2019新型コロナウイルス臨床試験での用法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 23:12 UTC 版)
「ファビピラビル」の記事における「2019新型コロナウイルス臨床試験での用法」の解説
中国・深圳第三人民病院での実施例では、成人に対して、経口投与により、1日目は3200mg、2日目から14日目は1日あたり1200mg。投与期間は、ウイルスがなくなるまで、または最長14日間。 2020年2月27日付けで厚生労働省が全国の保健所などに通知した事務連絡の添付資料となっている2020年2月26日付で日本感染症学会が発表した方針によれば、1日目は1回1,800mg(200mg錠×9錠)を1日2 回、2日目から1回800mg(200mg錠×4錠)を1日2回経口、最長14日間投与(上記の中国における用法よりやや多い)。総投与量は24,400mg(200mg錠×122錠)となる。 しかし、2020年2月27日付けで厚生労働省が全国の保健所等に通知した事務連絡でのファビラビルの処方量は過少である。 (1) 2020年2月27日付けで厚生労働省が全国の保健所等に通知した事務連絡に記載のファビピラビルの処方量での(1日目は1800mgを2回で3600㎎)は、新型コロナウイルスによる発病者の治療にアビガンを用いる場合の必要処方量としてアビガンの開発者である白木公康が提唱する1日あたり6g~9g(6000mg~9000mg)の中心値である7500mgと比較すると、48%となっている。しかし、1日あたり6g~9gを投与した臨床経験はない。よって、1日あたり6g~9gを投与する新型コロナウイルス患者における検証試験を実施する場合、追加臨床試験で忍容性が確認されることが前提となる。 (2) ファビピラビルを新型コロナウイルス(COVID-19)の治療に用いる場合の用法・用量は、2020年2月17日付で富士フイルム富山化学工業が首相官邸に提出した資料の第10ページには「COVID-19へのEC50濃度 9.72 μg/mL はヒト国内インフルエンザ治療時の投与量の2.5~3倍量と推定される。」と、記載している。この記載に基づいて、インフルエンザ治療の場合の2.5倍として必要処方量を計算すると、1日目は1回4000 mgを1日2回,2日目から5日目は1回1500 mgを1日2回経口投与する総投与期間は5日間となる。この必要処方量からみて、日本感染症学会が提唱する処方量(1日目は1回1,800mg(200mg錠×9錠)を1日2 回、2日目から1回800mg(200mg錠×4錠)を1日2回経口)は、1日目では必要処方量の45%、2日目以降では必要処方量の53%となる。 (3) 厚生労働省が行なった事務連絡でのCOVID-19へのアビガンの標準処方量(成人向け)は、日本小児科学会が定めたアビガンの標準処方量からすると、体重が22Kg~35Kgの子供用のものとほぼ同じである。 (4) 添付文書に記載された新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症での投与量は、8000㎎(1日目1600mg×2 回、2~5日目600mg×2 回、総投与期間5日間)であるが、日本感染症学会の「COVID-19に対する抗ウイルス薬による治療の考え方」によると約3倍の最大24400㎎(1日目1800mg×2回、2日目以降800mg×2回、最長14日間)とされており、1回投与量及び投与期間の違いによって、備蓄量の換算人数分は異なる。 (5) すなわち、2020年2月27日付けで厚生労働省が全国の保健所などに通知した事務連絡の添付資料となっている2020年2月26日付で日本感染症学会が発表した処方量は必要処方量のほぼ50%以下になっており、アビガンの薬効が十分には発揮できない過少なものであると思われる。
※この「2019新型コロナウイルス臨床試験での用法」の解説は、「ファビピラビル」の解説の一部です。
「2019新型コロナウイルス臨床試験での用法」を含む「ファビピラビル」の記事については、「ファビピラビル」の概要を参照ください。
- 2019新型コロナウイルス臨床試験での用法のページへのリンク