イスラエル【Israel】
読み方:いすらえる
アジア南西部の地中海東岸にある共和国。正称、イスラエル国。首都はエルサレムとするが、国際的には未承認で、実質的にはテルアビブが政治・経済の中心都市。言語はヘブライ語とアラビア語、宗教はユダヤ教。国土の大半は砂漠地帯であるが、緑化事業が進められ、工業も発達。シオニズムによって19世紀末からユダヤ人の入植が増大、英国のパレスチナ委任統治終了後、1948年独立。アラブ諸国に囲まれ、対立・抗争が絶えない。人口635万(2006)。
旧約聖書で、神ヤーウェに選ばれた契約の民であるヤコブとその子孫12部族の総称。アラビア砂漠に興ったセム系の遊牧民で、後にエジプトに居住。前13世紀にモーセに導かれてエジプトを脱出し、カナーンに定住。前11世紀の終わりごろサウルを王として統一王権が成立し、ダビデ・ソロモン両王の時に最も栄えた。前928年、北のイスラエル王国と南のユダ王国の2王国に分裂。前721年イスラエルはアッシリアに、前586年ユダは新バビロニアに滅ぼされた。バビロン捕囚など逆境のうちにユダヤ教が成立。前63年ローマの支配下に入ったが、のち滅ぼされ、ユダヤ人は世界各地に離散した。
イスラエル(いすらえる)
【古代パレスチナ】
およそ2000年前、パレスチナにはユダヤ人が住んでいた。ところが、紀元2世紀頃、当時の強国だったローマ帝国が、パレスチナに進出してきた。このため、ユダヤ人はパレスチナから追い出されてしまった。
その後、ユダヤ人は家なき民としてヨーロッパを転々とした。一方、ユダヤ人がいなくなったパレスチナには、アラブ人が入ってきた。その後約2000年にわたって、パレスチナにはアラブ民族が居住しつづけた。
【訪れた転機】
パレスチナに転機が訪れるのが、20世紀はじめころだ。アラブ人しかいなかったパレスチナに、イギリスやアメリカが進出してく。これによってパレスチナの勢力地図は大きく変わることになった。
まず、イギリスがユダヤ人の利用を思いついた。ユダヤ人の中にはロスチャイルド家のような大金持ちがった。イギリスは、ユダヤの資本を利用したいと考えたのだ。
イギリスは、そのころ大英帝国として力をふるっていた。しかし第一次世界大戦などの戦争のため、戦争費用がかさんでいた。ユダヤの資本を利用すれば、第一次世界大戦を有利に進めることができる。
第一次世界大戦のさなか、イギリスは、ロスチャイルド家あての手紙の中でひそかに約束をした。これは、「戦争に協力してほしい。そのかわり、戦後はユダヤ人国家を建設してあげる」という内容だった。
【イスラエル建国】
第二次世界大戦後、イギリスはユダヤとの約束を実行した。イギリスとアメリカは相談して、ユダヤ人の国イスラエルを建国することにしたのだ。イギリス・アメリカはアラブ社会に介入し、強制的に土地の一部を分割した。
その後、イスラエルには、ぞくぞくとユダヤ人が入植した。イスラエルはユダヤ人の土地となったのだ。
しかし、イスラエルは、アラブ人からはこころよく思われなかった。アラブ人にとってみれば、成立の過程からして「大事な聖地がイスラエルに奪われた」という思いが強いのだ。このため、イスラエル対アラブ諸国のあいだで、何回も戦争が起きている。
(2000.10.24掲載)
- いすらえるのページへのリンク