伊予銀行 伊予銀行の概要

伊予銀行

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/31 00:27 UTC 版)

株式会社伊予銀行
The Iyo Bank,Ltd.
(上)本店
(下)南側から見た本店(右側の低い建物が旧舘)
種類 株式会社
機関設計 監査等委員会設置会社[1]
市場情報
東証プライム 8385
1971年4月1日 - 2022年9月29日
略称 いよぎん
本社所在地 日本
790-8514
愛媛県松山市南堀端町1番地
設立 1941年9月1日(株式会社伊豫合同銀行)
創業は1878年3月15日(第二十九国立銀行)
業種 銀行業
法人番号 4500001000003
金融機関コード 0174
SWIFTコード IYOBJPJT
事業内容 預金業務、貸出業務、有価証券売買業務・投資業務、為替業務など
代表者 代表取締役頭取 三好賢治
代表取締役専務 長田浩
資本金 209億4,800万円
(2014年3月31日時点)
発行済株式総数 3億2,377万5千株
(2014年3月31日時点)
純利益 連結:189億22百万円
単独:185億2百万円
(2020年3月31日時点)
純資産 連結:6,718億48百万円
単独:6,359億89百万円
(2020年3月31日時点)
総資産 連結:7兆7,955億45百万円
単独:7兆7,649億71百万円
(2020年3月31日時点)
従業員数 2,623人
(2023年3月31日時点)
決算期 3月31日
主要株主 株式会社いよぎんホールディングス 100%
外部リンク https://www.iyobank.co.jp/
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株式会社伊予銀行のデータ
法人番号 4500001000003
店舗数 152か店
貸出金残高 4兆7,566億円
預金残高 5兆7,543億円
特記事項:
(2020年3月31日現在)
テンプレートを表示

店舗網は愛媛県(旧伊予国)内を中心に、四国他県、瀬戸内海を挟んで向かい合う山陽地方関西大阪府兵庫県)、九州北部(大分県福岡県)、東京都愛知県に展開している。インターネット支店も開設しているほか、海外ではシンガポールに支店、中華人民共和国上海香港に駐在員事務所を置いている[2]

概要

  • 頭取は歴代、生え抜きで、財務省日本銀行出身の役員は在籍しない[要出典]
  • 関連会社であるリース会社は住友系との関係がある一方、クレジットカード三菱系のDCブランドであるなど、特定のメガバンクグループとの関係は強くないとされる。
  • ホストコンピュータのメインフレームはIBM製を採用。他行とのシステム共同化の予定はない。
  • 不動産関係の与信には慎重とされ、2009年穴吹工務店経営破綻では、四国の銀行で唯一、被害(債権の取り立て不能)が発生しなかった。
  • 国際統一基準(BIS規制)による自己資本比率算出を行っている。
  • 海事産業が集積している今治市などを営業エリアとして抱えていることから、外航船関連の貸出も多く、2021年度時点の国内船主向け貸出金残高は銀行全体の15%に当たる7684億円に上る[3]

歴史

第二十九国立銀行の設立

伊予銀行は、西宇和郡川之石浦(現在の八幡浜市)に愛媛県最初の銀行として設立された第二十九国立銀行に始まる。1877年7月に第二十国立銀行を東京府に設立した、旧宇和島藩伊達宗城の命を受けた同行の今岡好謙と宇都宮綱條が川之石浦の矢野小十郎に、銀行設立を勧めたことが発端である[4]。川之石浦は天然の良港を有し、ハゼ漁や資源にも恵まれ、宇和島藩や吉田藩参勤交代における交通の要衝として栄えた浦であった。矢野らは1875年に潤業会社を設立して、近在や野村地方製糸業者を対象に貸金業を営んでいた。

矢野を中心に宇和島の旧士族地主商人網元など12人は1877年9月7日、川之石浦への国立銀行設置を大蔵省に請願した。1878年1月29日付で開業免許が下付され、同年3月15日に開業した。初代頭取には清水一朗が就任した。四国に設立された銀行としては、高知県の第七国立銀行に次いで2番目であった[5]

第五十二国立銀行の設立

松山においても銀行設立の動きがあり、旧松山藩士族加藤彰と伊藤奚疑知両名は、銀行設立を奔走した。愛媛県権令岩村高俊は「士族は理屈はいっても資力乏しく商売も下手ならん。商人は熟練はあれども規則の事などは不得手なり。依ってこれを合併せば宜しからん」として、商人との協調による銀行設立を促したが、士族間の反対が強く、結局、士族のみの出資で1878年9月25日に開業した。初代頭取は小林信近であった。1880年時点で貸付先の64%を士族が占めており、士族授産銀行の性質が強かった[6]

私立銀行の乱立と銀行合同

日本国内では国立銀行設立の動きが止まると、私立銀行設立が相次いだ。愛媛県内においては1891年に8行あった普通銀行は、1900年には46行まで激増した。こうした私立銀行は体制が十分ではなく国立銀行を母体とする銀行より財務基盤が弱く、次第に規制が強化されていった[7]

しかし、1901年金融恐慌関東大震災震災手形による不良債権の累積は愛媛県経済にも打撃を与え、その後の銀行数は次第に減少し、再編に進んでいくこととなる。大蔵省により地方の銀行合同が示達されると、愛媛県内の銀行も再編に向かった。1920年3月には、五十二銀行が八幡濱銀行を吸収合併し、南予地方への進出を果たした[8]

1928年1月に銀行法が施行され、最低資本金制度が導入された。この結果、大量の無資格銀行が発生することとなり、32 行のうち16行の無資格銀行が生じて、銀行合同が図られた。第二十九銀行は1933年3月に宇和島銀行を吸収し、その後、大洲銀行や八幡濱商業銀行と合同して、豫州銀行を発足させた。1931年12月に大野銀行を買収した五十二銀行は、1937年12月に仲田銀行と合併し、松山五十二銀行となり、さらに、1932年に三津濱銀行を買収した[9]

伊豫合同銀行の設立

日中戦争(支那事変)の勃発により戦時経済の色彩が一層色濃くなると、政府は一県一行主義と呼ばれる銀行合同をさらに積極的に推進した。愛媛県内においては、豫州銀行が南予地方、松山五十二銀行が中予地方、そして1900年以来、東予地方の中心銀行であった今治商業銀行が東予と、それぞれの地域を基盤とした三行に糾合された[10]

3行に集約された後も、一県一行体制への移行が模索された。そして1941年9月1日に今治商業銀行、松山五十二銀行、豫州銀行の3行が合併し、伊豫合同銀行が設立された。本店は旧松山五十二銀行本店に設置された[11]。命名は、日本銀行総裁結城豊太郎によるものである[12]

1944年12月15日には、伊豫相互貯蓄銀行を合併し、一県一行主義が完成した[13]

第二次世界大戦では、松山大空襲で本店や9支店が全焼するなど甚大な被害を受けたが、防空訓練の徹底等により重要書類の殆どは難を逃れた[14]

新「伊予銀行」の誕生

1951年11月1日、創立10周年を迎えたのを機に伊豫銀行に改称した。「いよぎん」の愛称で親しまれていることや、愛媛県が旧国名の伊予国として全国的に知られていることを踏まえたものであった。

また、松山大空襲で本店を焼失して以降、日本銀行松山支店に間借りして本店を営業してきたが、戦後の体制整備が一段落したことを受け、官公庁や日本銀行松山支店などが周辺に位置する元榎町支店跡地に新本店を建設することとし、1952年10月に竣工した[12]

1969年10月1日大阪証券取引所二部に上場、1970年には一部に指定替えとなり、1971年に東京証券取引所一部に上場した[15]

1990年9月1日、親しみやすい常用漢字を用いることとし、伊予銀行商号を変更した[16]


