あらすじA
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 05:32 UTC 版)
「クラウチ・エンドの怪」の記事における「あらすじA」の解説
アメリカの弁護士フリーマン夫妻は、休暇旅行でロンドンを訪れる。夫妻は、クラウチ・エンド地区に住む友人から夕食に招待され、子供2人をホテルのベビーシッターに預けて出かける。しかしロニーは、タクシーに乗ろうとしたとき、友人の住所を記したメモを紛失してしまったことに気づく。すると運転手は、まずクラウチ・エンドまで乗せて行き、電話ボックスで住所を調べて、そこから目的地に向かえばよいと助言する。車中でドリスは新聞販売店前の「地底<アンダーグラウンド>の惨劇 六十名遭難」という妙な記載の看板に目をとられ、言いようのない不安に駆られる。降ろしてもらい、電話ボックスで住所を調べ終わると、タクシーがいなくなっていた。近くには片眼の猫と2人の子供たち。ロニーは子供たちに尋ねるも、「くたばっちまえ、アメ公!」と突き放される。2人は徒歩で友人宅に向かうことにする。 ヒルフィールド・アヴェニューの家並みを通る途中で、生け垣から低い呻き声が聞こえ、2人は足を止める。民家の庭で、芝生の一部が欠けて露出し「どこか人の形に似た」穴から、煙が渦巻くように立ち上っている。ロニーは、誰かがケガをしているのだろうかと、垣を通り抜けて敷地内へと入っていき、悲鳴を上げる。残されたドリスが、生け垣の向こうから格闘する物音を聞いて動転していると、ロニーが飛び出してくる。スーツは裂け、あちこちに黒いものがいっぱいに散って流れ、さっきの芝生にあいた穴と同じように煙を立てている。ロニーの顔からは血の気が失われており、声を荒げてドリスに走れと叫ぶ。混乱したドリスが生け垣に目をやると、何かが動いており、黒いものがぴちゃぴちゃと音を立てている。恐怖に竦みあがったドリスの腕を、ロニーは強引に腕を掴み、2人はひたすらに逃げる。ロニーは粘着物が付着した上着を脱ぎ捨てる。 走るのをやめたとき、クラウチ・レーンとノリス・ロードの交わる地点にいた。看板には「スローター・タウェンまであと1マイル」とある。ドリスは何を見たのかロニーに尋ねるも、ロニーは弱々しく「思い出せない」「何か音が聞こえて、いつの間にか走って逃げていた」「思い出したいとも思わない」と言うのみ。もはや友人宅訪問は放棄し、ホテルに帰ることを決断するも、タクシーが一台も見当たらない。 沈む夕陽に照らされつつ、ガード下を通り抜けているとき、何かがドレスの腕を掴む。ドリスは声を出せず、ロニーの手が離れてゆき、そのままロニーはふいと消えてしまう。ドリスの上腕を掴んだ怪人物は、不快な生活臭を放ちながら「煙草もってないか?」と尋ねてくる。毛むくじゃらの腕と緑の双眼しか視認できなかったが、ドリスはその眼を見て、こいつは先ほどの猫だという恐ろしい確信を抱く。そいつが影の中から顔を現してくる前に、ドリスは方向もかまわず駆け出す。どれくらい走ったのか、ロニーがいなくなったことを思い出してようやく正気に戻る。 日は沈んで夜となり、ドリスは夫の名を呼びながらさまよう。立ち並ぶ倉庫の看板の文字は<ドーグリッシュ・アンド・サンズ><アルハザード>
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