3人に死刑求刑
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 00:14 UTC 版)
2009年(平成21年)1月20日に開かれた第17回公判で、検察官の論告求刑が行われ、被告人3人はいずれも死刑を求刑された。 同日の論告で、検察官は「3人は被害者Aを拉致する以前から、金を奪うために拉致・殺害の合意形成をしていた」と指摘した上で、闇サイトを悪用した犯罪について「共犯者が集まりやすく、共犯者同士が個人情報を秘匿するため、発覚が困難だ。模倣性も高く、厳罰で臨む必要がある」と主張した。また、犯行態様については「Aの命乞いを無視し、肉体的激痛や精神的恐怖心を加えながら殺害した方法は、生き埋めと変わらない残虐な殺害方法だ。3被告人はいずれも、自己の利欲目的を達成するため、一体となって計画に基づいた犯行を遂行した上で、何ら躊躇もなく残忍な犯行におよんでおり、犯行への酌量の余地は認められない。3人は他人の生命を軽視する犯罪性向・反社会性が根深く、犯行後も同様の強盗殺人を実行しようとしたことや、反省のない態度を取っていることなどに照らせば、更生可能性は認められない。被害者Aの遺族(母親B・伯母D)や関係者(元交際相手の男性C)が3人への極刑を求めていることも当然である」と訴えた。 その上で、「本事件は面識のなかった3人が、携帯電話のサイトで知り合い、帰宅途中の女性を無差別に狙い、残酷な方法で殺害した犯行で、社会に大きな衝撃を与え震撼させた。『永山基準』に照らしても、事案の重大性・凶悪性は明白で、利欲目的で被害者を略取・殺害した本犯行は、身代金目的誘拐殺人(殺害された被害者が1人で、被告人にさしたる前科がない場合でも、最高裁で死刑が確定した事例が多数存在)の場合と罪質に変わりはない。被害者が1人でも、罪責が重大な場合は死刑を選択すべきだ」と主張。その根拠として、本事件を「過去の事例ではくくれないケース」と位置づけた上で、最高裁で被告人への無期懲役判決が「被告人が犯行時、少年だったことを過大に評価した」として破棄された光市母子殺害事件の上告審判決を引用し、「殺害された被害者の数や犯行時の年齢など、『永山基準』で示された9項目の要素のうち、1つが際立って悪質とは言えない場合でも、犯行形態などを総合的に考慮し、死刑選択が妥当だ」と訴えた。そして、「KTと堀の刑事責任に差異はない。「山下」の自首も心からの反省悔悟によるものとは認められず、過度に有利な情状とすべきではない」と主張し、「犯した罪の報いを正当に受けることを社会に示すため、被告人3人には極刑をもって臨むほかない」と結論づけた。
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