XRP
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/09/07 14:28 UTC 版)
| 暗号資産 | |
|---|---|
| |
|
| 資産名 | XRP(エックスアールピー) |
| 種別 | 暗号資産 |
| ティッカーシンボル | XRP |
| 台帳 | XRP Ledger |
| 台帳種別 | パブリック |
| ソフトウェア | xrpld |
| 初版 | v0.12 2013年8月3日 |
| 最新版 | v3.2.0 2026年6月16日 |
| レポジトリ | https://github.com/XRPLF/rippled |
| 開発者 | デイビッド・シュワルツ、ジェド・マケーレブ、アーサー・ブリット |
| 承認アルゴリズム | XRP Ledger Consensus Protocol |
| ノード数 | 約800(観測値、2026年9月)[1] |
| 承認者 | 120以上のアクティブなバリデータ[2][3](XRPL Foundation推奨リストは35)[4] |
| 速度 | 1500 txn/s |
| 分配方法 | 寄付、取引 |
| 発行者 | 初期開発者 |
| 単位 | 1 XRP = 1,000,000 drops |
| 最大発行数 | 100,000,000,000 XRP(開始時の生成量) |
| 発行済 | 62,744,504,852 XRP(循環供給量、2026年8月16日時点)[5][6] |
| 価格 | 変動制 |
| 用途 | ブリッジ通貨、支払い、決済、NFT、MPT |
| ウェブサイト | https://xrpl.org/ |
XRP(エックスアールピー)は、分散型台帳であるXRP Ledger(エックスアールピー・レジャー、略称:XRPL)のネイティブ暗号資産である。XRP Ledgerは、デイビッド・シュワルツ、ジェド・マケーレブ、アーサー・ブリットによって2011年に開発が開始され、2012年6月に稼働を開始したオープンソースの分散型台帳である。[7] XRPとXRP Ledgerは密接に関連するため、本項では両者について記述する。
XRP Ledgerは、Proof of Work(PoW)によるマイニングやProof of Stake(PoS)によるステーキングではなく、ネットワーク上のサーバーが選択したバリデータからの検証結果を参照して台帳の状態について合意するXRP Ledger Consensus Protocol(XRP LCP)を採用している。[8] XRPの送受信のほか、トークンの発行、分散型取引所(DEX)、異なる資産間の交換を伴う決済、エスクロー、決済チャネル、非代替性トークン(NFT)などの機能を備える。[9][10]
XRPはXRP Ledgerの開始時に1000億単位が生成された。プロトコルには、その後新たなXRPを生成する仕組みはなく、トランザクションコストとして支払われたXRPは消却される。[11][12] 開始時に生成されたXRPのうち200億XRPは創設者らが保持し、800億XRPは後にリップル社となる企業へ譲渡された。[11]
リップル社は、XRP Ledgerのソフトウェア開発に継続的に参加し、XRPを保有・利用している企業である。XRP Ledgerのソースコードは公開されており、ネットワーク上では個人や組織がサーバーやバリデータを運用している。[13]
歴史
前史
XRP Ledgerに先立ち、カナダのソフトウェア開発者ライアン・フッガーは2004年、社会的な信頼関係と債権・債務を利用して価値を移転する分散型通貨ネットワークの構想を発表した。[14]
この構想はIOU(借用証書)を支払いの基礎とし、利用者が互いの信用に応じてIOUを受け入れ、仲介者の連鎖に沿って債権・債務を調整する仕組みであった。[14]
「Ripple」と呼ばれたこの構想は、個人が自身の信用に基づく通貨を発行することに加え、異なる通貨コミュニティ間の支払いを可能にすることを目指した。二つの通貨を利用する参加者が両コミュニティ間の仲介者となり、必要に応じて複数の仲介者を結ぶ経路を探索することで、共通の参加者がいない通貨コミュニティ間でも支払いを行う仕組みであった。[15]
フッガーは、複数の独立したサーバーを結ぶ公開の分散型決済プロトコルの開発を目標とする「Ripple Project」を進める一方、構想を実装したウェブサービス「RipplePay.com」を運営した。フッガーは、他者も独自のRippleサイトを運営できるようRippleのコードを公開した。[16]2007年の説明では、RipplePayの商業的可能性と本格的な商業サービスへの発展構想にも言及している。[17]RipplePay.comを動かすソフトウェア「RippleSite」は、GNU General Public License(GPL)によるオープンソースとして公開された。[16]
