GTワールドチャレンジヨーロッパとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > GTワールドチャレンジヨーロッパの意味・解説 

GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/01 07:24 UTC 版)

GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ
カテゴリ GTカー
耐久レース
国・地域 ヨーロッパ
開始年 2014年
タイヤ
サプライヤー
ピレリ
ドライバーズ
チャンピオン
ルーカス・アウアー
マロ・エンゲル
チーム
チャンピオン
チーム・WRT
公式サイト www.gt-world-challenge-europe.com
現在のシーズン

GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ(GT World Challenge Europe、2014年から2019年まではブランパンGTシリーズ)とは、グループGT3を管轄するSROモータースポーツグループが主催する、GTカーレースシリーズである。スプリントカップエンデュランスカップの2つが組み合わされている。

概要

ブランパンが刻印されたランボルギーニ・ムルシエラゴ
ハローキティの描かれたマクラーレン・650S GT3

アマチュア向けのグループGT3耐久レースとして、2011年にスイスの高級時計ブランドであるブランパンがタイトルスポンサーとなってスパ24時間を含む「ブランパンエンデュランスシリーズ英語版」が開催された。同時期はコストの高騰や世界経済の不況を背景にグループGT1FIA GT1世界選手権の崩壊が進んでいたが、安価なグループGT3を用いるブランパンはたちまち多くのエントラントを集めた。

2014年にはFIA GTシリーズがFIAの冠を取り去り、FIA管轄シリーズとしての費用を削減し「ブランパンスプリントシリーズ」に発展。そして耐久とスプリントを組み合わせた「ブランパンGTシリーズ」が発足、欧州GT3レースの最高峰としてその地位を確立した[1][2]

2016年には両シリーズは「ブランパンGTシリーズエンデュランスカップ」・「ブランパンGTシリーズスプリントカップ」へと名称が変更された。

2017年にはブランパンGTシリーズアジアを発足。アジアではすでにアジアンフェスティバルオブスピードの運営するGTアジアシリーズが展開していたが、ブランパンのブランドネームと豊富な賞金、欧州で培った運営ノウハウにより、たちまち大勢のエントラントを引き寄せた[3]

2018年にSROは、北米のPWC(ピレリ・ワールド・チャレンジ[4])の過半数の株式を取得[5]、2019年からブランパンGTワールドチャレンジアメリカ英語版となった。

しかし2019年終了を持ってブランパンとのパートナーシップが終了したことに伴い、名称が『GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ』『GTワールドチャレンジ・アジア』『GTワールドチャレンジ・アメリカ』へとそれぞれ改められた。

前述の通り元々はアマチュア・プライベーターのためのレースであったが、FIA GTシリーズの消滅後に欧州メーカーたちは当シリーズに大挙してセミワークスチーム・プロドライバーを送りこんでおり、ランボルギーニベントレーのようにブランパンを主戦場とするメーカーも少なくない。近年はSROもマニュファクチャラーの参戦を公式に認めており、よりマニュファクチャラー向けのシリーズとして2016年から、インターコンチネンタルGTチャレンジIGTC)を創設している。

日本からは日産自動車が育成プログラムの一環でセミワークス参戦し、千代勝正高星明誠を欧州に送り込み、千代が2015年の耐久シリーズのドライバーズタイトルを獲得している。またジェントルマンドライバーの石川資章や森義治も参戦しており、森の車両はハローキティのカラーリングで話題を呼んだ[6]。2018年からはレクサス・RC F GT3ホンダ・NSX GT3も参戦している。

早くからメディアを活用しており、YouTubeでは無料でフリー走行・予選・決勝を生配信している他、全て動画としてもアップされる。アマチュアも参加するレースとしては多額の賞金が用意されており、2014年スプリント最終戦バクーでは総額17万5000ユーロ(2200万円以上)が用意された。

2021年、ル・マン24時間レースを運営するACO(フランス西部自動車クラブ)と、SROモータースポーツグループは2023年のアジアン・ル・マン・シリーズ開催に向け、ACO、SRO、そしてALMEM(アジアン・ル・マン・エンデュランス・マネージメント)が協力すると発表した。またACOとSROの新たな取り組みに加え、多くのスポーツカーチームが求めるル・マン24時間レースの招待枠が、GTワールドチャレンジ・ヨーロッパのチャンピオン、アジアン・ル・マン・シリーズとGTワールドチャレンジ・アジアを合算したチャンピオンに与えられることになった[7][8]

レギュレーション

耐久カップとスプリントカップ両シリーズにフルエントリーするドライバー・チームは、GTワールドチャレンジ・ヨーロッパのタイトルを争う権利を得る。車両はグループGT3で、タイヤはピレリ。プロ、シルバー、プロ-アマ、アマの4カテゴリーが設置される。

ドライバーはスプリントは2人、耐久は3人(スパ24時間は4人も可)一組。クラス分けはFIA(国際自動車連盟)が定めるドライバーグレードで、シルバーカップはシルバーグレードドライバーのみ、プロ-アマではプラチナ又はゴールドドライバーと、シルバー又はブロンズドライバーの組み合わせが求められる。アマカップは、全ドライバーがブロンズグレードであることが求められる[9]

2022年から、アマカップをキャンセル。代わってプロ/シルバー/ブロンズのゴールドカップを設立する。また、スプリントカップでのプロクラスはプラチナ/ゴールドの組み合わせとなる[10]

スプリントは1時間の時間制で、1イベント2レースが行われる。スタートから25分から35分までの10分の間のみピットインでき、ドライバーを交代する義務がある。耐久は3時間以上で、伝統のスパ24時間の他、ポール・リカールでは1000kmレースもある。

