1959年アメリカグランプリとは? わかりやすく解説

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1959年アメリカグランプリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/18 08:45 UTC 版)

 1959年アメリカグランプリ
レース詳細
1959年F1世界選手権全9戦の第9戦
セブリング・インターナショナル・レースウェイ(1952-1966)
日程 1959年12月12日
正式名称 II United States Grand Prix
開催地 セブリング・インターナショナル・レースウェイ
アメリカ合衆国 フロリダ州 セブリング
コース 恒久的レース施設
コース長 8.36 km (5.2 mi)
レース距離 42周 351 km (218 mi)
決勝日天候 晴(ドライ)
ポールポジション
ドライバー クーパー-クライマックス
タイム 3:00.0
ファステストラップ
ドライバー モーリス・トランティニアン クーパー-クライマックス
タイム 3:05.0 (39周目)
決勝順位
優勝 クーパー-クライマックス
2位 クーパー-クライマックス
3位 フェラーリ

1959年アメリカグランプリ (1959 United States Grand Prix) は、1959年のF1世界選手権第9戦(最終戦)として、1959年12月12日セブリング・インターナショナル・レースウェイで開催された。

2回目(1908年から1916年にかけて断続的に開催されたアメリカン・グランド・プライズ(American Grand Prize)を含めると9回目)のアメリカグランプリは42周、351kmで行われた。アメリカグランプリがF1世界選手権に組み込まれたのは当レースが最初[1]で、セブリングでは唯一のF1世界選手権レースの開催である。

レース概要

前戦イタリアGPから3ヶ月のインターバルを経て、最終戦の当レースを迎えた。ドライバーズチャンピオン争いはジャック・ブラバムスターリング・モストニー・ブルックスの3人に絞られた。3人のチャンピオン獲得の条件は以下の通りである。

  • ブラバム(31点)
    • 2位以上で、モスが3位以下
    • 3位でファステストラップを獲得して[2]、モスが4位以下
    • ブルックスが2位以下で、モスが3位以下
  • モス(25.5点)
    • 優勝
    • 2位でブラバムが3位以下、かつブルックスが優勝とファステストラップの両方を獲得しない
    • 2位でファステストラップを獲得して、ブラバムが3位以下
  • ブルックス(23点)
    • 優勝とファステストラップを獲得して、ブラバムが3位以下
    • 優勝して、モスが2位でファステストラップを獲得しないか3位以下、ブラバムが3位以下

ポールポジションロブ・ウォーカー・レーシングチームのクーパー・T51をドライブするモスが獲得し、クーパー・ワークスのブラバムが2位、BRMの欠場によりプライベーターのクーパーをドライブするハリー・シェルが3位と、クーパー勢がフロントローを独占した[3]フロントエンジンフェラーリは2-3列目が精一杯で、ブルックスは2列目の4番手からスタートする[4]

スタート直後にブルックスはチームメイトのヴォルフガング・フォン・トリップスに追突され、ピットインを強いられて早々に優勝争いから脱落した[4]。モスも6周目にリタイアして、この年もチャンピオン獲得には至らなかった[5]。これでブラバムは有利な立場で首位を走行し続けたが、最終ラップで燃料切れとなってしまう。ブラバムはマシンを押して4位でフィニッシュし、ブルックスが3位に終わったためブラバムのチャンピオンが決定した。レースを制したのはブラバムのチームメイトのブルース・マクラーレンで、22歳104日での優勝はF1最年少記録である[6][7]2003年ハンガリーGPフェルナンド・アロンソ(当時22歳26日)が塗り替えるまで、マクラーレンは44年間に渡って最年少記録を保持した。

チャンピオン争いが繰り広げられたレースだったが、観客はたった2万人にすぎなかった[7]