このような公開プロトコルの開発と商業的なウェブサービスの運営は並行して進められたが、初期のRipplePayは単一サーバーで動く実装であり、複数サーバーにまたがる分散プロトコルとは区別されていた。[18]フッガー自身も分散型の実装に取り組み、2007年4月には、Pythonと通信ライブラリTwistedを用いたP2P版を開発中であると述べている。[19]2009年7月、フッガーは「利用者が少ないとネットワークの有用性が低く、利用者を増やすことも難しい」という問題の解決策を見いだすまで、Rippleの構想に関する技術開発を休止することを告知した。[16]しかし、IOUに基づく複数通貨間の迅速なP2P決済というフッガーの基本構想は、その後のXRP Ledgerを統合した次世代バージョンのRippleにも受け継がれた。[20]
XRP Ledgerの開発
2011年5月、ジェド・マケーレブはBitcoinTalk上に「Bitcoin without mining」と題した投稿を行い、ビットコインが用いるProof of Workによるマイニングとは異なり、参加者が信頼するノードの合意を利用して共有台帳を維持する仕組みについて議論した。マケーレブは、ビットコインの採掘に伴う資源の浪費を問題視し、ネットワークが拡大すれば採掘への支出も増大すると指摘した[21]。その代案として、参加者が互いに結託して不正を行う可能性が低いと判断したノードを選び、それらの判断を照合して共有台帳を維持する方式を提案した。ここでいう信頼とは、個々のノードが常に正しく行動するという意味ではなく、選んだノードが互いに結託して不正な取引履歴を承認する可能性が低いという判断を指す[22]。
その後、マケーレブはデイビッド・シュワルツとともに新しい分散型台帳の開発を進め、アーサー・ブリットが参加した[7]。開発されたコードやシステムには当初「Ripple」という名称が用いられた。当時の「Ripple」という名称は、オープンソースプロジェクト、台帳、トランザクションプロトコル、ネットワーク、およびネイティブ資産など複数の対象に使用されていた。ネイティブ資産は当初「ripples」とも呼ばれ、通貨コードとして「XRP」が使用された。その後、名称を明確に区別するため、ネイティブ資産については「XRP」という呼称が一般的に用いられるようになった。[7]
2012年、マケーレブらのチームにはクリス・ラーセンが参加した。同年、チームはフッガーと協議し、従来のRippleの概念と新たに開発したオープンソースの分散型台帳(現在のXRP Ledger)を組み合わせた新しいRippleのプロジェクトを進めることとなった。
稼働開始とリップル社の設立
2012年6月までにシュワルツ、マケーレブ、ブリットによる主要なコード開発が完了し、XRP Ledgerが稼働を開始した。[7] XRP Ledgerのコードによって1000億XRPが生成され、それ以降に追加でXRPを生成する仕組みは設けられなかった。[11]
2012年9月、ラーセンやマケーレブらはNewCoin, Inc.を設立した。同社は翌10月にOpenCoin, Inc.へ改称し、2013年にはRipple Labs, Inc.へ改称した。[11] XRP Ledgerの創設者らは、生成された1000億XRPのうち800億XRPを同社へ譲渡し、残る200億XRPを創設者らが保持した。[11][7]
企業としての沿革については「リップル社」を参照。
名称の変遷と機能拡張
XRP Ledgerは当初、Ripple Consensus Ledger(RCL)などの名称でも呼ばれていたが、2017年には「XRP Ledger」という名称が使用されるようになった。[23]
XRP Ledgerでは、稼働後もAmendmentと呼ばれる仕組みによってプロトコル機能の追加や変更が行われている。2022年10月31日にはXLS-20仕様に基づく非代替性トークン(NFT)の機能がメインネットで有効化された。[24]
2024年3月22日には、自動マーケットメーカー(AMM)機能を追加するAmendmentがメインネットで有効化され、従来のオーダーブック型分散型取引所と組み合わせて利用できるようになった。[25]
2025年10月1日には、XLS-33仕様に基づくMulti-Purpose Token(MPT)の基礎機能を実装するMPTokensV1 Amendmentがメインネットで有効化された。これにより、従来のトラストラインを利用するトークンとは異なる形式の代替可能トークンをXRP Ledger上で発行・保有・送金できるようになった。[26][27]
技術
台帳とサーバー
XRP Ledgerは、連続する台帳バージョン(ledger version)によってネットワークの状態を記録する。各台帳には、XRPおよびトークンの残高、アカウントの設定、注文、エスクローなどの状態と、直前の台帳からその状態へ移行するために適用されたトランザクションが記録される。[28]
