1954年イギリスグランプリとは? わかりやすく解説

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1954年イギリスグランプリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/18 16:14 UTC 版)

 1954年イギリスグランプリ
レース詳細
1954年F1世界選手権全9戦の第5戦
シルバーストン・サーキット (1952–1973)
日程 1954年7月17日
正式名称 VII RAC British Grand Prix
開催地 シルバーストン・サーキット
イギリス イングランドシルバーストン
コース 恒久的レース施設
コース長 4.7105 km (2.927 mi)
レース距離 90周 423.949 km (263.43 mi)
決勝日天候 曇(ウエット)
ポールポジション
ドライバー メルセデス
タイム 1:45.0
ファステストラップ
ドライバー アルベルト・アスカリ マセラティ
ファステストラップ ジャン・ベーラ ゴルディーニ
ファステストラップ ファン・マヌエル・ファンジオ メルセデス
ファステストラップ ホセ・フロイラン・ゴンザレス フェラーリ
ファステストラップ マイク・ホーソーン フェラーリ
ファステストラップ オノフレ・マリモン マセラティ
ファステストラップ スターリング・モス マセラティ
タイム 1:50
決勝順位
優勝 フェラーリ
2位 フェラーリ
3位 マセラティ

1954年イギリスグランプリ (1954 British Grand Prix) は、1954年のF1世界選手権第5戦として、1954年7月17日シルバーストン・サーキットで開催された。

90周で行われたレースは、フェラーリホセ・フロイラン・ゴンザレスが予選2位から優勝、チームメイトのマイク・ホーソーンが2位に続き、ワン・ツー・フィニッシュを飾った。マセラティオノフレ・マリモンが3位となった。

レース概要

前戦フランスGPで圧勝したメルセデスは当レースも流線型ボディ(ストリームライン)を使用したが、予選ではポールポジションを獲得したファン・マヌエル・ファンジオが何度もコースをはみ出すなど、ファンジオの操縦をもってしても手に余るものであった。決勝でも3速を失い、ブレーキはフェード気味となり、コースの縁に並べられたドラム缶にぶつかりボディを変形させてしまうなど、ファンジオは我慢のレースを強いられ4位に終わった[1]

ゴンザレスはスタートでトップを奪うと最後までトップを譲らず、独走で1951年イギリスGP以来の自身2勝目を飾った。レース後半にはホーソーンとスターリング・モスが激しい2位争いで地元ファンを楽しませるが、81周目にモスのリア・ハブが破損して、フェラーリがワン・ツー・フィニッシュを達成した。マリモンは終盤に同郷の師匠であるファンジオを抜いて3位表彰台を獲得した[1]

当レースは計測システムが秒単位だったため、ファステストラップ樹立者がゴンザレス、ホーソーン、モス、アルベルト・アスカリ(当レースはマセラティのワークスドライバーとして出場)、マリモン、ジャン・ベーラ、ファンジオの7名にのぼった。当時はファステストラップ樹立者にも1点が与えられており、樹立者が複数名の場合は人数で等分されることになっていたため、7等分した17点が各ドライバーに与えられた[2]

エントリーリスト

No. ドライバー エントラント コンストラクター シャシー エンジン タイヤ
1 ファン・マヌエル・ファンジオ ダイムラー・ベンツ メルセデス W196 メルセデス M196 2.5L L8 C
2 カール・クリング
3 ハリー・シェル ハリー・シェル マセラティ A6GCM マセラティ A6 2.0L L6 P
4 ロベルト・ミエレス ロベルト・ミエレス マセラティ A6GCM マセラティ A6 2.0L L6 P
5 ロイ・サルヴァドーリ ギルビー・エンジニアリング マセラティ 250F マセラティ 250F1 2.5L L6 D
6 プリンス・ビラ
ロン・フロックハート 1
プリンス・ビラ マセラティ 250F マセラティ 250F1 2.5L L6 P
7 スターリング・モス スターリング・モス マセラティ 250F マセラティ 250F1 2.5L L6 P
8 ケン・ウォートン オーウェン・レーシング・オーガニゼーション マセラティ 250F マセラティ 250F1 2.5L L6 P
9 ホセ・フロイラン・ゴンザレス スクーデリア・フェラーリ フェラーリ 625 フェラーリ Tipo625 2.5L L4 P
10 モーリス・トランティニアン
11 マイク・ホーソーン
12 レグ・パーネル スクーデリア・アンブロジアーナ フェラーリ 500/625 フェラーリ Tipo625 2.5L L4 A
14 ロベール・マンヅォン エキュリー・ロジェ フェラーリ 625 フェラーリ Tipo625 2.5L L4 P
15 ルイ・ロジェ 500/625 D
16 ジャック・スウォーターズ エキュリー・フィリピネッティ フェラーリ 500/625 フェラーリ Tipo625 2.5L L4 E
17 ジャン・ベーラ エキップ・ゴルディーニ ゴルディーニ T16 ゴルディーニ 23 2.5L L6 E
18 クレマール・ブッチ
19 アンドレ・ピレット
20 ピーター・コリンズ GAヴァンダーヴェル ヴァンウォール スペシャル ヴァンウォール 254 2.5L L4 P
21 ピーター・ホワイトヘッド ピーター・ホワイトヘッド クーパー T24 アルタ GP 2.5L L4 D
22 ビル・ホワイトハウス ビル・ホワイトハウス コンノート タイプA リー・フランシス 2.0L L4 D
23 レスリー・マー レスリー・マー コンノート タイプA リー・フランシス 2.0L L4 D
24 ジョン・リズリー=プリチャード RRCウォーカー・レーシングチーム コンノート タイプA リー・フランシス 2.0L L4 D
25 ドン・ビューマン サー・ジェレミー・ボールズ コンノート タイプA リー・フランシス 2.0L L4 D
26 レスリー・ソーン エキュリー・エコッセ コンノート タイプA リー・フランシス 2.0L L4 D
27 アラン・ブラウン RJ チェース クーパー T23 ブリストル BS1 2.0L L6 D
28 ホレース・グールド グールズ・ガレージ クーパー T23 ブリストル BS1 2.0L L6 D
29 ボブ・ジェラード ボブ・ジェラード クーパー T23 ブリストル BS1 2.0L L6 D
30 エリック・ブランドン
ロドニー・ナッキー 2
エキュリー・リッチモンド クーパー T23 ブリストル BS1 2.0L L6 D
31 アルベルト・アスカリ オフィシーネ・アルフィエリ・マセラティ マセラティ 250F マセラティ 250F1 2.5L L6 P
32 ルイジ・ヴィッロレージ
33 オノフレ・マリモン
ソース:[3]
追記
  • ^1 - 決勝でビラからフロックハートに交代
  • ^2 - 予選でナッキーからブランドンに交代