当レースのみの出走となった珍しいマシンもあった。本年のインディ500を制したロジャー・ワードがカーティス・クラフトのダートコース用ミジェットカー(オッフェンハウザーの1.75L直列4気筒エンジンをフロントに搭載)で出走したが、予選で首位モスから43秒差の最下位と全く勝負にならなかった[8]。かつてマセラティでデザイナーを務めていたバレリオ・コロッティが創設したストゥディオ・テクニカ・メッカニカでマセラティ・250Fの発展型「テック=メック」を制作し、カモラーディ・インターナショナルからフリッツ・ドーリーが出走した[9]1957年に撤退したコンノートで未完成のまま眠っていた「タイプC」(エンジンはタイプBと同じアルタ直列4気筒)も当レースのみの出走だった(ドライバーはボブ・セッド)[10]

エントリーリスト

No. ドライバー エントラント コンストラクター シャシー エンジン タイヤ
1 ロジャー・ワード リーダー・カーズ・インク カーティス・クラフト ミジェット オッフェンハウザー 1.75L L4 ?
2 トニー・ブルックス スクーデリア・フェラーリ フェラーリ 246 フェラーリ Tipo155 2.4L V6 D
3 クリフ・アリソン
4 ヴォルフガング・フォン・トリップス
5 フィル・ヒル
6 モーリス・トランティニアン RRC ウォーカー・レーシングチーム クーパー T51 クライマックス FPF 2.5L L4 D
7 スターリング・モス
8 ジャック・ブラバム クーパー・カー・カンパニー クーパー T51 クライマックス FPF 2.5L L4 D
9 ブルース・マクラーレン
10 イネス・アイルランド チーム・ロータス ロータス 16 クライマックス FPF 2.5L L4 D
11 アラン・ステイシー
12 ロイ・サルヴァドーリ ハイ・エフィシエンシー・モータース クーパー T45 マセラティ 250S 2.5L L4 D
14 アレハンドロ・デ・トマソ オスカ・オートモビリ クーパー T43 オスカ Tipo372 2.0L L4[11] D
15 フリッツ・ドーリー カモラーディ・インターナショナル テック=メック F415 マセラティ 250F1 2.5L L6 D
16 ジョージ・コンスタンチン マイク・テイラー クーパー T51 クライマックス FPF 2.5L L4 D
17 ハリー・ブランチャード ブランチャード・オートモビル・コーポレーション ポルシェ RSK ポルシェ 547/3 1.5L F4 ?
18 ボブ・セッド ポール・エメリー・コンノート・カーズ コンノート C アルタ GP 2.5L L4 D
19 ハリー・シェル エキュリー・ブルー クーパー T51 クライマックス FPF 2.5L L4 D
21 エットーレ・チメリ 1 エットーレ・チメリ マセラティ 250F マセラティ 250F1 2.5L L6 D
22 フィル・ケード フィル・ケード マセラティ 250F マセラティ 250F1 2.5L L6 D
ソース:[12]
追記
  • ^1 - エントリーしたが出場せず

結果

予選

順位 No. ドライバー コンストラクター タイム
1 7 スターリング・モス クーパー-クライマックス 3:00.0
2 8 ジャック・ブラバム クーパー-クライマックス 3:03.0 + 3.0
3 19 ハリー・シェル クーパー-クライマックス 3:05.2 + 5.2
4 2 トニー・ブルックス フェラーリ 3:05.9 + 5.9
5 6 モーリス・トランティニアン クーパー-クライマックス 3:06.0 + 6.0
6 4 ヴォルフガング・フォン・トリップス フェラーリ 3:06.2 + 6.2
7 3 クリフ・アリソン フェラーリ 3:06.9 + 6.9
8 5 フィル・ヒル フェラーリ 3:07.2 + 7.2
9 10 イネス・アイルランド ロータス-クライマックス 3:08.2 + 8.2
10 9 ブルース・マクラーレン クーパー-クライマックス 3:08.6 + 8.6
11 12 ロイ・サルヴァドーリ クーパー-マセラティ 3:12.0 + 12.0
12 11 アラン・ステイシー ロータス-クライマックス 3:13.8 + 13.8
13 18 ボブ・セッド コンノート-アルタ 3:27.3 + 27.3
14 14 アレハンドロ・デ・トマソ クーパー-オスカ 3:28.0 + 28.0
15 16 ジョージ・コンスタンチン クーパー-クライマックス 3:30.6 + 30.6
16 17 ハリー・ブランチャード ポルシェ 3:32.7 + 32.7
17 15 フリッツ・ドーリー テック=メック-マセラティ 3:33.4 + 33.4
18 22 フィル・ケード マセラティ 3:39.0 + 39.0
19 1 ロジャー・ワード カーティス・クラフト-オッフェンハウザー 3:43.8 + 43.8
ソース:[13]