ネットワーク上のサーバーは候補となるトランザクションを共有し、コンセンサスを通じて次の台帳に適用するトランザクションについて合意する。合意されたトランザクションを適用した結果について十分な検証が得られた台帳はvalidated ledgerと呼ばれる。[29]
XRP Ledgerの中核となるサーバーソフトウェアはxrpldである。xrpldはP2Pネットワークへの接続、トランザクションの処理、台帳データの管理、コンセンサスへの参加などを行う。台帳データへのAPIアクセスに特化したサーバーソフトウェアとしてClioも開発されている。[13]
コンセンサスとバリデータ
XRP LedgerはXRP Ledger Consensus Protocol(XRP LCP)と呼ばれるコンセンサス方式を使用する。ネットワーク上のサーバーは候補となるトランザクションを共有し、バリデータは次の台帳に含めるトランザクションについて提案を交換する。提案は複数回更新され、選択されたバリデータの大多数が同じトランザクション集合について合意すると、その集合を基に次の台帳が計算される。[8][29]
バリデータは、計算した台帳について暗号学的に署名されたvalidationをネットワークへ送信する。サーバーはこれらを参照して、同じ台帳について十分な検証が得られたかを判断する。[8]
各XRP Ledgerサーバーは、コンセンサスで参照するバリデータの一覧を保持する。この一覧をUnique Node List(UNL)という。UNLはネットワーク全体で一つに固定されているものではなく、それぞれのサーバー運用者が設定できる。[30]
XRP Ledgerでは推奨バリデータリストを利用することもできる。標準設定ではXRP Ledger Foundationとリップル社が公開するリストが使用されるが、サーバー運用者は利用するリストや個々のバリデータの設定を変更することができる。[30]
バリデータには、マイニング報酬やステーキング報酬に相当するプロトコル上の報酬は設けられていない。[31]
アカウントと暗号鍵
XRP Ledger上のアカウントは、アドレス、XRP残高、シーケンス番号、各種設定などの状態を持つ。トランザクションを送信するためには、アカウントに関連付けられた暗号鍵による署名が必要となる。[32]
XRP Ledgerで一般的に使用されるクラシックアドレスは「r」から始まる文字列である。アドレスは公開鍵そのものではなく、公開鍵から導出されるAccount IDをエンコードしたものである。秘密鍵、公開鍵、Account ID、アドレスはそれぞれ異なるデータである。
XRP Ledgerでは単一の鍵による署名のほか、複数の鍵によるマルチ署名や、通常使用する鍵とは別のRegular Keyを設定することもできる。
トランザクションコスト
XRP Ledgerでは、スパムやDoS攻撃によるネットワークへの過剰な負荷を抑制するため、原則として各トランザクションで少量のXRPをトランザクションコストとして消費する。[12]
トランザクションコストとして指定されたXRPは、バリデータやその他の参加者へ支払われるのではなく、トランザクションが検証済み台帳に含まれる際に消却される。標準的なトランザクションの最低コストはネットワーク設定によって定められており、ネットワーク負荷に応じて必要額が増加する場合がある。[12]
リザーブ
XRP Ledgerには、アカウントや台帳オブジェクトが無制限に作成されることを防ぐため、XRPによるリザーブ要件が設けられている。[33]
リザーブは、アカウントを維持するためのBase Reserveと、そのアカウントが所有する対象オブジェクトに応じて必要となるOwner Reserveから構成される。リザーブの設定値はネットワークのFee Votingによって変更できる。[33]
プロトコル変更
XRP Ledgerのトランザクション処理規則に影響する新機能や修正は、Amendmentとして導入される。[34]
Amendmentに対応するコードがサーバーソフトウェアに実装された後、バリデータがその機能を有効化するかについて投票する。80%以上の支持が2週間連続して維持された場合、そのAmendmentが有効化され、以降の台帳に新しい規則が適用される。[34]
XRP
供給と初期配分
XRPはXRP Ledgerのネイティブ資産であり、通貨コードはXRPである。XRPの最小単位はdropと呼ばれ、1 XRPは100万dropsに相当する。
XRP Ledgerの開始時に1000億XRPが生成された。XRP Ledgerにはマイニングなどによって新しいXRPを継続的に生成する仕組みはなく、開始時に生成された1000億XRPが初期の総量となった。[11]
1000億XRPのうち、200億XRPは創設者らが保持し、800億XRPは後にリップル社となる企業へ譲渡された。[11][7]
