19世紀から20世紀の美術とは? わかりやすく解説

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19世紀から20世紀の美術

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 18:17 UTC 版)

西洋美術史」の記事における「19世紀から20世紀の美術」の解説

詳細は「印象主義」、「象徴主義」、および「後期印象主義」を参照 19世紀後半に入ると産業革命浸透資本主義社会発達科学技術進歩により都市人口大幅な増加階級対立激化見られるようになり、社会全体大きく変動した時代でもあった。このため美術活動大きな変革伴ったのは必然といえる建築分野では、シャルル・ガルニエによるパリオペラ座見られるような、古典主義を軸としながら各種建築様式折衷した建物造営主流となり、フランス中心として高い芸術性持った建物各地作られた。ウジェーヌ・エマニュエル・ヴィオレ・ル・デュクはこの奔流に抗い、機能主義理論唱えたが、19世紀中には受け入れられず、アール・ヌーヴォー建築分野において部分的に取り入れられたにすぎなかった。19世紀後半に入るとガラスコンクリート鉄筋コンクリートといった新し建材や壁などに大掛かりに用いられるようになったジョセフ・パクストン水晶宮は、初め大量にガラス用いた建造物として知られている。また、シカゴ派呼ばれるアメリカ高層建築流入も、西洋建築大きな影響与えたシカゴ派代表する建築家としてはシュレジンガー・マイヤー百貨店などを設計したルイス・サリヴァン挙げられる彫刻分野では19世紀後半入り民族統一や自由を称える記念碑公共記念物という形で数多く制作された。特に有名なものとしてはフレデリク・バルトルディの『自由の女神像』、ジュール・ダルーの『共和国勝利』、ポール・アルベール・バルトロメ(英語版)の『死者記念碑』などが挙げられる第二帝政期に入るとジャン=バティスト・カルポー登場し、『ウゴリーノと息子』『ダンス』『フローラ勝利』など、ロココ美術から受け継いだ優雅な形態カルポー独自の動態表現見事に融合させた作品多数制作し近代彫刻の父と言われるオーギュスト・ロダン大きな影響与えたアルベール=エルネスト・カリエ=ベルーズ師事したロダンは、イタリアでドナテッロミケランジェロ作品触れた後、1877年に『青銅時代』を発表した。『青銅時代』は発表当時、あまりの自然的形態から、モデルから直接型取りしたのではないか批判浴びるほどであった注文彫刻として制作したカレーの市民たち』では、注文という型にはめられ表現からの脱却試みている。ロダン写実表現劇的な内面表現融合させることを追究し終生大作として『地獄の門』を制作した。その他、19世紀末活動したドイツマックス・クリンガーは、1902年ウィーン分離派展で素材の多様性追求した作品ベートーヴェン』を発表して大きな成功収めている。 19世紀に入ると絵画分野では、新古典主義美学維持しつつも社会情勢にあわせるかのように新し市民社会適応する様々な表現獲得はじめたブルジョワジー趣味作品反映させたアレクサンドル・カバネルは、1863年サロン出品したヴィーナスの誕生』によって絶大な人気博しジャン=レオン・ジェロームは『カエサルの死』に代表されるような、迫真細部描写瞬間映像的な場面設定古代主題描きあげた。また、ジュール・バスティアン=ルパージュ印象派色彩筆致取り込んだ自然主義的傾向作品干し草』を創出し第三共和国政府支持獲得している。 ドイツアドルフ・フォン・メンツェルによって写実的に描かれた『圧延工場』はきわめて珍しい工場労働者主題とした作品として知られている。メンツェルの例にあるように、農民労働者といった現実的主題優れた絵画才能によって描き出す画家登場し始める。『草上の昼食』一大騒動巻き起こした後も、明る色調軽快タッチ現代生活を主題にした数々名作生み出したエドゥアール・マネはそうした若い画家たち中心的存在として躍動し1865年サロン出品した『オランピア』で、古典的伝統近代絵画リンクさせる役割担ったこうしたマネ姿勢表現方法印象派の画家重要な指針与えることとなったまた、エドガー・ドガは、オペラ座集う貴族から底辺社会で生活を営む洗濯女まであらゆる階層人々現代生活を深く広く探求して得た主題を、知的な構図優れたデッサン力で描き出した。特に、引き締まった肉体を持つ女性たち様々な姿態提供してくれるバレエ世界共感覚えバレエ主題とした多く作品残している。その他、日本芸術ジャポニスム呼ばれ西洋絵画影響与えたのも19世紀出来事のひとつであった19世紀後半に入ると、印象派呼ばれる人々描いた印象主義絵画が世を賑わすようになった。「印象派」という呼称誕生したのは1874年のことで、展覧会出品していたクロード・モネピエール=オーギュスト・ルノワールポール・セザンヌドガカミーユ・ピサロアルフレッド・シスレーらのスケッチ的な作品の性格ジャーナリストらが揶揄してつけたもの端を発する中でもモネ印象派グループ作り上げた最も偉大な画家として知られている。印象派の「印象」はモネ作品印象・日の出」から批評家揶揄したことから定着した印象派画家は、絵具用いて光を表現することを追究し筆触分割視覚混合といった科学的技法作品導入し日本浮世絵写真などからヒント得た構図切り取り大胆な俯瞰といった斬新な発想取り入れた。こうして制作され多く作品西洋絵画新たな局面へ誘う重要な革新として後年高く評価される一因となったまた、印象派活動受けてその理論をさらに発展させよう1880年代から1890年代にかけて活躍したポール・ゴーギャンフィンセント・ファン・ゴッホらは後期印象派呼ばれ、こちらも美術史における重要な働き残した他方芸術卑俗化を嫌悪し芸術家たちによって内的な思考精神世界夢の世界を表現することが追究されるようになり、印象主義並んで19世紀後半における芸術重要な流れ形作ったのが象徴主義であった。その嚆矢とも言えるのがイギリス起こったラファエル前派運動である。ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティジョン・エヴァレット・ミレーウィリアム・ホルマン・ハントらによって結成された「ラファエル前派兄弟団」は、ラファエロ以後絵画退廃芸術とみなし、それ以前の誠実で理想的な芸術への回帰主張し初期ルネサンス時代絵画倣った画風神秘象徴世界描き上げた。その他、象徴主義代表する画家としてはアルノルト・ベックリンピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌギュスターヴ・モローオディロン・ルドンなどが挙げられるこうした動き19世紀末にはベルギーオランダスイスオーストリアなど全ヨーロッパ拡充しユーゲント・シュティールアール・ヌーヴォーといった世紀末運動密接な関係を保ちながら20世紀芸術へと受け継がれていった

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