仮想通貨 マイニング

仮想通貨

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/04 01:18 UTC 版)

マイニング

仮想通貨の新規発行は「マイニング」(採掘)という方法で行われる。仮想通貨とは、高度な計算プログラムである。その仮想通貨の取引にはさらに複雑で高度な計算を必要とする。そこで、世界中のマイナー(採掘者)たちが、その仮想通貨のコンピューター演算の作業に協力し、その成功報酬として新たに発行される仮想通貨を得る仕組みが生まれている。 仮想通貨のマイニングをするにはパソコン1台あれば十分であり、現在は、ビジネスとして仮想通貨の採掘に励む個人のマイナーたちや、マイニング企業が世界中に存在する。

しかし、2022年のビットコインなどの仮想通貨価格の長期低迷は仮想通貨のマイニング企業に打撃を与えている[44]。一部のマイニング(採掘)業者はその機材・装置を担保に金融機関から融資を受けているが、ビットコイン価格の低迷で、その融資の返済が難しくなりつつある。そうした融資の総額は最大40億ドル(約5400億円)に上るという[45]

アナリストらによれば、貸し手が担保として受け入れていたマイニング機器の多くは、ビットコイン価格と足並みをそろえて価値が半減している。そのため、担保価値が債務残高を下回るアンダーウォーター(水面下)状態の融資が増えている。

また、マイニング企業は、仮想通貨をマイニングするのに多くの電力を消費する。その電力需要はとても大きく、その影響で一般消費者向けの電気代も上昇している[46]。2022年9月8日、アメリカのホワイトハウスは米国内の仮想通貨マイニング事業者が、国の全家庭のコンピュータに匹敵するエネルギーを消費する勢いであることを発表し、仮想通貨のマイニング業界の電力需要を抑制するための対策を規制化する必要があると訴えた[47]