トランザクションコストとして使用されたXRPは消却されるため、XRPの総量は開始時の1000億XRPから減少する。[12] 総量には流通しているXRPのほか、個人・企業などが保有するXRPやエスクローに設定されたXRPも含まれる。
リップル社によるエスクロー
2017年、リップル社は保有していたXRPのうち550億XRPをXRP Ledger上のエスクローに設定した。[35]
エスクローは、合計10億XRPが毎月利用可能になる一連の台帳上の契約として設定された。各月に利用されなかったXRPは、新しいエスクローに設定され、後の月に利用可能となる。[35]
XRP Ledgerのエスクロー機能では、指定された時刻や暗号学的条件が満たされるまでXRPをロックし、その条件が成立した後に資金を解放することができる。
用途
XRPは、XRP Ledger上で直接送受信できるネイティブ資産として使用される。また、トランザクションコストの支払い、アカウントや台帳オブジェクトに必要なリザーブ、異なる資産を交換する際の中間資産などにも使用される。[12][33]
XRPの直接送金では、送信者から受取人へXRPを転送するPaymentトランザクションが使用される。
XRP Ledgerでは、送信する資産と受取人が受け取る資産が異なるクロスカレンシー支払いも実行できる。利用可能な流動性に応じ、台帳上の分散型取引所を利用して複数の資産を交換しながら支払いを完了することができる。[36]
トークン同士を交換する際、XRPを経由した方が交換条件が適している場合には、XRPを中間資産として利用するオートブリッジが自動的に使用されることがある。[36]
トークンと分散型取引所
トークン
XRP Ledgerでは、XRP以外の資産をトークンとして表現することができる。トークンには代替可能トークンと非代替性トークンがある。[9]
XRP Ledgerにおける代替可能トークンには、trust line token(トラストライン・トークン)とMulti-Purpose Token(MPT)の2つの形式がある。[37]
トラストライン・トークン
XRP Ledgerでネットワークの稼働開始時から利用されている代替可能トークンの方式はtrust line tokenと呼ばれる。発行者がトークンを発行し、利用者は発行者との間にトラストラインを設定することで、そのトークンを保有できる。トラストラインには発行者、通貨コード、残高、保有限度額などの情報が記録される。[38]
トラストライン・トークンは過去に「IOU」や「issued currency」と呼ばれることもあった。XRP Ledgerの現在の公式文書では、これらの用語はトークンが表現できる資産の範囲を十分に表していないとして、より一般的な「token」または「trust line token」という名称が使用されている。[9]
Multi-Purpose Token
Multi-Purpose Token(MPT)は、XRP Ledger上の代替可能トークン形式の一つである。トラストライン・トークンの運用から得られた知見を基に、より効率的なデータ構造と単純化された発行・保有モデルを提供することを目的として設計された。[26]
MPTの基礎機能を実装するMPTokensV1 Amendmentは2025年10月1日にXRP Ledgerのメインネットで有効化された。MPTでは、それぞれの発行が固有のMPT Issuance IDによって識別され、発行に関する情報はMPTokenIssuance、各アカウントによる保有情報はMPTokenと呼ばれる台帳オブジェクトに記録される。[26][27]
発行者はMPTの最大供給量、譲渡の可否、保有者に対する認証の要否、凍結やクローバックなどの条件を設定できる。MPTを受け取るアカウントは、対象となるMPTを保有する意思をトランザクションによって示す必要がある。MPTはPaymentトランザクションを用いてアカウント間で直接送金することができる。[26]
MPTに関する機能は複数のAmendmentによって拡張されている。MPTをXRP、トラストライン・トークン、他のMPTなどとXRP Ledgerの分散型取引所上で直接取引できるようにするMPTokensV2は、2026年9月時点では開発中である。[27]
非代替性トークン(NFT)
2022年10月31日には、XLS-20仕様に基づく非代替性トークン(NFT)の機能がメインネットで有効化された。XRP Ledger上のNFTはNFTokenとして台帳に記録され、発行、移転、売買、消却などを行うことができる。[24]
分散型取引所
XRP Ledgerには、プロトコルに組み込まれた分散型取引所(Decentralized Exchange、DEX)が存在する。XRP LedgerのDEXはネットワークの稼働開始時から存在し、XRPとトラストライン・トークン、または異なるトラストライン・トークン同士を交換できる。[39]
