《伺います》の敬語
「伺います」の敬語表現
「伺います」の読み方は「うかがいます」です。「聞く」「尋ねる」および「訪問する」といった、自分の行為を謙譲語に変化させたのが「伺う」になります。「伺います」は謙譲語の「伺う」に丁寧語の「ます」を付けた表現です。謙譲語とは相手の立場より、自分の立場を下げて使う表現です。謙譲語の「伺います」の特徴は動作の対象相手がはっきりしているとき、対象相手への敬意を示すときに使います。動作の対象相手が不特定多数の聞き手や読み手に対しては、「伺います」は使いません。謙譲語の中で特別な動詞を使う形に分類される「伺います」には、原則として敬語表現はありません。
「伺います」の敬語の最上級の表現
「伺います」を最上級の表現で示したいときは、「伺いたく存じます」が適切な表現します。「伺いたく存じます」は謙譲語の「伺う」と「存じる」が組み合わさった表現であり、2つの言葉が独立して意味を持っています。「伺いたく存じます」と謙譲語を2つ付ければ、「伺います」を強調した表現になります。注目すべき点は、2つの言葉が独立した意味を持つ「伺いたく存じます」は、2重敬語(同じ種類の敬語を2つ重ねてしまう言葉)にはならないことです。「伺いたく存じます」はビジネスシーンなどでもよく使われますが、何回も使うとまわりくどい印象を与えます。
「伺います」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
ビジネスメールでの「伺います」は、頻繁に利用されます。「聞く」を謙譲表現で表す「伺います」の例文は以下です。
「投資案件については、伺っております」
「不明な点があるので、担当者の方に伺いたいのですが」
「尋ねる」を謙譲表現で表す「伺います」の例文は以下です。
「会議の内容について、2点伺いたいことがあります」
「契約書の詳細を、伺ってもよろしいでしょうか」
「訪問する」を謙譲表現で表す「伺います」の例文は以下です。
「会議には、当社から5名で伺います」
「16時ごろに伺います」
「車で伺いますが、駐車場は近くにございますか」
「渋滞中により、お約束の時間に伺うことができません」
A株式会社
△△部 〇〇様
いつもお世話になっております。
B株式会社の××でございます。
御社へのお支払いについてのご相談ですが、〇年〇月〇日の16時ごろに、
会計部のAが伺いますので宜しくお願い致します。
その他、不明な点がございましたら、お気軽にご連絡ください。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
「伺います」を上司に伝える際の敬語表現
上司や目上の人に対しては、「伺いたく存じます」が適切です。「伺いたく存じます」は「伺う」と「思う」の2重の謙譲語で表現するので、「伺う」に積極的な意味を加えて相手に伝えることができます。例えば、上司に勧められたプロジェクトの詳細などを尋ねるときに「プロジェクトの内容を伺いたく存じます」と表現します。積極的にプロジェクトの内容を知りたい気持ちが上司に伝わりやすい表現です。次に「ご教示を伺いたく存じます」は、「どのようにすればミスがなかったのか」や「経験がないことをするなど」といった助言を上司にもらいたい時には有効です。またビジネスシーンや日常でもよく聞く「お伺いします」は、接頭語の「お」と丁寧語の「します」が組み合わさった2重敬語表現になって間違いになります。しかし「お伺いします」は古くから使われていた言葉であり、慣習化しています。へりくだる気持ちを強調したい場合に「お伺いします」を、上司に使っても問題ないでしょう。
「伺います」の敬語での誤用表現・注意事項
「伺います」は重複した敬語になりやすい言葉で、間違った表現があらゆるところで確認できます。「伺えますか」で済むのに、余計な言葉を入れて失敗した事例を3つほど上げます。1つ目は「伺いできますでしょうか」です。「伺い」に「できますでしょうか」をつけることで、2重の敬語表現になってしまっています。「伺いできますでしょうか」は会話より、メールなどの文章でよく確認できます。「伺えますか」のみでは、失礼になる気がしてしまい「できますでしょうか」を加えてしまう人がいます。
次に「お伺いいたします」です。「お」「伺う」「いたす」と3つの謙譲語に丁寧語をつけた表現になるので、文法的に間違いになります。最後に「お伺いさせていただきます」は、「お」「伺う」「させていただく」と3つの謙譲語に丁寧語をつけた表現になるので、文法的に間違いです。「伺います」は心理的に何か付け加えたくなるので2、3重敬語に注意しましょう。
「伺います」の敬語での言い換え表現
まず、「聞く」という意味を持つ「伺います」の言い換えは、「お聞きする」が適切です。また目上の人などからの依頼を「聞く」場合には、「承ります」になります。「伺います」には、「聴く(注意深く耳を傾ける)」の意味も含まれるので、言い換えは「聴く」の謙譲語である「拝聴する」になります。次に「尋ねる」の意味をもつ「伺います」の言い換えは、「お尋ねする」が適切です。「お尋ねする」は、「人に質問する」「調べる」および「探す」の意味を持つ謙譲語です。
最後に「訪問する」の意味を持つ「伺います」の言い換えは、「お邪魔する」が適切です。「お邪魔する」は、「明日の午後、お邪魔いたします」など比較的に顔みしりの人に使うのが特徴です。
- 《伺います》の敬語のページへのリンク