いちのさかいせきとは? わかりやすく解説

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一ノ坂遺跡

名称: 一ノ坂遺跡
ふりがな いちのさかいせき
種別 史跡
種別2:
都道府県 山形県
市区町村 米沢市矢来
管理団体
指定年月日 1997.07.28(平成9.07.28)
指定基準 史1
特別指定年月日
追加指定年月日
解説文: 一ノ坂遺跡は山形県南部米沢盆地位置する縄文時代前期集落遺跡であり、盆地西南部の西から東に傾斜する丘陵裾の河岸段丘上に立地する
 平成元年米沢市教育委員会宅地造成にともなう発掘調査実施したところ、全長43・5メートルにも及ぶわが国最長大型竪穴住居発見され住居内から石鏃石匙などの石器とその製作途上未成品や〓(*1)剥片および炭化したクルミ大量に出土した。これによりこの特異な大型竪穴住居石器の製作とクルミ加工行った工房作業場考えられることとなり、わが国でほとんど類例のない遺跡として注目集め保存されることとなったその後平成2年から6年の間、米沢市教育委員会遺跡実態解明目的とした発掘調査実施し、ほぼその全容把握することができた。
 遺跡舌状段丘上にあり、その範囲東西90メートル南北80メートルである。検出され遺構は、大型竪穴住居1棟のほか、竪穴住居24棟、土坑墓6基などである。竪穴住居のうち8棟は近接して弧状並んで一群をなす。このほかにボーリング調査により大型竪穴住居1棟の存在推定されている。
 段丘西側一段高い面には遺構構築されておらず、一段低い北側大型竪穴住居東側に8棟の弧状竪穴住居群とボーリング調査により推定される長さ50メートル大型竪穴住居配され全体馬蹄形状の集落構成する弧状住居群が廃絶した後にも竪穴住居営まれており、都合時期変遷確認されている。墓壙は東側竪穴住居群の内側位置し段丘東側下段には幅10メートルほどの蛇行する自然河川跡存在する出土土器関東地方関山式土器並行するものであり、縄文時代前期初頭位置づけられる。
 大型竪穴住居東西長く平面規模は幅約4メートル長さ43・5メートル面積約180平方メートルであり、平面形は著しく細長い床面壁際柱穴めぐらし、6基の炉を備える。弧状連続して並ぶ8棟の竪穴住居群は同時期に存在したもので、30センチメートルから50センチメートルほどの間隔南北に並ぶ。それぞれの竪穴住居平面形は1棟のみ長辺13メートル細長い長方形呈するが、ほかは1辺4メートルから5メートル正方形かそれに近い長方形である。竪穴住居の幅は約4メートル一定しており、総長が約50メートル達す竪穴住居群は大型竪穴住居平面規模とほぼ同じである。8棟の竪穴住居のうち発掘した2棟竪穴住居床面壁際柱穴があり、中央に炉を備えており、一般的な竪穴住居ととくに変わることがない。しかし配置状況からみて8棟の竪穴住居相互に密接に関連していたことは明らかであり、屋根や壁を共有する建築構造で、1棟の建物であった可能性考えられる
 出土遺物は、土器石器および石器製作にかかる未成品・〓(*1)片などである。土器破片点数にして全体1パーセント未満で、石器完成品少なく圧倒的に石器未成品・〓(*1)片が多い。製作され石器頁岩製の石鏃石匙・両尖7首・石銛の四器種と臼玉である。原石産地は、大半盆地内の落合成島中山峠の3か所であるが、遺跡からは原石石核がほとんど出土していないことから、原石産地1次加工した素材持ち込んだものと考えられる。ここで製作され石器は、石材と製作技法特徴から東北地方南部関東中部地方まで流通していたことが確認されている。また、炭化したクルミ大型竪穴住居から大量に出土しており、石器の製作とともにその加工同時に行われていたと考えられる
 一ノ坂遺跡は、縄文時代前期初頭集落遺跡ではあるが、長大大型竪穴住居連続して並ぶ竪穴住居群などきわめて特異な住居から構成され石鏃石匙などの石器の製作とクルミ加工専ら行われていることから、道具食料生産およびその作業場実態さらには石器の製作と流通具体的なあり方などを知るうえできわめて重要である。よって史跡指定し、その保存図ろうとするものである
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