オーダーブック型のDEXでは、利用者はOfferと呼ばれる注文を台帳に登録する。互いの条件に一致するOfferが存在する場合、トランザクションの処理時に価格条件の良いものから順に約定する。[39]
2024年3月には、オーダーブックとは別の流動性供給方法として自動マーケットメーカー(Automated Market Maker、AMM)が追加された。AMMでは2種類の資産からなる流動性プールが作成され、数式に基づいて交換レートが決定される。[40] XRP Ledgerでは、対応する資産についてオーダーブックとAMMの双方の流動性を利用することができる。
MPTokensV1で導入されたMPTは直接送金に対応する一方、MPTをDEXの取引可能資産として統合する機能はMPTokensV2として開発されている。[27]
パス型決済
XRP Ledgerのクロスカレンシー支払いでは、送信者が保有する資産と受取人が受け取る資産が異なる場合、複数の交換やトラストラインを組み合わせた経路を利用できる。資産を移転・交換するこの経路はパスと呼ばれる。[36]
例えば、あるトークンから別のトークンへの支払いでは、直接その2つを交換する経路のほか、XRPを中間資産として経由する経路などを利用できる。XRP Ledgerは利用可能な流動性から支払いに使用できる経路を組み合わせることができる。
クロスカレンシー支払いはアトミックに処理される。すなわち、必要な流動性が存在して支払い全体を実行できる場合にのみ取引が成立し、支払い全体を実行できない場合に途中の交換のみが台帳へ残ることはない。[36]
開発・維持とコミュニティ支援に関わる組織
XRP Ledgerに関連するソフトウェアの開発、技術基盤の維持、開発者の育成やコミュニティ支援には、複数の企業や団体が参加している。
XRPL Foundation
XRPL Foundationは、XRP Ledgerの技術基盤の維持や開発を支援する組織である[41]。2025年2月の発表では、フランスで設立された新しい財団の設立メンバーとして、XRPL Commons、XRPL Labs、リップル社、XAO DAOが挙げられている。同発表では、旧財団から新財団への資産移管と、その一環として旧財団が公開していた推奨バリデータリスト(UNL)の移管が進められていると説明された[42]。
XRPL Labs
XRPL Labsは、XRP Ledger用ウォレット「Xaman」(旧称Xumm)などのソフトウェア開発を行っている[43]。また、開発・試験用ネットワークであるテストネットの公開サーバーを提供している[44]。
XRPL Commons
XRPL Commonsは、2023年に発足したパリを拠点とする非営利団体で、XRP Ledgerの開発者向け教育や技術支援を行っている[45]。2025年7月には、C++開発者を対象としてXRP Ledgerのコア開発を学ぶ研修「XRPL Core Dev Bootcamp」をパリで開催し、基盤ソフトウェアへの貢献者の育成に取り組んだ[46]。
XAO DAO
XAO DAOは、会員による提案や投票を通じて、XRP Ledgerに関連する活動への助成や組織の運営方針を決定する仕組みを設けている。投票の対象には、組織の資金管理、助成の承認、規則の変更などが含まれる[47]。また、XRPL Commons、XRPL Labs、リップル社とともに、新しいXRPL Foundationの設立メンバーに名を連ねている[42]。
XRPL Japan
XRPL Japanは、日本国内におけるXRP Ledgerの普及・活用を推進し、ワークショップ、ハッカソン、教育コンテンツなどを通じた支援を掲げている[48]。XRPおよびXRP Ledgerをテーマとするカンファレンス「XRP Tokyo」の主催団体であり、2026年4月には東京の八芳園で「XRP Tokyo 2026」が開催された。[49]。
主なバリデーター
XRP Ledgerのバリデーターの運営主体には、大学・研究機関、企業・団体、個人などがある。以下は、公表された運営実績およびバリデーター一覧に基づく主な運営主体である。[50]
UNL掲載欄は、2026年9月6日に確認したXRPL Foundationの推奨リストにおける、運営主体の名称・所属ドメインの掲載状況を示す。[51]国・地域は大学・法人等の所在地・登録国、または運営者が公開している国の情報による。[52]
大学・研究機関
| 運営主体 | 国・地域 | UNL掲載 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 東京大学 | 日本 | なし | 2024年度の研究概要にバリデーター運用を記載。[53] |
| 京都大学 | 日本 | なし | 2019年11月に運用開始を発表。[54] |
