DVの原因・傾向・社会的要因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/24 21:31 UTC 版)
「ドメスティックバイオレンス」の記事における「DVの原因・傾向・社会的要因」の解説
DV研究者であるレノア・E・ウォーカー博士(Lenore E. Walker, Ed.D.)は、加害者の男性における傾向を以下のように捉えている(レノア・E・ウォーカー『バタードウーマン——虐待される妻たち』(1980年5月)) 性的役割を当然と考えている 相手が女性または男性というだけで、自分が優位にあるという錯覚を起こしている。こういった性別による偏見をジェンダーバイアスと呼ぶ。 病的なほど嫉妬深い セックスを強要する 性行為によって自分の支配関係を確立しようとする。性的暴力である。 自分の行動を他のもののせいにする 自分の暴力行為を、パートナーの言い方が悪かった、変によけたので当たり所が悪くなった、などの正当化を行なう。 二重人格状態を呈する 家庭外では良い人だ、良く気が付くと高く評価され、家庭内の暴力など想像できない人物像(ここでいう二重人格は、いわゆる多重人格障害とは異なる)。 男はこうあるべきだ、女はこうあるべきだという偏見を「性的役割」(または「ジェンダー・バイアス」)と呼称されるが、日本の東京都の調査では、性的役割分業観に肯定的な人ほど異性への性的暴力や精神的暴力に対しても寛容であるという傾向を見出している。世界保健機構(WHO)の調査でも性的役割観とDV被害の相関が指摘されている。また、同調査では、加害者は被害者に対するコントロール傾向が強いことが指摘されている。また、加害者には[発達障害、およびその合併症・二次障害、たとえば自己愛性パーソナリティ障害など]がみられる場合がある。そのため、加害者は何らかの精神疾患にあるとして、治療やカウンセリングの対象として捉えるアプローチも試みられている。 また、DVの社会的背景として、家父長制度、父権制あるいはそれに準じる意識が挙げられる。一部のNPOでは仮面ライダーシリーズや水戸黄門など暴力で敵を打ち倒すコンテンツの影響を指摘している。 ShackelfordとGoetzは、パートナー間でのレイプや性的強制について、男性の「寝取られ対策」として行われる戦略であるという仮説を立てて調査をした。調査の結果、親密な関係における性的強要は女性の浮気と相関し、男性が行う他の配偶者防衛戦略の行使とも相関するという結果が得られ、仮説が支持された。ただし、因果関係の特定には至らず、性的強制が浮気を生み出すのか、浮気が性的強制を生み出すのか、ということは判断できなかった。
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