決勝

順位 No. ドライバー コンストラクター 周回数 タイム/リタイア原因 グリッド ポイント
1 9 ブルース・マクラーレン クーパー-クライマックス 42 2:12:35.7 10 8
2 6 モーリス・トランティニアン クーパー-クライマックス 42 + 0.6 5 7 1
3 2 トニー・ブルックス フェラーリ 42 + 3:00.9 4 4
4 8 ジャック・ブラバム クーパー-クライマックス 42 + 4:57.3 2 3
5 10 イネス・アイルランド ロータス-クライマックス 39 + 3 Laps 9 2
6 4 ヴォルフガング・フォン・トリップス フェラーリ 38 + 4 Laps 6
7 17 ハリー・ブランチャード ポルシェ 38 + 4 Laps 16
Ret 3 クリフ・アリソン フェラーリ 23 クラッチ 7
Ret 12 ロイ・サルヴァドーリ クーパー-マセラティ 23 トランスミッション 11
Ret 1 ロジャー・ワード カーティス・クラフト-オッフェンハウザー 20 クラッチ 19
Ret 14 アレハンドロ・デ・トマソ クーパー-オスカ 13 ブレーキ 14
Ret 5 フィル・ヒル フェラーリ 8 クラッチ 8
Ret 15 フリッツ・ドーリー テック=メック-マセラティ 6 オイル漏れ 17
Ret 7 スターリング・モス クーパー-クライマックス 5 トランスミッション 1
Ret 19 ハリー・シェル クーパー-クライマックス 5 クラッチ 3
Ret 16 ジョージ・コンスタンチン クーパー-クライマックス 5 オーバーヒート 15
Ret 11 アラン・ステイシー ロータス-クライマックス 2 クラッチ 12
Ret 18 ボブ・セッド コンノート-アルタ 0 アクシデント 13
DNS 22 フィル・ケード マセラティ エンジン 18
ソース:[14]
追記

ランキング

  • : トップ5のみ表示。ベスト5戦のみがカウントされる。ポイントは有効ポイント、括弧内は総獲得ポイント。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ アメリカでのF1世界選手権レースとして初年度の1950年からインディ500が組み込まれていたが、これはFIAが北米大陸の一戦も選手権に含めようとしたためで、実際にはF1とインディの交流はほとんどなく形式的なものとなっていた。本年からアメリカGPが開催されるようになり、翌1960年をもってインディ500は選手権から除外された。 (林信次 1999, p. 83)
  2. ^ 当時はファステストラップ獲得者に1点が与えられていた。
  3. ^ 当レースのグリッドは3-2-3。
  4. ^ a b (林信次 1999, p. 74-75)
  5. ^ (林信次 1999, p. 78)
  6. ^ ただし、インディ500を含めると1952年にトロイ・ラットマンが22歳80日で最年少となる。
  7. ^ a b (林信次 1999, p. 83)
  8. ^ (林信次 1999, p. 83,89)
  9. ^ (林信次 1999, p. 88)
  10. ^ (林信次 1999, p. 89)
  11. ^ Engine OSCA”. statsf1.com. 2018年3月11日閲覧。
  12. ^ USA 1959 - Race entrants”. statsf1.com. 2018年3月11日閲覧。
  13. ^ USA 1959 - Qualifications”. statsf1.com. 2018年3月11日閲覧。
  14. ^ 1959 United States Grand Prix”. formula1.com. 2014年2月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月16日閲覧。

参照文献

外部リンク

前戦
1959年イタリアグランプリ
FIA F1世界選手権
1959年シーズン
アメリカグランプリ 次回開催
1960年アメリカグランプリ



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