| マサチューセッツ工科大学(MIT) | アメリカ合衆国 | なし | 2016年4月にConnection Scienceによる運営を発表。[55] |
| 高麗大学 | 韓国 | なし | 2024年9月の発表に学内での運営を記載。[56] |
| ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL) | イギリス | なし | 2025年10月の発表では、2019年からの運営と発表当時のUNL掲載を説明。[57] |
| カリフォルニア大学バークレー校 | アメリカ合衆国 | あり | — |
| オーストラリア国立大学 | オーストラリア | あり | — |
| カンザス大学 | アメリカ合衆国 | あり | — |
| ニコシア大学 | キプロス | あり | — |
| ノースカロライナ大学チャペルヒル校 | アメリカ合衆国 | あり | — |
| ウォータールー大学 | カナダ | あり | — |
| シンガポール国立大学 | シンガポール | なし | — |
| ニューヨーク大学アブダビ校 | アラブ首長国連邦 | なし | — |
| ルクセンブルク大学 | ルクセンブルク | なし | — |
| トロント・メトロポリタン大学 | カナダ | なし | — |
| サンパウロ大学 | ブラジル | なし | — |
| ベルン大学 | スイス | なし | — |
| ジェトゥリオ・ヴァルガス財団(FGV) | ブラジル | なし | 高等教育・研究機関 |
企業・団体・プロジェクト
| 運営主体 | 国・地域 | UNL掲載 | 備考 |
|---|---|---|---|
| Ripple | アメリカ合衆国 | あり | — |
| XRPL Labs | オランダ | あり | — |
| XRPL Commons | フランス | あり | フランスの非営利団体。[58] |
| Bitso | メキシコ | あり | 本社所在地による。[59] |
| Bitrue | コスタリカ | あり | 公式利用規約に記載された運営法人の登録国による。[60] |
| GateHub | イギリス | あり | — |
| Peersyst Technology | スペイン | あり | — |
| Bithomp | スウェーデン | あり | — |
| XRPScan | インド | あり | — |
| Gen3 Labs | オーストラリア | あり | — |
| XPMarket | イギリス | あり | — |
| Anodos Finance | ギリシャ | あり | — |
| onXRP | ポルトガル | あり | バリデーター運営者として掲載されたKaj Leroyの国情報による。[52] |
| SBI VCトレード | 日本 | なし | 2024年5月にノード運用開始を発表。[61] |
| Cabbit Technology LLC | アメリカ合衆国 | あり | Scott Bransonが運営。BransonはInclusive Financial Technology Foundationのアドバイザーも務める。[62]同社は2016年からバリデーターを運用。[63] |
| Aureus Ox | アメリカ合衆国 | あり | 創業者・開発者はNicholas LoBue。[64]XRPLおよびFlareのインフラを運用。[65] |
個人
| 運営主体 | 国・地域 | UNL掲載 | 備考 |
|---|---|---|---|
| tequ | 日本 | あり | XRP LedgerおよびXahau Networkのコントリビューター。[66] |
| Vet | ドイツ | あり | xrp.cafe共同創業者。[67] |
| Jon Nilsen | ノルウェー | あり | |
| Christian Katczynski | ドイツ | あり | |
| Robert Swarthout | アメリカ合衆国 | あり | Teton Crypto Capitalの創業者・CEO・ポートフォリオマネージャー。[68] |
| Ricky Owens | ニュージーランド | あり |
個人の表示名と国・地域は、公開されている運営者情報による。国・地域は国籍を示すものではない。[52]
この一覧は全バリデーターを網羅したものではない。UNL欄の「なし」は運営停止を意味せず、過去の発表に基づく備考は、その資料の時点における運営実績を示す。
コミュニティのイベント
XRPの保有者やXRP Ledgerの開発者などを対象としたイベントが開催されている。
XRP Ledger Apex
XRP Ledger Apexは、XRP Ledgerの開発者やコミュニティの参加者などが集まり、技術や関連プロジェクトについて発表・議論を行う年次イベントである[69]。
