「ヒューマニズム」批判とは? わかりやすく解説

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「ヒューマニズム」批判

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 16:40 UTC 版)

マルティン・ハイデッガー」の記事における「「ヒューマニズム」批判」の解説

ハイデッガー戦後著作『「ヒューマニズムにかんする書簡』においてサルトル本質実存転倒し実存先行性を訴えたとし、にもかかわらずそれら既存形而上学から抜け出ていないことを指摘したハイデッガーからみればサルトル思想時間性本質-存在問い-を省いた空虚さ備えている。サルトルもまた存在忘却の歴運の中にある。ハイデッガーは「人間らしさ」に反対はしないが、ヒューマニズムには反対する。ただヒューマニズム人間にたいし人間性を十分高設定しきれないからであり、最高のヒューマニズムさえが人間の本来的な尊厳には届かないからである。 またハイデッガーは『ヒューマニズム書簡』ではカール・マルクスについても言及しており、「家がないことが世界運命となっている。存在史の点からこの運命考察する必要があるマルクスヘーゲルから受け継いだことは、現代人存在の家がなくなったことにそのルーツあるよう人間疎遠性である。この家がないことは特に形而上学という形態における存在運命から発生する同時にそのようなものとして身を隠し覆われるマルクス疎外経験によって歴史本質次元到達したゆえに、マルクス主義歴史観は他よりも優れている」と、しかしフッサールサルトル存在における歴史性をの本質的な重要性理解していないし、現象学実存主義マルクス主義その中で初め生産的な対話が可能となるような次元入っていない、とする。ハイデッガーによれば唯物論本質は、すべての存在者が労働素材として現出すると形而上学的に限定することにあり、共産主義党派または世界観イデオロギーとしての受け取る者は短絡していると批判している。 ハイデガー「人間」を、或は実存的人間主体」でさえ何かの中核としようなどとは思っていなかった。ハイデガー何よりも先ず存在論者で実存主義者ではなかったからである。『存在と時間』は人間存在考察する書であり、実存主義的用語(本来性、不安、等々)を用いてはいるが、それは存在そのもの考察する過程でそうしているに過ぎないハイデガーにとって最大関心事人間でも人間主体でもなく『存在』である。 ハイデガーヒューマニズムサルトルより根源的な意味を持たせた。そこで問題となるのは人間そのものではなく。「存在との関係における人間」である。ハイデガーによれば人間は「存在羊飼い」である。存在注意払い存在庇護する。そして、そこに人間の尊厳がある。 この意味での人間は、ヒューマニズム関わるあらゆる概念先行する人間のより「本質的」な捉え方である。 これは人間主体についての西欧通念を揺さぶる考えである。ハイデガーは、人間なり主体性なりを哲学構築する出発点中心基盤とすることを拒否した。しかし、ヒューマニズム解体するというのは非人間性を良しとすることにならないだろうかハイデガー非人間性を擁護するつもりも「野蛮な残忍性」を美化するつもりも、価値観のない状況推奨するつもりもない、と主張する人間適切な方法生きるための諸規則が、たとえ脆弱にしか人々繋ぎ止めえないとしても我々はその規則を守るべきである。しかし、それより先に存在問題」が来なければならない。「存在」は存在するもの全て先行する。もし、それによって人間人間的価値観中心から押し退けられるのであれば、それはそれで仕方がないこのようなハイデガー捉え方評論家の意見鋭く対立していた。主体性についてのあらゆる問題再考察の対象となるのは避けられない。しかし、同時にハイデガー人間隣人としての人間ではなく存在隣人としての人間描いたことによって、人間考察対象としての価値増したのも事実である。

※この「「ヒューマニズム」批判」の解説は、「マルティン・ハイデッガー」の解説の一部です。
「「ヒューマニズム」批判」を含む「マルティン・ハイデッガー」の記事については、「マルティン・ハイデッガー」の概要を参照ください。

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