《葵》の正しい読み方
「葵」の正しい読み方
「葵」は音読みでは「キ」「ギ」、訓読みでは「あおい」と読む。また「板山葵(いたわさ)」「竜葵(うみほおずき)」「蒲葵(びろう)」「向日葵(ひまわり)」「山葵(わさび)」などの熟字訓がある。「葵」の意味・解説
《1.》アオイ科の植物全体を指す言葉で、タチアオイ・ゼニアオイ・モミジアオイ・フヨウ・ハイビスカス・オクラ・ワタなどが含まれる。俳句ではタチアオイを指し、夏の季語になっている。また、ウマノスズクサ科のカンアオイやフタバアオイを指す場合もある。《2.》襲の色目の「葵襲(あおいがさね)」のこと。平安時代の女房の着用した上衣・五衣・単衣が重なった色合いで、表が薄青、裏が薄紫になっている。《3.》家紋の一つで、徳川氏の家紋「葵巴(あおいどもえ)」が広く知られ、「葵の御紋」とも言う。フタバアオイの葉の形をした京都・賀茂神社の神紋が元になっている。《4.》『源氏物語』の第九帖の巻名で「葵の上」は光源氏の正妻にあたる。葵祭の見物に際し六条御息所に恥をかかせた葵の上は、六条御息所に恨まれ、息子である「夕霧」を生むも命を落とす。《5.》静岡市葵区のこと。「葵」と読む理由
「葵」を「キ」と読むのは、くさかんむりと「癸」(キ・みずのと)から成り立っているためである。万葉集16巻には「梨棗黍に粟嗣ぎ延ふ葛の後も逢はむと葵花咲く」という作者不詳の歌があり、奈良時代から読まれていたことがうかがえる。歴史的仮名遣いでは「あふひ」となり「逢ふ日」の掛詞になっている。「葵」の類語・用例・例文
「葵」の類語としては、アオイ科の観賞用多年草の「立葵(たちあおい)」や「立葵」の別名の「花葵(はなあおい)」「ホリホック」、古名の「唐葵(からあおい)」がある。また、ビロードアオイ属の「木槿(むくげ)」を指す場合もある。「葵」の用例・例文は次のとおりだ。「葵祭は京都三大祭りの一つで、例年5月15日に実施されます。」「御息所の車は葵夫人の女房が乗った幾台かの車の奥へ押し込まれて」与謝野晶子訳『源氏物語』「葵、いとをかし。神代よりして、さるかざしとなりけん、いみじうめでたし。」『枕草子』「葵」の英語・用例・例文
植物の「葵」は英語だと「a hollyhock(タチアオイ)」「a mallow(ゼニアオイ)」となる。また、京都三大祭りの葵祭は「Aoi Festival」と表記する。「葵」の用例・例文は次のとおりだ。「Aoi Matsuri is one of the Three Great Festivals of Kyoto.」(葵祭は京都三大祭りの一つです。)「Hollyhocks are perennials of the Malvaceae family.」(タチアオイはアオイ科の多年草です。)「Aoi no Ue was troubled by the living spirit of Lady Rokujo.」(葵の上は六条御息所の生き霊に悩まされました。)- 《葵》の正しい読み方のページへのリンク