注釈

  1. ^ 宇和島市内には他に追手支店、城南支店、和霊町支店があり、これらは宇和島支店を中核店とするグループを構成する。

出典

  1. ^ 機構図・役員一覧 - 株式会社伊予銀行
  2. ^ 店舗・ATM検索 伊予銀行(2021年7月4日閲覧)
  3. ^ 日本放送協会 (2022年6月10日). “100億円の船を買う 「船主」の世界へようこそ”. NHKニュース. 2022年6月17日閲覧。
  4. ^ 伊予銀行広報CSR室 2019, p. 37
  5. ^ 伊予銀行広報CSR室 2019, p. 38
  6. ^ 伊予銀行広報CSR室 2019, p. 39
  7. ^ 伊予銀行広報CSR室 2019, p. 42
  8. ^ 伊予銀行広報CSR室 2019, p. 52
  9. ^ 伊予銀行広報CSR室 2019, p. 55-56
  10. ^ 伊予銀行広報CSR室 2019, p. 57
  11. ^ 伊予銀行広報CSR室 2019, p. 62
  12. ^ a b 伊予銀行広報CSR室 2019, p. 80
  13. ^ 伊予銀行広報CSR室 2019, p. 65
  14. ^ 伊予銀行広報CSR室 2019, p. 66
  15. ^ 伊予銀行広報CSR室 2019, p. 90
  16. ^ 伊予銀行広報CSR室 2019, p. 118
  17. ^ “シンガポールに支店 伊予銀、船舶融資を強化”. 日本経済新聞. (2016年12月3日). http://www.nikkei.com/article/DGXLZO10236270S6A201C1LA0000/ 2017年4月22日閲覧。 
  18. ^ 「預金商品」および「預金媒体」の新規取り扱い終了のお知らせ|2021年|伊予銀行”. 伊予銀行. 2023年5月19日閲覧。
  19. ^ 生体認証機能付ICキャッシュカード|便利につかう|伊予銀行”. 伊予銀行. 2023年5月19日閲覧。
  20. ^ 「モバイルバンキング」のサービス提供終了について|2020年|伊予銀行”. 伊予銀行. 2023年5月19日閲覧。
  21. ^ 【延期】「モバイルバンキング」のサービス提供終了|2021年|伊予銀行”. 伊予銀行. 2023年5月19日閲覧。
  22. ^ いよぎんダイレクトの「カード型ハードトークン」新規申込受付終了について|2021年|伊予銀行”. 伊予銀行. 2023年5月19日閲覧。
  23. ^ 全国初!ビデオチャットを用いた銀行手続きアプリ「AGENT」を導入|2021年|ニュースリリース一覧|伊予銀行” (pdf). 伊予銀行. 2023年5月19日閲覧。
  24. ^ 「口座開設アプリ」サービス終了|2021年|伊予銀行”. 伊予銀行. 2023年5月19日閲覧。
  25. ^ 「いよぎんのアプリ」のサービス終了|2021年|伊予銀行”. 伊予銀行. 2023年5月19日閲覧。
  26. ^ 「伊豫銀行の争議妥結」『朝日新聞』昭和29年9月27日
  27. ^ 「証券子会社を伊予銀が設立」『朝日新聞』2011年11月23日(2011年12月7日閲覧)[リンク切れ]
  28. ^ “全国9地銀、最大規模の業務提携 メガ攻勢に対抗、再編起爆剤にも”. 産経ニュース. (2014年1月28日). https://web.archive.org/web/20140407110605/https://www.sankeibiz.jp/business/news/140128/bse1401282337002-n1.htm 2021年10月11日閲覧。 
  29. ^ “進まぬ再編の後押しなるか 大手地銀9行連合の波紋”. ダイヤモンド・オンライン. (2014年2月17日). http://diamond.jp/articles/-/48791 2014年12月23日閲覧。 
  30. ^ “千葉銀など地銀6行、国際業務で協定”. 日本経済新聞. (2014年9月18日). http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS1800Z_Y4A910C1EE8000/ 2014年12月23日閲覧。 
  31. ^ 「伊予銀行、人材紹介業に参入 地元中小に経営幹部を紹介」日本経済新聞ニュースサイト(2020年3月19日)2021年7月4日閲覧
  32. ^ 伊予銀行、持ち株会社「いよぎんHD」移行へ 10月発足日本経済新聞ニュースサイト(2022年5月13日)2022年6月5日閲覧
  33. ^ 「次期基幹系システム」構築に関する基本合意について”. 伊予銀行. 2023年12月19日閲覧。
  34. ^ 第59回「伊予銀行第9代頭取 三好賢治・新頭取に聞く」 - ニュースの深層 南海放送解説室 2020-04-30
  35. ^ 伊予銀行・いよぎんスタッフサービス事件・最高裁上告不受理決定を批判する (PDF) 脇田滋
  36. ^ 労働判例研究 伊予銀行・いよぎんスタッフサービス事件 (PDF) 坂本正幸
  37. ^ “伊予銀の元常務、取引先から不正に資金預かる”. 日本経済新聞. (2014年11月7日). http://www.nikkei.com/article/DGXLASJB07H1I_X01C14A1000000/ 2014年12月23日閲覧。 
  38. ^ “預かり証偽造で3千万円受け取る 伊予銀の元常務、取引先から1億円の借り入れも”. 産経ニュース. (2014年11月7日). http://www.sankei.com/west/news/141107/wst1411070071-n1.html 2014年12月23日閲覧。 
  39. ^ “3000万円詐取か 死亡の元伊予銀常務”. 愛媛新聞. (2014年11月7日). http://www.ehime-np.co.jp/news/local/20141107/news20141107858.html 2014年12月23日閲覧。 
  40. ^ 博多駅前2丁目交差点付近における道路陥没事故に関するお知らせ”. 福岡市. 2016年11月16日閲覧。
  41. ^ 営業店の臨時休業に関する公告”. 伊予銀行. 2016年11月16日閲覧。
  42. ^ 営業店の営業再開に関する公告”. 伊予銀行. 2016年11月16日閲覧。
  43. ^ こどもぼうはんせんし イカノオスシダー - 伊予銀行






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