サンマリノ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/11 05:34 UTC 版)
経済
サンマリノは1943年以来紙幣の発行を行っておらず、イタリアの通貨が自由に流通した[12][要ページ番号]。1972年以降は独自のコイン(サンマリノ・リラ)を発行してコイン・コレクターの人気を集めた[12][要ページ番号]。2014年現在、サンマリノは欧州連合の正式な一員ではないものの、欧州議会における取り決めによりユーロの流通が認められている[12][要ページ番号]。ユーロコインの片側に独自のデザインを使用する権利を持っており[11]、ユーロ流通以前のサンマリノ・リラはイタリア・リラと交換できた。なお、流通量が少ないサンマリノ・ユーロはそれ以前のサンマリノ・リラと同様、収集家たちからの人気が高い。サンマリノはまた、おもに切手収集家向けの切手を発行しており、一定の財源となっている[9]。他に重要な収入としては、イタリアからの援助と移民からの送金がある[12][要ページ番号]。
サンマリノのGDPの50%以上は観光客(281万人、2004年)によるものであり、1997年の段階では330万人以上が訪問している。1985年には小規模な空港が完成した。観光以外の基幹産業としては銀行業、電子産業、窯業があり、主な農産品はワインとチーズである。
1人あたりの支出レベルや生活水準はイタリアとほぼ同様である。国内に金融機関が11あり、国内で過去に倒産したことが一度もない。
2017年、サンマリノは海外との経済ネットワークづくりを国家をあげて力を入れている。日本との経済交流や情報交換も盛んで、サンマリノ企業の日本への進出にも力を入れている。日本企業のサンマリノ共和国進出も歓迎されており、両国の提携にも熱心である。サンマリノ共和国と日本との橋渡しは「日本サンマリノ通商協力機構」が担っている[16]。
サンマリノの法人税は17%と低率であり、それ以外の税金はない。特に付加価値税が一切ないため、諸外国から買い物目的の観光客が年間300万人前後訪れる。また、税率が低いため、諸外国からの企業進出も増加傾向にある。1862年成立のイタリアと関税同盟以降、現在も入国に際する税関の検査はない[12][要ページ番号]。
経済成長率は2.4%(2005年)、失業率は1.4%(2007年)、物価上昇率は2.0%(2007年)である[11]。
なお、経済の中心は首都サンマリノ市ではなく、山麓の町ボルゴ・マッジョーレである。
農業
サンマリノでの第一次産業の比率は0.4%と低い。農業従事者は約1,000人程度(2003年)であり、国土の約20%が農地、さらに20%が牧畜に利用されている。主な栽培作物はブドウ、コムギ、オリーブ、野菜類、葉たばこである。林業はほとんど見られない。貿易統計が公開されていないため、輸出入に占める農業生産物の割合、品目は不明である。
鉱業
サンマリノでは石材の切り出しや加工が盛んであるが、それ以外の鉱物資源は特に確認されていない。
工業
サンマリノの工業は軽工業が主で、食品工業では、デザートワインとして用いられる甘口のモスカートワイン、オリーブ油、チーズなどが対象となる。繊維工業では、綿織物、染色業がみられる。窯業では、陶器、タイル、レンガなどが生産されている。
観光業
観光業はコインや切手の発行とともに重要な基幹産業であり[6]、そのユニークな歴史や景観、また買い物を目的として多くの観光客が集まる。
毎年9月3日は、町の創立者である聖マリーノを記念する祭典(Festa di San Marino)があり、中世の時代衣装を身に着けたパレードや石弓競技が行われている。また、ティターノ山の山頂にはロープウェイで登るルートがあり、アドリア海の眺望を楽しむことができる。
首都サンマリノ市には、大聖堂、ゴシック様式のサン・フランチェスコ教会、1894年に建てられた政庁、ロッカ・グアーイタ、ロッカ・デッラ・フラッタ、ロッカ・モンターレと呼ばれる3つの岩峰・城塞があり、中世の面影を残している[12][要ページ番号]。
運輸・交通
24キロメートル離れたイタリアのリミニとは定期バスで結ばれている。ボルゴ・マッジョーレからサンマリノ市(旧市街)へのサン・マリノ・ロープウェイがある。エレベーターも公共交通機関として利用されている。軽飛行機向けの650メートルの滑走路とヘリポートがある(北緯43度56分58秒 東経12度30分40秒)。過去には1932年から1944年の間、アドリア海沿岸のリミニからサンマリノを結ぶリミニ=サンマリノ鉄道が運行されていたが、2012年に800メートルの区間を復活させた。
注釈
- ^ 1999年以前の通貨はイタリア・リラ、サンマリノ・リラ。「サンマリノのユーロ硬貨」も参照。
- ^ マッサ=セニガッリア線の北側の言語で西ロマンス語に属する。南側の標準的なイタリア語の属するイタロ・ダルマチア語に対立することがある。
出典
- ^ a b c d e f g h i “サンマリノ基礎データ”. 日本国外務省. 2022年5月1日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m 【小国に生きる】サンマリノ共和国▶1700年間一度も戦争したことがない国 The AsahiShimbun GLOBE(『朝日新聞』朝刊2022年8月21日G2面(2022年9月3日閲覧)
- ^ a b “UNdata” (英語). 国連. 2021年11月11日閲覧。
- ^ SAMMARINESE (2018年7月9日). “世界最古の『山頂の共和国』”. SAMMARINESE. 2022年5月2日閲覧。
- ^ “The smallest countries in the world by area” (英語). www.countries-ofthe-world.com. 2022年5月2日閲覧。
- ^ a b c “San Marino country profile” (英語). BBC News. (2018年5月18日) 2022年5月1日閲覧。
- ^ a b 世界で最も古い共和国 駐日サンマリノ共和国大使館(2022年9月3日閲覧)
- ^ “「山のてっぺんの島国」サンマリノ 暮らしてわかった、日本との共通点”. 2023年3月20日閲覧。
- ^ a b c d e 世界の国旗と国ぐに 2003, p. 52.
- ^ “COUNTRY PROFILE Republic of San Marino” (PDF) (英語). サンマリノ共和国大使館. p. 7 (2016年). 2022年4月30日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l データブック オブ・ザ・ワールド 2012, p. 343.
- ^ a b c d e f g h i j 堺 2004.
- ^ a b c d e “世界の国々「サンマリノ」”. 2021年9月4日閲覧。
- ^ 二宮書店編集部 編 編「サンマリノ」『データブック オブ・ザ・ワールド 2016年版』二宮書店、2016年1月10日、[要ページ番号]頁。ISBN 978-4-8176-0399-9 。2021年9月4日閲覧。
- ^ “サンマリノ基礎データ”. 日本国外務省. 2017年1月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年1月11日閲覧。
- ^ “日本サンマリノ通商協力機構”. 2011年2月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年2月2日閲覧。
- ^ “Girl Power サンマリノ共和国の神社に参拝”. 一般社団法人Girl Power (2014年6月26日). 2021年9月4日閲覧。
- ^ “在サンマリノ日本国大使館”. 外務省. 2022年5月1日閲覧。
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- ^ “在サンマリノ日本国大使館”. 外務省. 2022年5月1日閲覧。
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