てんかん発作型の診断
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 22:21 UTC 版)
発作型の診断は1981年度ILAEてんかん発作型分類で行われる。てんかん発作を医師が診察室で観察できることはきわめて稀である。そのため病歴と脳波を中心に発作型の診断をすることになる。 本人からの病歴 単純部分発作や全般発作であっても、ミオクロニー発作の場合は意識が保たれており、患者との会話は可能である。感覚発作、自律神経発作の多くは二次性全般化するため、部分発作の症状を前兆(アウラ)として感じる。前兆に関しては、腹部にこみ上げてくるような感じや、以前見たことのある風景が勝手に頭に浮かぶといった症状を改めて問いただすと明らかになる場合も多い。前兆を「当たり前」と思い述べない患者が一定数存在する。既往歴としては、外傷、脳炎、脳血管障害既往、熱性痙攣の有無が特に重要となる。すでにてんかんと診断されている場合、発症年齢、持続時間、回数、症状、局所徴候(半身痙攣、トッド麻痺)、治療経過を聴取する。家族歴も強調されているが、遺伝歴のあるてんかんは約1割程度である。 目撃者からの病歴 どのような発作であったのかを目撃者に尋ねる。強直間代発作は、通常は60~90秒であることが、ビデオ脳波モニター検査で明らかになっている。はじめててんかん発作を目撃した人は、1~2分間の発作に対して5分位に感じていることも珍しくない。可能ならば、患者が発作を起こしているときの状態を録画して医療機関に提出する。 強直間代性痙攣の経過について。まずは意識消失に伴う突然の痙攣が起こる。これは開口、開眼と眼球上転、上枝は外転挙上し、肘は屈曲位で前腕は回内する。次に強直相であり、10~20秒ほど持続する。四肢は伸展し、呼吸筋の強直により、肺からの空気が閉鎖した声帯を通って強く呼出される際に叫び声をあげることがある。呼吸停止とチアノーゼも認められることがある。間代相の持続は、30秒前後が多い。間代性痙攣の感覚は次第に長くなり、終焉する。咬舌はこの時期に起こる。自律神経症状として、頻脈、血圧上昇、瞳孔散大、流涎、発汗過多がみられる。間代相は深い呼気をもって終わり、その後、回復期になる。このとき呼吸は再開し、対光反射も回復するが、痙攣後の意識障害は持続する。
※この「てんかん発作型の診断」の解説は、「てんかん」の解説の一部です。
「てんかん発作型の診断」を含む「てんかん」の記事については、「てんかん」の概要を参照ください。
- てんかん発作型の診断のページへのリンク