《気にしないでください》の敬語
「気にしないでください」の敬語表現
大前提として「気にしないでください」も敬語表現ではあります。ただし、やや平易なので目上の相手には「お気になさらないでください」とするのが適切です。一方で、「ください」という言い回しが相手に強く要求しているようにも聞こえかねません。そのため、あえて「お気になさらず」という形で終わらせるのも丁寧な表現だといえるでしょう。「気にしないでください」の敬語の最上級の表現
「気にしないでください」の敬語の最上級は「どうかお気になさらないでください」、あるいは「どうかお気になさらず」です。「どうか」のかわりに「なにとぞ」「どうぞ」などを使うことも可能です。「気にしないでください」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「気にしないでください」というフレーズの敬語は、ビジネスシーンで頻繁に使用されています。以下、ビジネスメールや手紙での例文を挙げていきます。「お気になさらないでください。あのミスは誰のせいでもありません。停電が起こるなんて、業者でも予想できませんでしたから」
「お心遣いありがとうございます。どうぞお気になさらないでください。弊社といたしましては、御社とこれからも良い関係を築けたらと願っています」
「お気になさらず。それよりも、課長の体調が心配です。ずいぶん調子が良くないように見えましたので。その後、いかがでしょうか」
「弊社のほんの気持ちでございます。なにとぞお気になさらず。それよりも、お客様に喜んでいただけるのが幸せでございます」
「お気になさらないでください。弊社の仕事ですので、やりとげてみせます。ただ、納期を火曜日まで伸ばしていただけないでしょうか」
「弊社の担当者は、勉強になってよかったと言っております。お気になさらず。むしろ、アドバイスをいただきありがとうございます」
「運転は全く苦になりませんので、どうかお気になさらないでください。それでは弊社の社用車にて、明日の10時にお迎えに上がります」
「その後、先方にデモの感想を尋ねてみました。思ったよりも好感触でした。御社が懸念されていたような指摘はいただきませんでした。どうかお気になさらず」
「気にしないでください」を上司に伝える際の敬語表現
上司に「気にしないでください」と伝える際には、最上級の「どうかお気になさらないでください」にするのが適切です。「気にしないでください」というフレーズには、上の立場から部下や後輩を励ますようなニュアンスが含まれかねません。上司に対し、単純に「気にしないでください」と伝えてしまうのは失礼になりかねません。また、要求の意味が強い「ください」を省略し、「どうかお気になさらず」にする方法もあります。ただし、立場が近く、気心が知れた上司なら「気にしないでください」を使っても問題にはならないでしょう。「気にしないでください」の敬語での誤用表現・注意事項
「気にしないでください」の敬語を使うときは状況に注意しましょう。相手が自分を気にかけてくれていてなおかつ、責任があるのではないかと思っている場合には「お気になさらないでください」「お気になさらず」と返すのは適切です。ただし、相手がそれほど気に病んでいないのに「気にしないでください」の敬語表現を使うのはかえって失礼です。「気にしなければならないことがあったのか」と、相手を怒らせかねません。明確に、相手が自分に非があると思っている場合のみ、「お気になさらないでください」「お気になさらず」を使いましょう。次に、「気にしないでください」の敬語表現は相手に「大丈夫だから、もうかまってほしくない」と伝わってしまう可能性もあります。相手が社外の人間だとよりいっそう、失礼に解釈されかねません。そこで、「お気になさらないでください」「お気になさらず」の後にも、会話や文章をつなげるようにしましょう。「お気になさらず。私こそ、反省しています。あのとき~」のような形にすれば、やりとりを打ち切った印象になりません。また、相手の非だけを責めている雰囲気にもならないので、受け手が不愉快になる可能性は低いといえます。
「気にしないでください」の敬語での言い換え表現
「気にしないでください」の言い換えには、「大丈夫です」「問題ございません」「お心遣いありがとうございます」などがあります。これらは、「気にしないでください」と同じ意味ではありません。ただ、「気にしないでください」と同じ文脈で使えるフレーズです。そもそも、いくら丁寧な表現にしても、上司に「気にしないでください」という旨を伝えることは失礼になりかねません。「お気になさらないでください」「お気になさらず」などがふさわしくないと思うときに、これらのフレーズを使います。「大丈夫です」や「問題ございません」は、主語が語り手となるフレーズです。相手の発言、態度に対し、あくまでも「(自分は)大丈夫です」「(自分は)問題ございません」と返している状態です。つまり、相手の気持ちを表現しているわけではないので、一方的な印象にはなりません。そのかわり、表現としてはややカジュアルなので、使う相手を選びましょう。次に、「お心遣いありがとうございます」は相手の発言に感謝しているフレーズです。「お気になさらないでください」のような要求がなく、使いやすい言い回しです。ただ、緊迫した状況下ではお礼を述べることがふさわしくないこともあるので注意しましょう。
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