SS短剣
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「制服 (ナチス親衛隊)」の記事における「SS短剣」の解説
SS勤務短剣(ドイツ語版)(SS-Dienstdolch)は、1933年12月15日にSAの短剣と同時に制定された。黒い鞘と柄の短剣で、刀身にはSSのモットーである「忠誠こそ我が名誉(Meine Ehre heißt Treue)」の文字が刻まれていた。黒服や黒服のコート、「伝統の制服」の着用時に帯刀した。短い黒革の剣吊りによりベルトから吊るして佩用されたが、剣吊りのためにやや斜めに吊り下げられる形となる。1933年から1935年頃の初期の物は刀身の基部にメーカーのロゴが刻印されている。 実際に授与が開始されるようになったのは1934年11月9日からであり、以降毎年11月9日の特別式典の際に見習い隊員(ドイツ語版)が二等兵(正規隊員)に昇格する際に授与された。その費用は自己負担であり、大半の者は分割払いで負担した。 SS短剣はSSの象徴とされたため、授与の許可を受けていない者が個人的に購入することは禁止されており、必ずSS本部を通じて製造元から取り寄せねばならなかった。自分のお金で購入した個人の私物ではあったが、許可なく売ったり、譲渡することは禁止されていた。また懲戒除隊となった者は短剣を返納することが求められた。自己都合や満期の除隊の場合は返納の必要はないが、その場合は携帯資格を認める証明書の発行を求めねばならなかった。1933年短剣は戦時中の1940年9月に製造が中止された。 1936年8月25日にはカール・ディービッチュ博士が新たにデザインした鎖付きの鞘の1936年版短剣が製造された。鞘にはつながったハーケンクロイツの模様が浮き彫りになった銀の佩環にルーン文字と髑髏の図柄が交互に浮き彫りになった銀の金属製の鎖が付いている。鎖はクローバー型の金具につながれ、この金具でベルトまたはポケットリングに留めた。1936年短剣は隊員のうち所持希望者が独自に購入する物だったが、買う者はあまりいなかったという。戦時中の原材料不足から1943年後期に製造中止となった。また終戦まで帯刀禁止となった。 名誉短剣も三種類存在する。1934年2月SA幕僚長エルンスト・レームが古参SS隊員9900人に授与した「レーム短剣」、1934年7月以降にヒムラーがSA粛清の功績者に与えた「ヒムラー短剣」、1936年に制定されたSS高官の誕生日に授与する「誕生日短剣」である。基本的な形状は1933年短剣と同じだが、レーム短剣には刀身の裏に「心からの同志 エルンスト・レーム(In herzlicher Kameradschaft, Ernst Rohm)」という文字が入っていた。長いナイフの夜でレームが粛清された直後の1934年7月4日付けの命令でレームの献辞は消すよう指示があった。ヒムラー短剣には「心からの同志、H.ヒムラー(In herzlicher Kameradschaft, H.Himmler)」という文字が入っており、SA粛清に携わった隊員たちに授与された。 1933年SS短剣と鞘 SS短剣の柄。 SS短剣。メーカーのロゴが刀身の基部に刻印された初期型。 鞘に佩環と鎖が付いた1936年SS短剣 左下に1933年SS短剣。右下に1936年SS短剣の図。
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