初回は2021年に、米国ラスベガスとエストニアのタリンの会場およびオンラインで開催された。2022年には第2回がラスベガスで開催された[70][71]。2023年と2024年はオランダのアムステルダムで開催され[72][73]、2025年は6月10日から12日にシンガポールで開催された[74][75]。
2026年9月時点では、同年のApexはリップル社のイベント「Swell」と統合し、10月27日から29日に米国ニューヨークで開催される予定と発表されている[76]。
XRP Community Day
XRP Community Dayは、XRPの保有者、開発者、企業関係者などが参加するコミュニティイベントである。2024年9月6日には東京・品川で「XRP Community Day Tokyo」が開催され、同日には交流イベント「XRP Community Night Tokyo」も開催された[77]。
2025年1月28日から29日には、欧州・中東・アフリカ、米州、アジア太平洋の3地域向けに、Xのスペースを用いたオンライン形式で開催された[78]。セッションでは、XRP Ledgerを利用したプロジェクトの紹介や、技術動向、トークン化などについての議論が行われた[79]。
XRP Las Vegas
XRP Las Vegasは、米国ラスベガスで開催されるXRP関連のカンファレンスである。XRPコミュニティの参加者や開発者、業界関係者などを対象とし、講演やパネルディスカッション、交流の機会が設けられている[80]。
XRP Tokyo
XRP Tokyoは、一般社団法人XRPL Japanが主催する、XRPおよびXRP Ledgerに関するカンファレンスである[81]。
2026年4月7日には、東京の八芳園で「XRP Tokyo 2026」が「TEAMZ SUMMIT 2026」と併催された。XRP Ledgerのエコシステム拡大や日本市場での取り組みなどについて講演が行われた[82]。
リップル社との関係
リップル社は、XRP LedgerおよびXRPと歴史的・技術的・経済的な関係を持つフィンテック企業である。同社は2012年9月にNewCoin, Inc.として設立され、その後OpenCoin, Inc.、Ripple Labs, Inc.へと名称を変更した。[11]
XRP Ledgerの創設者らは、開始時に生成された1000億XRPのうち800億XRPを同社へ譲渡した。リップル社はその後、XRPを保有するとともに、XRP LedgerやXRPを利用する事業を展開してきた。2017年には保有XRPのうち550億XRPをXRP Ledger上のエスクローに設定した。[35]
リップル社はXRP Ledgerの中核サーバーソフトウェアなどの開発にも参加している。XRP Ledgerのソースコードはオープンソースとして公開されており、リップル社以外の開発者もコードの開発や提案に参加できる。ネットワーク上のサーバーやバリデータについても、複数の個人や組織によって運用されている。[13]
XRP Ledgerの各サーバーは、コンセンサスで参照するバリデータの一覧であるUNLを設定する。標準設定ではXRP Ledger Foundationとリップル社が公開する推奨バリデータリストが使用されるが、サーバー運用者は利用するリストやバリデータを変更することができる。[30]
リップル社の事業、製品、経営、沿革については「リップル社」を参照。
米国における法的位置付け
SEC対Ripple訴訟
2020年12月22日、米国証券取引委員会(SEC)は、リップル社、同社共同創業者のクリス・ラーセンおよびCEOのブラッド・ガーリングハウスをニューヨーク南部地区連邦地方裁判所に提訴した。SECは、リップル社らが2013年以降にXRPの販売などを通じて資金を調達し、1933年証券法に基づく登録を行わずに証券の募集・販売を行ったと主張した。[83]
2023年7月13日、アナリサ・トーレス判事は、SECと被告双方による略式判決の申立てについて一部を認容した。裁判所は、XRPというデジタルトークンそれ自体は、アメリカ証券取引委員会対W. J. Howey社事件で示された投資契約の要件を具体化する「契約、取引またはスキーム」ではないとし、XRP自体ではなく、XRPの販売や分配を取り巻く個別の取引についてHoweyテストを適用した。[11]
リップル社が書面による契約に基づいて一定の企業や機関投資家へXRPを販売した「Institutional Sales(機関向け販売)」について、裁判所は、その取引がHoweyテスト上の投資契約の募集・販売に該当すると判断した。このため、これらの販売について登録を行わなかったリップル社による証券法第5条違反を認定した。[11]
