GPLv3
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/09 20:09 UTC 版)
GPL Version 3で提案された目標の1つは「TiVo化」の防止である。エベン・モグレンによると、「ライセンスはこの規則の法的な回避方法を禁止するのと同程度の明確さで技術的な回避方法を禁止すべきである」とのことである。 GPLv3の第2次草案はこれを明確化しようとした。しかし、Linux開発者の一部はGPLv3の2度目の草案でもまだ有益な使用が妨げられうると懸念していた。 GPLv3の第3次と第4次の討議草案(それぞれ2007年3月28日と2007年5月31日に公開された)において、反TiVo化条項はソフトウェアが「商用頒布」されるときには適用されないよう、対象範囲を制限した。したがって、医療機器や電子投票機は対象にならない。最終的には、公式のGPLv3では第4次の草案と比べてTiVo化に関してさして大きな変更は行われず、2007年6月29日に正式に発行された。リーナス・トーバルズはこの新しい草案とそのDRMに対する立ち位置に「非常に満足している」と言った。しかしながら、彼はLinuxカーネルをGPLv3で再ライセンスすることを未だ支持していない。曰く、 「 [Stallman] calls it "tivoization", but that's a word he has made up, and a term I find offensive, so I don't choose to use it. It's offensive because Tivo never did anything wrong, and the FSF even acknowledged that. The fact that they do their hardware and have some DRM issues with the content producers and thus want to protect the integrity of that hardware.The kernel license covers the *kernel*. It does not cover boot loaders and hardware, and as far as I'm concerned, people who make their own hardware can design them any which way they want. Whether that means "booting only a specific kernel" or "sharks with lasers", I don't care. 」 —Linus Torvalds 参考訳: 「 (ストールマンが)それをTiVo化と呼称したが、それは、彼が作り出した言葉であり、私が思うに侮蔑的な用語だ。だから、私はそのライセンスを採用することを選択しない。なぜ侮蔑的なのかって? Tivoはなんにも間違ったことはしちゃいない。そしてFSFはそのことを渋々ながら認めてすらいるからだ(訳注:TiVoのソフトウェアは全てGPLv2である)。TiVoが彼らのハードウェアを稼動し、そして幾つかのDRMを保持するという事実は、コンテンツの製作者に因るところがある。従って、そのハードウェアの一貫性を維持することを望んでいるのはコンテンツ製作者だ。カーネルのライセンスは「まさにカーネルのみ」を対象とする。それはブートローダやハードウェアを対象としない。そして、私が思う限り、ハードウェア製作者は自身のハードウェアを好きなように設計してしかるべきだ。「特定のカーネルのみでのブートすること」や「レーザービーム搭載型のサメ」(訳注:オースティン・パワーズ ゴールドメンバーで登場した兵器)なのかそうではないのかなんて、私にはどうでもいい。 」 —リーナス・トーバルズ いずれにせよ、Linuxカーネルのライセンス変更は、非常に多くの著作権者が存在するため、事実上不可能であると予想される。他の多くのGPLソフトウェアと異なり、Linuxカーネルは"or, at your option, any later version"(「または、あなたの選択で、以降のバージョンの」)文言が存在しないGPLv2でのみ許諾されている。これゆえ、すべての著作権者から合意を得ない限り新バージョンへの再ライセンスは許可されない。 BusyBoxのような、TiVo化された組み込みシステムで幅広く利用されるソフトウェアを開発する、その他いくつかのプロジェクトでもGPLv3への移行を辞退している。
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