《御侍史》の正しい読み方
「御侍史」の正しい読み方
「御侍史」は、「ごじし」「おんじし」と読む。「御侍史」の意味解説
御侍史(ごじし・おんじし)は、脇付として「相手に直接差し上げるのは畏れ多いので、侍史を経て差し上げる文書である」という謙遜の意味を表す。脇付とは、手紙の宛先に添えることで、敬意や注意を表す文言である。「史」とは中世・近世に武家の秘書として文章の代筆を行った右筆または書き役のことをいい、貴人のかたわらに仕える(侍る)存在として侍史と呼ばれていた。また、侍曹(じそう)ともいう。現代では医師に対する宛名に使用されることが多いが、「御侍史」を使用することにより、医師本人以外の秘書・事務スタッフや看護師が文書を開封することができるという意味がある。そのため、医師本人に仕事が集中せず、効率的に進められるという利点も挙げられる脇付だ。なぜ「御侍史」と読むのか・理由
「御侍史」の接頭語である「御」は主に、漢語・音読みの単語の頭につく際は「ご」「ぎょ」と読み、和語・訓読みの単語につく際は「お」「おん」と読む。「御侍史」は、「侍史(じし)」が音読みのため、頭につく「御」は「ご」と読み、「ごじし」と読む。また、「おんじし」という読み方も、一般的に受け入れられている。ただし、「おじし」「ぎょじし」とは読まないため注意しよう。辞書上の位置づけとしては、「御侍史」でなく「侍史」として載録されている。たとえば広辞苑では「侍史(じし)」が見出し語として載録されているが、「御侍史」という単語は見出し語に存在しない。「侍史」という言葉自体に「侍史を経て差し上げる」という謙遜の意味があるため、「御」をつけると二重敬語になるが、一般的に慣例として「御侍史」という言葉が脇付として広く使用され、受け入れられている。
「御侍史」の類語・用例・例文
「御侍史」の類語には、「御机下(ごきか・おんきか)」または「案下(あんか)」がある。どちらも手紙の脇付の一種であり、「相手に直接差し出すのは畏れ多いので、机の下まで差し出す文書である」という謙遜の意味を表す。「机下」だけでなく、「案下」も「机の下・机のそば」という意味を持つ言葉である。「御侍史」の用例・例文としては、手紙の宛先に「山田太郎先生御侍史」のような形で用いる。脇付であるため、封筒に書く宛名を「山田太郎先生」とした左下に「御侍史」と書き添える。「御侍史」は一般的に脇付としてのみ用いられ、口語として会話の中で用いられることはなく、文語として文章や手紙文の中で使用することもない。「御侍史」の英語用例・例文
「御侍史」を英語で表す場合には、「respectfully」を用いる。敬意を表して、または、「謹んで」という意味だ。用例・例文として、医師に対して用いる場合は敬称である「Dr.」+「相手の名前」+「respectfully」となり、「Dr. John Smith respectfully(ジョン・スミス先生敬意を表して)」のように封筒の宛名に記載する。秘書を意味する際の「侍史」は、英語で「private secretary(私設秘書、または、秘書官)」となるが、脇付としての「御侍史」のように、謙遜の意味を表す単語としては使用できないため注意が必要だ。- 《御侍史》の正しい読み方のページへのリンク