3人のパフォーマー・アウトサイダー・アーティスト
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「宮間英次郎」の記事における「3人のパフォーマー・アウトサイダー・アーティスト」の解説
宮間のパフォーマンスについて、リュシエンヌ・ペリーはちんどん屋からヒントを得ているのではないかと推測する。しかしちんどん屋は客の呼び込みのために行われる行為であるが、宮間はちんどん屋から得たヒントを得たとしても、彼独自の欲求に基づき、やはり独自の表現方法でパフォーマンスを行っており、ちんどん屋とは全く性格の異なる活動であるとする。 ペリーは続いて宮間の被り物作品などが主に拾い物で構成される点に注目する。これはインドで廃品や落ちている石を材料として作成した独自の造形物を集めた庭園を造ったネック・チャンド(英語: Nek Chand)のように、少なからぬアウトサイダー・アーティストに見られる特徴であるとする。彼らアウトサイダー・アーティストにとって、集めた廃品をもとに独自の芸術活動を行うことは、現代の消費文化に逆らうことを意味しており、「避けられぬ徳を持って進んで行っている行為」であると評価する。 また小幡正雄もそうであるが、その制作活動の結果、宮間は自らの居住環境を著しく狭めてしまい、生活に支障をきたすようになってしまっている点もアウトサイダー・アーティストとしての特徴のひとつとして挙げられよう。 リュシエンヌ・ペリーによれば、かつて宮間と同じようなパフォーマンスを行っていたアウトサイダー・アーティストが2名いたという。イタリアのジョヴァンニ・バッティスタ・ポデスタ(フランス語: Giovanni Battista Podestà)と、フランスのヴァハン・ポラディアンである。ポデスタは1960年代、イタリアのラヴェーノを自らが制作した奇抜な格好をして一人練り歩き、近代資本主義社会の新しい価値観に反対を訴えた。アルメニア人虐殺が発生した際、故郷アルメニアを後にしたアルメニア人であるポラディアンは、やはりポデスタと同じ時期、故国、アルメニアを称えるために、やはり自らが制作した独自の奇抜な格好をして、フランスのサン・ラファエルを一人練り歩いた。 宮間、ポデスタ、ポラディアンの3人のアウトサイダー・アーティストは皆60代になってからその創作活動とパフォーマンスを開始した。もちろんお互いに面識があったはずはなく、それぞれの活動が全く独自に生み出されたものではあるが、3人の活動は驚くほど似ており、動機についても共通のものが見られる。 3人の遅咲きのパフォーマーは、皆、恵まれているとは言いがたい孤独な人生を歩み、老年に達した。ペリーは宮間、ポデスタ、ポラディアンの3人が没頭するパフォーマンスとは、これまでの恵まれることのなかった自らの運命に対しての、「究極かつ軽妙な反動」であり、また3人のパフォーマーがそれぞれ持つ社会への関心も、社会に対するお祭り的ないたずらとしての性質があるとする。
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