結果

予選

順位 No. ドライバー コンストラクター タイム
1 1 ファン・マヌエル・ファンジオ メルセデス 1:45.0
2 9 ホセ・フロイラン・ゴンザレス フェラーリ 1:46.0 + 1.0
3 11 マイク・ホーソーン フェラーリ 1:46.5 + 1.5
4 7 スターリング・モス マセラティ 1:47.0 + 2.0
5 17 ジャン・ベーラ ゴルディーニ 1:48.0 + 3.0
6 2 カール・クリング メルセデス 1:48.1 + 3.1
7 5 ロイ・サルヴァドーリ マセラティ 1:48.4 + 3.4
8 10 モーリス・トランティニアン フェラーリ 1:48.6 + 3.6
9 8 ケン・ウォートン マセラティ 1:49.5 + 4.5
10 6 プリンス・ビラ マセラティ 1:49.6 + 4.6
11 20 ピーター・コリンズ ヴァンウォール 1:50.0 + 5.0
12 19 アンドレ・ピレット ゴルディーニ 1:51.0 + 6.0
13 18 クレマール・ブッチ ゴルディーニ 1:52.0 + 7.0
14 12 レグ・パーネル フェラーリ 1:52.1 + 7.1
15 14 ロベール・マンヅォン フェラーリ 1:52.5 + 7.5
16 3 ハリー・シェル マセラティ 1:53.0 + 8.0
17 25 ドン・ビューマン コンノート-リー・フランシス 1:55.0 + 10.0
18 29 ボブ・ジェラード クーパー-ブリストル 1:55.3 + 10.3
19 22 ビル・ホワイトハウス コンノート-リー・フランシス 1:56.0 + 11.0
20 28 ホレース・グールド クーパー-ブリストル 1:56.7 + 11.7
21 24 ジョン・リズリー=プリチャード コンノート-リー・フランシス 1:57.0 + 12.0
22 23 レスリー・マー コンノート-リー・フランシス 1:57.3 + 12.3
23 26 レスリー・ソーン コンノート-リー・フランシス 1:57.8 + 12.8
24 21 ピーター・ホワイトヘッド クーパー-アルタ 1:59.0 + 14.0
25 30 エリック・ブランドン 2 クーパー-ブリストル 1:59.7 + 14.7
26 27 アラン・ブラウン クーパー-ブリストル 2:00.0 + 15.0
27 32 ルイジ・ヴィッロレージ マセラティ 2:02.0 + 17.0
28 33 オノフレ・マリモン マセラティ 2:02.6 + 17.6
29 30 ロドニー・ナッキー 2 クーパー-ブリストル No time
30 31 アルベルト・アスカリ マセラティ No time
31 15 ルイ・ロジェ フェラーリ No time
32 4 ロベルト・ミエレス マセラティ No time
DNP 16 ジャック・スウォーターズ 3 フェラーリ No time
ソース:[4]
追記
  • ^3 - スウォーターズはエンジントラブルのため予選に出走せず[5]