  1. ^ a b c European Central Bank (October 2012). “1”. Virtual Currency Schemes. Frankfurt am Main: European Central Bank. p. 5. ISBN 978-92-899-0862-7. オリジナルの2012-11-06時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20121106053452/http://www.ecb.europa.eu/pub/pdf/other/virtualcurrencyschemes201210en.pdf 
  2. ^ FIN-2013-G001: Application of FinCEN's Regulations to Persons Administering, Exchanging, or Using Virtual Currencies”. Financial Crimes Enforcement Network. pp. 6 (2013年3月18日). 2013年3月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年5月29日閲覧。
  3. ^ EBA Opinion on 'virtual currencies”. European Banking Authority. pp. 46 (2014年7月4日). 2014年7月8日閲覧。
  4. ^ (英語) Directive (EU) 2018/843 of the European Parliament and of the Council of 30 May 2018 amending Directive (EU) 2015/849 on the prevention of the use of the financial system for the purposes of money laundering or terrorist financing, and amending Directives 2009/138/EC and 2013/36/EU (Text with EEA relevance), OJ L, (2018-06-19), http://data.europa.eu/eli/dir/2018/843/oj/eng 2019年9月18日閲覧。 
  5. ^ 岡田仁志、高橋郁夫、山崎重一郎『仮想通貨 - 技術・法律・制度』東洋経済新報社、2015年、10頁
  6. ^ Sutter, John D. (2009年5月19日). “Virtual currencies power social networks, online games”. CNN. https://edition.cnn.com/2009/TECH/05/18/online.currency/index.html?eref=rss_tech 
  7. ^ Bitcoins Virtual Currency: Unique Features Present Challenges for Deterring Illicit Activity”. Cyber Intelligence Section and Criminal Intelligence Section. FBI (2012年4月24日). 2014年5月27日閲覧。
  8. ^ U.S. Government Accountability Office (2013年5月). “Virtual Economies and currencies: Additional IRS guidance could reduce tax compliance risks”. GAO Report GAO-13-516. Report to the Committee on Finance, U.S. Senate. 2013年6月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。27 May 201閲覧。
  9. ^ Raskind, Max (2013年11月18日). “U.S. Agencies to Say Bitcoins Offer Legitimate Benefits”. Bloomberg. オリジナルの2013年11月19日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20131119023830/http://www.bloomberg.com/news/2013-11-18/u-s-agencies-to-say-bitcoins-offer-legitimate-benefits.html 
  10. ^ SUBCOMMITTEE ON DOMESTIC AND INTERNATIONAL MONETARY POLICY. “The Future of Money”. Congressional Hearing. Internet Archive. 2014年5月27日閲覧。
  11. ^ 第190回国会における金融庁関連法律案:金融庁
  12. ^ 林賢治 (2017年1月27日). “現役弁護士による仮想通貨(暗号通貨)に関する資金決済法改正についての概要”. ブロックチェーンビジネス研究会. 2018年2月4日閲覧。
  13. ^ “「仮想通貨」→「暗号資産」に名称変更 改正資金決済法が成立”. Engadget日本版. Engadget. (2019年5月31日). オリジナルの2019年5月31日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190531174819/https://japanese.engadget.com/2019/05/31/bitcoin/ 2019年6月1日閲覧。 
  14. ^ “仮想通貨は「暗号資産」に改称 法定通貨との誤認防ぐ”. 朝日新聞. (2019年5月31日). https://www.asahi.com/articles/ASM5053B5M50ULFA02S.html 2019年6月1日閲覧。 
  15. ^ 世界初、ビットコインが法定通貨に エルサルバドル議会が可決 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
  16. ^ エルサルバドル、9月7日にビットコイン法定通貨化 「使用任意」 | ロイター
  17. ^ ビットコインに関する再質問に対する答弁書:答弁本文:参議院
  18. ^ El Salvador’s Bitcoin Law: Full English Text | by Avik Roy | Jun, 2021 | FREOPP.org
  19. ^ 内閣参質204第114号