歴代チャンピオン

ドライバー

総合 シルバー カップ Pro-Am カップ Am カップ
2014年 ローレンス・ヴァントール 開催無し 受賞者無し -
2015年 ロビン・フラインス
2016年 ドミニク・バウマン
マクシミリアン・ブーク
ミカウ・ブロニゼフスキー クラウディオ・スダネヴィッチ
2017年 ミルコ・ボルトロッティ
クリスチャン・エンゲルハート
アレクサンダー・マットシュル デビッド・ペレル
2018年 ラファエル・マルチェッロ ニコ・バスティアン
ジャック・マンチェスター
ニルス・スティブナー
マルクス・ヴィンケルホック
アドリアン・アムステッツ
レオ・マチツキー
2019年 アンドレア・カルダレッリ
マルコ・マペッリ
ニコ・バスティアン アンドレア・ベルトリーニ
ルイス・マシエルズ
受賞者無し
2020年 ティムール・ボグスラフスキー エセキエル・ペレス・コンパンク クリス・フロッグガット
エディ・チーバー3世
2021年 ドリス・ヴァントール
チャールズ・ワーツ
アレックス・フォンタナ エンリケ・シャベス
ミゲル・ラモス
2022年 ラファエル・マルチェッロ ベンジャミン・ゲーテ
トーマス・ノイバウア
ミゲル・ラモス
総合 ゴールド カップ Pro-Am カップ シルバー カップ ブロンズ カップ
2023年 ラファエル・マルチェッロ
ティムール・ボグスラフスキー
ニクラス・クルッテン
カラン・ウイリアムズ
アレックス・フォンタナ
イヴァン・ヤコマ
ニコラス・ロイトウィラー
アレックス・アカ
ロレンツォ・パトレーゼ
アレックス・マリキン
総合 ゴールド カップ シルバー カップ ブロンズ カップ
2024年 ルーカス・アウアー
マロ・エンゲル
ポール・エブラード
ジル・マグヌス
セザール・ガゾー
オーレリアン・パニス
エディ・チーバー3世
ジョナサン・フイ

チーム

総合 シルバー カップ Pro-Am カップ Am カップ
2014年 ベルギー・アウディクラブ・チーム・WRT 開催無し 受賞者無し -
2015年 ベルギー・アウディクラブ・チーム・WRT
2016年 AMGチーム・HTPモータースポーツ ケッセル・レーシング AFコルセ
カスペルスキー・モータースポーツ
2017年 GRT グラッサー・レーシングチーム リナルディ・レーシング ケッセル・レーシング
2018年 (メルセデス-AMG Team) AKKA ASP
SMPレーシング by AKKA ASP
受賞者無し サンテロック・レーシング バーウェル・モータースポーツ
2019年 オレンジ 1 FFFレーシングチーム AKKA ASP Team AF コルセ 受賞者無し
2020年 ベルギー・アウディクラブ・チーム・WRT マッドパンダ・モータースポーツ スカイストーム・レーシング
2021年 チーム・WRT エミール・フレイ・レーシング バーウェル・モータースポーツ
2022年 AKKodis・ASP・チーム チーム・WRT AFコルセ
総合 ゴールド カップ Pro-Am カップ シルバー カップ ブロンズ カップ
2023年 AKKodis・ASP・チーム トレゾア・アテンプト・レーシング カー・コレクション・モータースポーツ トレゾア・アテンプト・レーシング ピュア・レーシング
総合 ゴールド カップ シルバー カップ ブロンズ カップ
2024年 チーム・WRT サンテロック・レーシング ブーツェン VDS ラトロニック・レーシング

脚注

  1. ^ “GTレースの歴史と魅力”. Red Bull. (2017年2月2日). https://www.redbull.com/jp-ja/gt-racing-101-a-guide-for-the-perplexed 
  2. ^ Blancpain Watches extends partnership to the SRO-Promoted GT Sprint Series”. blancpain-gt-series.com. 2013年12月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年12月30日閲覧。
  3. ^ “ブランパンGTアジアの概要発表。全6ラウンド×2レースで12戦を開催へ”. Autosports web. (2016年10月20日). p. 2. https://www.as-web.jp/sports-car/58364/2 
  4. ^ “米独日の異種格闘技対決!?『ピレリ・ワールドチャレンジ』ってどんなレース?”. Autosports web. (2016年6月10日). p. 2. http://www.as-web.jp/sports-car/21565/2 
  5. ^ SRO Becomes Majority Shareholder of PWC”. Sportscar365. 18 July 2018閲覧。
  6. ^ “ブランパンGTシリーズに『ハローキティ』カラーのメルセデスAMG GT3が登場へ”. Autosports web. (2017年3月12日). http://www.as-web.jp/sports-car/98302?all 
  7. ^ ACOとSROがアジアン・ル・マン開催に向け協力。GTWC王者へのル・マン招待枠提供も発表”. autosport web. 2021年11月5日閲覧。
  8. ^ SRO Motorsports to join forces with ACO and ALMEM for 2023 Asian Le Mans Series”. gt-world-challenge-asia. 2021年11月9日閲覧。
  9. ^ ブランパンGTワールドチャレンジ・アジアはGT3とGT4の混走解消。韓国戦を加え計6戦に”. autosport web. 2018年12月4日閲覧。
  10. ^ GTワールドチャレンジ・ヨーロッパで2022年からクラス変更。ドライバーカテゴライズも変更へ”. autosport web. 2021年10月11日閲覧。

関連項目

外部リンク

公式ウェブサイト




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  GTワールドチャレンジヨーロッパのページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「GTワールドチャレンジヨーロッパ」の関連用語

GTワールドチャレンジヨーロッパのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



GTワールドチャレンジヨーロッパのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのGTワールドチャレンジ・ヨーロッパ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS