に増やしてゆく手法であるという意味合いがある。「講」の字には「結社」や「相互扶助団体」という字義があり、字そのものが悪徳商売という意味を含むわけではない。
ネズミ講は理屈としては会員が増えれば増えるほど既存会員が儲かり、しかも早い段階で加入した親会員ほど儲かることになるが、これは会員が無尽蔵に増えてゆくことを前提としており、現実的には必ず破綻する。
英語ではPonzi scheme(ポンジスキーム)あるいはpyramid scheme(ピラミッド・スキーム)という。Ponziは20世紀初頭アメリカで悪名を馳せた詐欺師Charles Ponzi(チャールズ・ポンジ)のことであり、ネズミ講の悪徳ビジネスモデルの元祖と位置づけられる人物の名である。
【ネズミ講の類語】
無限連鎖講によく似た商法として「連鎖販売取引」がある。連鎖販売取引は「マルチ商法」あるいは「ネットワークマーケティング」と呼ばれることも多い。連鎖販売取引を指して、あるいは無限連鎖講と連鎖販売取引をひっくるめて「ネズミ講」と呼んでいる場合も少なくない。
連鎖販売取引(マルチ商法)は、商品の購入者が販売者(売る側)として活動し、新たな買い手を紹介して獲得販売実績を挙げると報償(マージン)が得られる、というビジネスモデルである。
無限連鎖講はそれ自体が違法行為であるが、連鎖販売取引はそれ自体が違法というわけではない。ちなみに無限連鎖講は「無限連鎖講の防止に関する法律」に基づき禁じられており、連鎖販売取引は「特定商取引法」において規定・規制されている。
ねずみ‐こう【×鼠講】
ねずみ講(ねずみこう)
金銭を支払って加入した人が、他に2人以上の加入者を紹介・あっせんし、その結果、出費した額を超える金銭をあとで受け取ることを一般にねずみ講と言う。増殖する加入者の組織が破たんするまで続くことから、無限連鎖講とも呼ばれている。
加入者を3人ずつ増やしていく方法だと、10世代目で59,049人、20世代で35億人もの加入者が集まる計算になる。射幸心をあおる投機に関心を寄せる人もいるが、その多くは経済的な損害を受けるだけで終わる。
組織の破たんから、中国やアルバニアなどで、暴動が起こったという例も報告されている。
ねずみ講は、もともとアメリカで発達したと見られ、1960年代には日本にも上陸し、広がった。ねずみ講がもたらす社会的な害悪を防止するため、1978年には無限連鎖防止法が成立し、ねずみ講は禁止されることになった。ねずみ講を開設・運営すると、3年以下の懲役を科せられる。
最近、インターネットの爆発的な普及によって、電子メールを使ったねずみ講の勧誘が氾濫している。誰でもたやすくメールを送信できるので、けた違いの被害も出るようになっている。うまい話には注意が必要である。
(2001.01.24更新)
ねずみ講(ねずみこう)
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