シアワセモ
(T. socialis から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/02 04:08 UTC 版)
シアワセモ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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シアワセモの泳ぐ様子。
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地質時代 | ||||||||||||||||||||||||||||||
三畳紀 - 現代 | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Tetrabaena socialis H.Nozaki & M.Itoh, 1994[3] |
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シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
しあわせ藻 |
シアワセモ[1] (Tetrabaena socialis) とは、クラミドモナス目に属する植物の1種[2]。4つの細胞から構成された、構成細胞数が最小の多細胞生物でもある[4]。また、群体を形成するクラミドモナス目で最も古い、約2億年前に出現したと考えられている生物である[5][6]。
概要
シアワセモは淡水生の藻であり、世界各地に存在する[4]。発見は古く、最初に記載されたのは1841年である。19世紀頃はクリプトモナス属 (Cryptomonas) かゴニウム属 (Gonium) に属するとも考えられていたが、新属のテトラバエナ属 (Tetrabaena) やテトラゴニウム属 (Tetragonium) も同時に示されていた[3]。現在ではテトラバエナ属に分類されている[2]。シアワセモはテトラバエナ属に分類される唯一の種であり[7]、他に Basichlamys 属の B. sacculifera のみが属するテトラバエナ科 (Tetrabaenaceae) のタイプ種でもある[8]。
シアワセモの大きさは20μmから30μmという非常に小さなものである[9]。全部で4つの細胞から構成されており、上向きから見ると緑色の円がサイコロの4の目のような正方形を形成しているように見える。横から見ると、球体ではなく卵形の形状に見え、葉緑体が細胞核をカップ状に包んでいる。細胞核には葉緑体がないため、その部分だけ透明に見える。4つの細胞それぞれに1つの眼点と2本の鞭毛をもち、鞭毛を動かすことで水中を泳ぐことができる。眼点は葉緑体の表面、鞭毛は細胞核の表面に分布する[1]。
最小の多細胞生物
シアワセモは19世紀から知られていた生物であったものの、4つの細胞は多細胞生物として活動しているのか、それとも単細胞生物が単に4つくっついているだけなのかは長らく謎であった。クラミドモナス目には非常に少数の細胞が集合して多細胞生物としてふるまう事から、単細胞生物から多細胞生物へと進化する過程を探るのに重要なモデル生物群として注目されていた。しかしシアワセモそのものは多細胞生物であるという見解に否定的な論文が2009年に出されていた事もあり、あまり研究されてこなかった[5][4]。その一方で、シアワセモは群体を形成するクラミドモナス目の中では最も古い、約2億年前に出現した生物であり、系統的には単細胞生物のクラミドモナス (Chlamydomonas reinhardtii) と多細胞生物のヒラタヒゲマワリ (Gonium pectorale) やニセヒゲマワリ (Astrephomene gubernaculifera) の間に位置する事も判明していた[6]。
2013年に東京大学大学院の研究チームが、シアワセモの同調培養系を確立した上で、免疫蛍光染色法で細胞の骨格となるタンパク質を染色して観察した。その結果、単細胞生物のクラミドモナスは対称的な構造を持つのに対し、シアワセモは比較で用いられたヒラタヒゲマワリと同じ、非対称的な構造を有する事が判明した。また、透過型電子顕微鏡を用いて、シアワセモの娘群体の発生時を観察したところ、多細胞生物の基本的な構造である原形質間架橋が観察された。この特徴から、シアワセモの4つの細胞は多細胞生物としての振る舞いを行っている事が判明し、最小の細胞数で構成された多細胞生物であることが判明した[6]。
その他
シアワセモ(しあわせ藻)の和名は、見かけが幸運の象徴である四つ葉のクローバーに見える事、約2億年前に「幸運にも」多細胞生物化した事から名づけられた[1]。
出典
- ^ a b c d 世界最小の多細胞生物の発掘 — 4細胞で2億年間ハッピーな生きた化石 "しあわせ藻" — 東京大学大学院理学系研究科・理学部
- ^ a b c Tetrabaena socialis National Center for Biotechnology Information Taxonomy Browser
- ^ a b c Tetrabaena socialis (Dujardin) H.Nozaki & M.Itoh algaeBASE
- ^ a b c The Simplest Integrated Multicellular Organism Unveiled PLOS ONE
- ^ a b Origin and evolution of the colonial volvocales (Chlorophyceae) as inferred from multiple, chloroplast gene sequences National Center for Biotechnology Information
- ^ a b c Triassic origin and early radiation of multicellular volvocine algae Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
- ^ Tetrabaena National Center for Biotechnology Information Taxonomy Browser
- ^ Tetrabaenaceae National Center for Biotechnology Information Taxonomy Browser
- ^ “「シアワセモ」世界最小の多細胞生物と確認 その姿は…”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社. (2013年12月12日). オリジナルの2013年12月22日時点におけるアーカイブ。 2013年12月22日閲覧。
関連項目
「T. socialis」の例文・使い方・用例・文例
- 「英国叙情詩選」 《英国の F. T. Palgrave /plgreɪv/ が編集した詩選集》.
- 生きている人々は自分たちが神の舞台の上の感覚のある人形にすぎないと知っていた−T.E.ローレンス
- ソビエト国家の総括的な研究−T.G.ウィナー
- 意気投合した性質は結合した…相互の信頼と相互の美徳によって−T.L.ピーコック
- 彼の国際的な慈善は、公平に全人種、全信念に広がっています。 − T.B.マコーレ
- 使い古された詩の方法における迂言的研究/容赦ない格闘に、一人をまだ残すこと/言葉と意味の−T.S.エリオット
- かすかな結論に向けて曇った問題を手探りする−H.T.ムーア
- 捨て子と取替え子のこっけいな世界の人々−T.C.ワースレイ
- すべての善良な市民の道徳と物質的な福祉−T.ルーズベルト
- 屋根に登っても、私はT.V.アンテナに届かない
- T.ブーン・ピケンズは多くの大企業を襲撃した
- 儀式…彼らがよくオーリニエイション時代の書面での記録がない起源があったかもしれないほど古い−J.L.T.C.スペンス
- 心は真実を見出すために与えられたものではなく、真実を守るために与えられたものである。− T.S.エリオット
- 生き生きとした魅力的な黒い目‐T.N.カーバー
- スウェーデン人のソプラノ歌手で、P.T.バーナムの管理の下で米国のツアーを行った(1820年−1887年)
- (T.Iさん)
- この作品で彼は異星人を,「E.T.」や「未知との遭(そう)遇(ぐう)」などの以前の作品中の異星人とは違って,恐ろしく危険な敵として描いている。
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