サンマリノ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/11 05:34 UTC 版)
地理・地誌
イタリア半島北東部、周囲をイタリア共和国に囲まれた面積61.2平方キロメートルの小規模な内陸国であり、海には面していない[9]。地中海の海岸からは23キロメートル程度の距離でしかない。国土は標高749 メートルの岩山ティターノ山を中心に広がる山地および丘陵地で、アドリア海を眺望することができる。西・北・東側でイタリアのエミリア=ロマーニャ州のリミニ県と、南側でマルケ州のペーザロ・エ・ウルビーノ県に接し、これらのイタリアの2つの県に挟まれるかたちで立地し、東西およそ8キロ、南北およそ13キロメートル。面積はニューヨーク市(アメリカ合衆国)のマンハッタン島や日本の八丈島の大きさにほぼ等しい[9][13]。
首都サンマリノ市はティターノ山の頂上にある[13]。緯度は北緯43度9.53分と比較的高緯度である。ただし、アドリア海に近いため冬季も温暖な地中海性気候(Cs)である[13]。夏は乾燥し雨量は少ないが、乾燥の度合いはイタリア半島西海岸ほどではない[11][13]。冬にはまとまった降雨がある[13]。
サンマリノ市以外では、ボルゴ・マッジョーレやセラヴァッレなどの町があり[12][要ページ番号]、人口はセラヴァッレが最も多い。
政治
サンマリノには専業の政治家はおらず、元々は家長の集まりであったアレンゴが物事を決め、13世紀には執政を2人体制として権力の集中を防ぐようになっていた[2]。
立法機関として、国民の比例代表選挙によって選出される定員60名の大評議会(Consiglio Grande e Generale)がある[1]。議員の任期は5年である[12][要ページ番号]。
行政の長である執政(Capitani Reggenti)は、大評議会議員の中から互選によって選出される[1]。特定の執政による独裁化を防ぐため、執政は常に2名と決められており、しかも執政の任期は6か月のみで再選は3年間認められない。執政の就任式は毎年4月1日と10月1日に行われる。また就任の際は、アレンゴが開かれる。なお、2名の執政は一方が国家元首、他方が政府代表とされている[11]。
サンマリノでは、1945年以来、連立政権が続いている[11]。2006年6月、キリスト教民主党が第一党となったが、7月、社会主義者・民主主義者党、人民同盟、統一左翼による中道左派政権が発足した[11]。2007年11月、従来の連立に、キリスト教民主党から分裂した中道民主主義者党を加えた4党連立政権が発足した[11]。2008年11月の総選挙で中道右派の「サンマリノのための協定」連合が勝利して12月に政権が発足した[11]。2012年11月に行われた総選挙では中道・中道左派の「サンマリノ公益」連合が勝利し、12月に新政権を発足させた[14]。2016年11月の総選挙では、いずれの政党連合も過半数を得られなかったため、翌月に決選投票が行われた。その結果、野党連合の Adesso.sm が勝利を収め、政権交代が実現した[15]。2019年には早期解散によって12月に総選挙が行われたが、過半数又は議席数の半数以上の得票数を得た政党や政党連合がおらず、野党で第一党のサンマリノ・キリスト教民主党、政党連合「動く明日」と「共和国のための我ら」が連立を組み、翌年2020年1月に政権交代となるベッカーリ内閣が発足した[1]。
人口がわずか3万人ほどのサンマリノでは、国民全員が「顔見知り」に近い状態であり、自国民では中立公平な審議や判決が困難であるという理由から、サンマリノでの裁判はほとんどが外国人の裁判官によって行われる。サンマリノの国土はイタリアに囲まれており公用語もイタリア語であるため、裁判官も基本的にはイタリアから赴任する形をとっている[2]。
地方行政区分
サンマリノの領土は以下の9つのカステッロ(Castello、「城」の意)からなる。
- アックアヴィーヴァ(Acquaviva)
- キエザヌオーヴァ(Chiesanuova)
- サンマリノ(Città di San Marino)(live view)
- ボルゴ・マッジョーレ(Borgo Maggiore)
- ドマニャーノ(Domagnano)
- ファエターノ(Faetano)
- フィオレンティーノ(Fiorentino)
- モンテジャルディーノ(Montegiardino)
- セラヴァッレ(Serravalle)
大きな町の1つにドガーナがあるがセラヴァッレのカステッロの管轄下にある。イタリアのコムーネと同様に役所所在地(capoluogo)の周囲にいくつかの分離集落(Frazione, pl. Frazioni)を有する。
注釈
- ^ 1999年以前の通貨はイタリア・リラ、サンマリノ・リラ。「サンマリノのユーロ硬貨」も参照。
- ^ マッサ=セニガッリア線の北側の言語で西ロマンス語に属する。南側の標準的なイタリア語の属するイタロ・ダルマチア語に対立することがある。
出典
- ^ a b c d e f g h i “サンマリノ基礎データ”. 日本国外務省. 2022年5月1日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m 【小国に生きる】サンマリノ共和国▶1700年間一度も戦争したことがない国 The AsahiShimbun GLOBE(『朝日新聞』朝刊2022年8月21日G2面(2022年9月3日閲覧)
- ^ a b “UNdata” (英語). 国連. 2021年11月11日閲覧。
- ^ SAMMARINESE (2018年7月9日). “世界最古の『山頂の共和国』”. SAMMARINESE. 2022年5月2日閲覧。
- ^ “The smallest countries in the world by area” (英語). www.countries-ofthe-world.com. 2022年5月2日閲覧。
- ^ a b c “San Marino country profile” (英語). BBC News. (2018年5月18日) 2022年5月1日閲覧。
- ^ a b 世界で最も古い共和国 駐日サンマリノ共和国大使館(2022年9月3日閲覧)
- ^ “「山のてっぺんの島国」サンマリノ 暮らしてわかった、日本との共通点”. 2023年3月20日閲覧。
- ^ a b c d e 世界の国旗と国ぐに 2003, p. 52.
- ^ “COUNTRY PROFILE Republic of San Marino” (PDF) (英語). サンマリノ共和国大使館. p. 7 (2016年). 2022年4月30日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l データブック オブ・ザ・ワールド 2012, p. 343.
- ^ a b c d e f g h i j 堺 2004.
- ^ a b c d e “世界の国々「サンマリノ」”. 2021年9月4日閲覧。
- ^ 二宮書店編集部 編 編「サンマリノ」『データブック オブ・ザ・ワールド 2016年版』二宮書店、2016年1月10日、[要ページ番号]頁。ISBN 978-4-8176-0399-9 。2021年9月4日閲覧。
- ^ “サンマリノ基礎データ”. 日本国外務省. 2017年1月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年1月11日閲覧。
- ^ “日本サンマリノ通商協力機構”. 2011年2月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年2月2日閲覧。
- ^ “Girl Power サンマリノ共和国の神社に参拝”. 一般社団法人Girl Power (2014年6月26日). 2021年9月4日閲覧。
- ^ “在サンマリノ日本国大使館”. 外務省. 2022年5月1日閲覧。
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- ^ “在サンマリノ日本国大使館”. 外務省. 2022年5月1日閲覧。
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