N2H4とは? わかりやすく解説

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ヒドラジン

(N2H4 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/30 02:31 UTC 版)

ヒドラジン
識別情報
3D model (JSmol)
バイルシュタイン 878137
ChEBI
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.005.560
EC番号
  • 206-114-9
Gmelin参照 190
KEGG
MeSH Hydrazine
PubChem CID
RTECS number
  • MU7175000
UNII
国連/北米番号 2029
CompTox Dashboard (EPA)
特性
化学式 H4N2
モル質量 32.05 g mol−1
精密質量 32.037448138 g mol-2
外観 無色の液体
密度 1.013(8) g cm-3
融点

°C, 274 K, 34 °F

沸点

114 °C, 387 K, 237 °F

酸解離定数 pKa 8.10[1]
屈折率 (nD) 1.46044 (at 22 °C) [2]
粘度 0.876 cP
構造
1.85 D[3]
熱化学
標準生成熱 ΔfHo 50.63 kJ mol-1(l)[4]
標準モルエントロピー So 121.21 J mol-1K-1
標準定圧モル比熱, Cpo 98.87 J mol-1K-1
危険性
GHS表示:
Danger
H226, H301, H311, H314, H317, H331, H350, H410
P201, P261, P273, P280, P301+P310, P305+P351+P338
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド)
Health 4: Very short exposure could cause death or major residual injury. E.g. VX gasFlammability 4: Will rapidly or completely vaporize at normal atmospheric pressure and temperature, or is readily dispersed in air and will burn readily. Flash point below 23 °C (73 °F). E.g. propaneInstability 3: Capable of detonation or explosive decomposition but requires a strong initiating source, must be heated under confinement before initiation, reacts explosively with water, or will detonate if severely shocked. E.g. hydrogen peroxideSpecial hazards (white): no code
4
4
3
引火点 52 °C
爆発限界 1.8–99.99 %
致死量または濃度 (LD, LC)
59–60 mg/kg (経口:ラット、マウス)[5]
関連する物質
関連物質
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ヒドラジン (: hydrazine) は、無機化合物の一種で、分子式 N2H4と表される弱塩基

アンモニアに似た刺激臭を持つ無色の液体で、空気に触れると白煙を生じる。水に易溶。強い還元性を持ち、分解しやすい。引火性があり、ロケットエンジンの推進剤として用いられる。

常温での保存が可能であるため、非常用電源装置 (F-16) やミサイルの燃料としても広く用いられている。また人工衛星宇宙探査機の姿勢制御用推進器の燃料としても使われている。プラスチック成形時の発泡剤エアバッグ起爆剤、各種脱酸素剤として広く使用され、特に火力原子力発電所用高圧ボイラー防食剤として使用されている。水加ヒドラジンは水素に代わる燃料電池の燃料としても模索されている。

水と共沸し、55 mol%のヒドラジンを含む混合物を与える。化学実験で用いる際は通常、抱水ヒドラジン(ヒドラジン一水和物、N2H4H2O)が用いられる。

毒性

人体へは、気化吸引、皮膚への接触ともに腐食をもたらす。また中毒症状をおこす。「毒物及び劇物取締法」により毒物に指定されている[6]

動物において肝毒性が認められており、ラットおよびマウスで巨大ミトコンドリアの出現が報告されている。なお、アセチル転移酵素により代謝・解毒されるが、イヌはアセチル転移酵素を欠くため、特に毒性が発現しやすいことが知られている。

環境汚染

28日後のBOD分解度は2%であり、化審法の化学物質安全性点検結果では、ヒドラジンは難分解性と判断されている。一方で有酸素環境では自動酸化により分解される。有機物を多く含む河川水と池水 (いずれも硬水)中でのヒドラジンの半減期は 1 日未満だった。[7]

製法

アンモニアを次亜塩素酸塩で酸化するか、アンモニアを塩素で気相酸化して作る。

ウィキメディア・コモンズには、ヒドラジンに関するカテゴリがあります。
  • 毒物および劇物の事故時における応急措置に関する基準”. 滋賀県庁 (2015年9月25日). 2021年5月9日閲覧。



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