一方、デジタル資産取引所を介してブラインド方式で行われた「Programmatic Sales(プログラム販売)」については、購入者が自ら支払った資金がリップル社または他のXRP売却者のいずれに渡るかを知ることができなかったことなどから、Howeyテスト上の投資契約の募集・販売には該当しないと判断した。また、従業員への報酬や第三者への対価などとして行われた「Other Distributions(その他の配布)」についても、受領者による金銭その他の対価の投資が認められないとして、投資契約には該当しないと判断した。[11]
ラーセンおよびガーリングハウスによる取引所を通じた個人的なXRPの販売についても、「プログラム販売」と同様に、投資契約の募集・販売には該当しないと判断された。[11]
略式判決では、XRPというデジタルトークンそれ自体と、XRPを対象として行われる契約・取引・スキームが区別された。一方、この判決はXRPのすべての二次市場取引について個別に判断したものではなく、訴訟で争われた各取引類型について判断したものである。[11]
2024年8月7日、裁判所は救済措置について最終判断を行い、「機関向け販売」に含まれる1,278件の取引について証券法第5条違反を認定し、リップル社に1億2,503万5,150ドルの民事制裁金を課した。また、将来の証券法第5条違反を禁止する差止命令を出した。[84]
SECは判決の一部について控訴し、リップル社も交差控訴した。その後、2025年8月7日、SECとリップル社らは双方の控訴を取り下げた。SECはこれによって民事執行訴訟が解決したと発表した。1億2,503万5,150ドルの民事制裁金および差止命令を含む地方裁判所の最終判決は維持された。[85]
2026年のSEC・CFTCによる解釈・ガイダンス
2026年3月、SECは暗号資産および暗号資産を伴う取引への米国連邦証券法の適用についての公式解釈を公表し、米国商品先物取引委員会(CFTC)はこれに関連するガイダンスを提供した。この文書は3月23日付の『Federal Register』に掲載され、同日発効した。[86]
この解釈においてSECは、暗号資産をその性質、用途および機能に応じて複数のカテゴリーに分類した。そのうちdigital commodity(デジタル・コモディティ)について、機能する暗号資産システムのプログラム上の動作および需給に本質的に結び付いて価値を持つ暗号資産と定義し、XRPをBitcoin、Ether、Solana、Cardano、Stellarなどとともにデジタル・コモディティの具体例として列挙した。[86]
SECは同文書において、そこで定義するデジタル・コモディティそれ自体は、証券としての経済的性質を持たないため、連邦証券法上の証券ではないとの解釈を示した。[86]
またSECは、暗号資産それ自体が証券ではない場合でも、その暗号資産の募集・販売を取り巻く表明や約束、購入者による利益への合理的期待などの事情によって、暗号資産を対象とする契約・取引・スキームがHoweyテスト上の投資契約を構成する場合があるとの解釈を示した。非証券である暗号資産が投資契約の対象となることによって、その暗号資産それ自体が証券に変化するわけではないとしている。[86]
関連項目
脚注
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外部リンク
- XRP Ledger - 公式サイト
- XRP Ledger Foundation
XRP
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 18:01 UTC 版)
「Ripple (支払いシステム)」の記事における「XRP」の解説
我々がXRPを分配する目的は、ネットワークに信頼、実用性、流動性を構築するような行動にインセンティブを与えることです。もし私たちがこれらの目標を念頭にXRPを分配したら、そのうち私たちが市場に注入する追加供給を相殺して上回るXRPの需要増が期待できると思っています。別の言い方をすると、他の通貨とXRPとの交換レートを安定化あるいは増価するような結果が期待できる分配戦略を実行するつもりだということです。 Ripple Labs Inc. XRPはリップル・ネットワークのネイティブな通貨である。XRPはドルやユーロとは違い、リップル内にのみ存在する生来の電子的な資産である。1000億XRPがリップル・レジャー内にプログラムされており、リップル・プロトコルのルールでそれ以上は発行されることがない。XRPはリップル内で唯一の資産となる通貨である。リップル内の他の全ての通貨は残高として存在しており、これはゲートウェイの負債であることを意味する。この資産と負債の違いが、数学に基づいた通貨の一つの革命的な性質である。なぜならXRPは負債ではなく資産であるため、ユーザーは第三者のカウンターパーティーリスクを負うことを承諾することなく、USD残高を送金する代わりにXRPで価値の交換を行うことができる。
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