決勝

順位 No. ドライバー コンストラクター 周回数 タイム/リタイア原因 グリッド ポイント
1 9 ホセ・フロイラン・ゴンザレス フェラーリ 90 2:56:14 2 8+17
2 11 マイク・ホーソーン フェラーリ 90 + 1:10[6] 3 6+17
3 33 オノフレ・マリモン マセラティ 89 + 1 Lap 28 4+17
4 1 ファン・マヌエル・ファンジオ メルセデス 89 + 1 Lap 1 3+17
5 10 モーリス・トランティニアン フェラーリ 87 + 3 Laps 8 2
6 4 ロベルト・ミエレス マセラティ 87 + 3 Laps 32
7 2 カール・クリング メルセデス 87 + 3 Laps 6
8 8 ケン・ウォートン マセラティ 86 + 4 Laps 9
9 19 アンドレ・ピレット ゴルディーニ 86 + 4 Laps 12
10 29 ボブ・ジェラード クーパー-ブリストル 85 + 5 Laps 18
11 25 ドン・ビューマン コンノート-リー・フランシス 84 + 6 Laps 17
12 3 ハリー・シェル マセラティ 83 + 7 Laps 16
13 23 レスリー・マー コンノート-リー・フランシス 82 + 8 Laps 22
14 26 レスリー・ソーン コンノート-リー・フランシス 78 + 12 Laps 23
15 28 ホレース・グールド クーパー-ブリストル 44 + 46 Laps 20
Ret 7 スターリング・モス マセラティ 80 アクセル 4 17
Ret 22 ビル・ホワイトハウス コンノート-リー・フランシス 63 燃料システム 19
Ret 17 ジャン・ベーラ ゴルディーニ 54 サスペンション 5 17
Ret 5 ロイ・サルヴァドーリ マセラティ 53 トランスミッション 7
Ret 6 プリンス・ビラ
ロン・フロックハート
マセラティ 44 アクシデント 10
Ret 32 ルイジ・ヴィッロレージ
アルベルト・アスカリ
マセラティ 40 エンジン 27
Ret 24 ジョン・リズリー=プリチャード コンノート-リー・フランシス 40 アクシデント 21
Ret 12 レグ・パーネル フェラーリ 25 エンジン 14
Ret 31 アルベルト・アスカリ マセラティ 21 エンジン 30 17
Ret 18 クレマール・ブッチ ゴルディーニ 18 アクシデント 13
Ret 20 ピーター・コリンズ ヴァンウォール 16 エンジン 11
Ret 14 ロベール・マンヅォン フェラーリ 16 エンジン 15
Ret 21 ピーター・ホワイトヘッド クーパー-アルタ 4 オイル漏れ 24
Ret 30 エリック・ブランドン クーパー-ブリストル 2 エンジン 25
Ret 15 ルイ・ロジェ フェラーリ 2 エンジン 31
DNS 27 アラン・ブラウン クーパー-ブリストル - 26
DNS 30 ロドニー・ナッキー クーパー-ブリストル - ブランドンに交代 29
ソース:[7]

注記

  • アスカリ、ベーラ、ファンジオ、ゴンザレス、ホーソーン、マリモン、モスの7名が1:50でファステストラップを記録し、 17点を獲得した。
  • 車両共有:
    • 6号車: ビラ(42周)、フロックハート(2周)
    • 32号車: ヴィッロレージ(30周)、アスカリ(10周)
  • F1デビュー:
    • ドライバー: ドン・ビューマン、クレマール・ブッチ、ロン・フロックハート、ホレース・グールド、レスリー・マー、ジョン・リズリー=プリチャード、レスリー・ソーン、ビル・ホワイトハウス
    • コンストラクター: ヴァンウォール
  • F1最終出走: アラン・ブラウン、レグ・パーネル、ピーター・ホワイトヘッド

第5戦終了時点でのランキング

ドライバーズ・チャンピオンシップ
順位 ドライバー ポイント
1 ファン・マヌエル・ファンジオ 28 17
2 2 ホセ・フロイラン・ゴンザレス 14 914
1 3 モーリス・トランティニアン 11
1 4 ビル・ブコビッチ 8
11 5 マイク・ホーソーン 7 914
  • : トップ5のみ表示。ベスト5戦のみがカウントされる。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b (林信次 2000, p. 98)
  2. ^ (林信次 2000, p. 100)
  3. ^ Britain 1954 - Race entrants”. statsf1.com. 2017年8月22日閲覧。
  4. ^ Britain 1954 - Qualifying”. statsf1.com. 2016年5月5日閲覧。
  5. ^ Britain 1954 - Result”. statsf1.com. 2017年8月21日閲覧。
  6. ^ Lang, Mike (1981). Grand Prix! Vol 1. Haynes Publishing Group. p. 75. ISBN 0-85429-276-4 
  7. ^ 1954 British Grand Prix”. formula1.com. 2014年11月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月9日閲覧。

参照文献

外部リンク

前戦
1954年フランスグランプリ
FIA F1世界選手権
1954年シーズン
次戦
1954年ドイツグランプリ
前回開催
1953年イギリスグランプリ
イギリスグランプリ 次回開催
1955年イギリスグランプリ



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