  20. ^ Andy Greenberg (2011年4月20日). “Crypto Currency”. Forbes.com. https://www.forbes.com/forbes/2011/0509/technology-psilocybin-bitcoins-gavin-andresen-crypto-currency.html 2014年8月8日閲覧。 
  21. ^ ビットコインの多様化”. 2019年9月24日閲覧。
  22. ^ Estonia says it won’t issue a national cryptocurrency and never planned to
  23. ^ a b c d e f g 仮想通貨 かそうつうか virtual currencydigital currencycrypto-currency”. 日本大百科全書. 小学館. 2018年1月5日閲覧。
  24. ^ 朝日新聞掲載「キーワード」
  25. ^ 仮想通貨取引所おすすめ12選【2023年最新】将来性などの選ぶポイント3つから口座開設の流れまで徹底解説”. マネー α navi. 2023年3月30日閲覧。
  26. ^ 仮想通貨「NEM」とは”. 日本経済新聞. 2018年2月28日閲覧。
  27. ^ 中国が仮想通貨を全面禁止 刑事責任も追及、取り締まり更に厳格化”. SankeiBiz (2021年9月24日). 2021年9月23日閲覧。
  28. ^ 北朝鮮系のハッカー集団、暗号資産2200億円を昨年盗む=報告書」『BBCニュース』。2023年3月5日閲覧。
  29. ^ Crawley, Jamie (2023年2月7日). “北朝鮮による暗号資産ハッキング被害額、2022年は過去最高に:ロイター | coindesk JAPAN | コインデスク・ジャパン”. CoinDesk Japan. 2023年3月5日閲覧。
  30. ^ 「NFTゲームからの750億円盗難事件」に北朝鮮のサイバー犯罪グループが関与していたことが判明”. GIGAZINE (2022年4月15日). 2023年7月3日閲覧。
  31. ^ 北朝鮮、オンラインゲーム暗号資産780億円奪取 米当局”. 日本経済新聞 (2022年4月15日). 2023年7月3日閲覧。
  32. ^ 北ハッカー暗号資産窃取、ミサイル「31発分」の800億円…人気のオンラインゲーム標的”. 読売新聞オンライン (2023年2月3日). 2023年7月3日閲覧。
  33. ^ 北ハッカー暗号資産窃取、ミサイル「31発分」の800億円…人気のオンラインゲーム標的”. 読売新聞オンライン (2023年2月3日). 2023年7月3日閲覧。
  34. ^ https://www.facebook.com/mainichishimbun.+“北朝鮮ハッカー集団、130億円窃取 サイバー攻撃で兵器開発か”. 毎日新聞. 2023年7月3日閲覧。
  35. ^ エルサルバドル、ビットコイン普及遠く 法定通貨1年”. 日本経済新聞 (2022年9月7日). 2023年3月13日閲覧。
  36. ^ エルサルバドル、ビットコインの買い増しを発表”. BTCC (2022年5月10日). 2023年3月13日閲覧。
  37. ^ エルサルバドル:ビットコイン価格急落時に「80BTC」買い増し”. 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ. 2023年3月13日閲覧。
  38. ^ エルサルバドル逆風、ビットコイン価格下落で信用低下(写真=ロイター)”. 日本経済新聞 (2022年7月27日). 2023年3月13日閲覧。
  39. ^ エルサルバドル、ビットコイン普及遠く 法定通貨1年”. 日本経済新聞 (2022年9月7日). 2023年3月13日閲覧。
  40. ^ 亨介, 住井 (2022年10月9日). “【国際情勢分析】中米エルサルバドル、ビットコイン普及進まず 法定通貨化から約1年”. 産経ニュース. 2023年3月13日閲覧。
  41. ^ ビットコイン法定通貨化は「失敗」 エルサルバドル世論調査”. 時事通信ニュース. 2023年3月13日閲覧。
  42. ^ エルサルバドル、技術革新に関する全税を撤廃へ 国家ビットコインオフィスも設立”. コインテレグラフジャパン|仮想通貨+Web3.0の最新ニュースサイト. 2023年6月19日閲覧。
  43. ^ 中央アフリカがビットコインを法定通貨に採用、2カ国目”. BBC. 2023年6月21日閲覧。
  44. ^ 仮想通貨マイニング企業に迫る暗雲、40億ドルの融資が焦げ付く恐れ”. Bloomberg.com. 2022年11月17日閲覧。
  45. ^ 仮想通貨マイニング企業に迫る暗雲、40億ドルの融資が焦げ付く恐れ”. Bloomberg.com. 2022年11月17日閲覧。
  46. ^ 米仮想通貨マイナーの電力消費は230万都市ヒューストンに匹敵”. アクシオン|次世代ビジネスニュースメディア (2022年7月18日). 2022年7月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月17日閲覧。
  47. ^ 「仮想通貨マイニング企業は使用エネルギー量を報告せよ」米政府が勧告”. Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン) (2022年9月12日). 2022年11月17日閲覧。


「仮想通貨」の続きの解説一覧




仮想通貨と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

「仮想通貨」に関係したコラム

  • 株主優待銘柄とは

    株主優待銘柄とは、株主に対する還元策の1つとして商品券や割引券など配布している銘柄のことです。企業は、株主還元のため、また、株主の獲得のためにさまざまな株主優待を用意しています。株主優待は、1単元でも...

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「仮想通貨」の関連用語

1
バーチャル‐カレンシー デジタル大辞泉
100% |||||

2
匿名通貨 デジタル大辞泉
100% |||||


4
匿名暗号通貨 デジタル大辞泉
100% |||||

5
プレマイニング デジタル大辞泉
100% |||||

6
エックス‐アール‐ピー デジタル大辞泉
100% |||||




10
マスター‐ノード デジタル大辞泉
94% |||||

仮想通貨のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



仮想通貨のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの仮想通貨 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS