輪
『第三半球物語』(稲垣足穂)「泣き上戸」 ある晩、土星が街角のバーへ入ろうとしたが、入口に環がつかえたので、環を外して表へ立てかけておく。そのあとへ自動車がやって来て、酒壜をひいてタイアがパンクした。運転者は、目の前に立てかけてある手頃な環を、タイアの代わりに車輪にはめて、行ってしまう。バーから出て来た土星は、自動車を追いかけて、転がって行った。
『備後国風土記』逸文 武塔(むた)の神(=速須佐雄能神)が、かつて饗応された返礼として(*→〔宿〕1b)、蘇民将来の女児の腰に、茅の輪をつけるよう教えた。その夜、武塔の神は、蘇民将来の女児1人をのぞき、他をすべて殺し滅ぼした。そして「後世、疫気(えやみ)がある時には、『蘇民将来之子孫』と言って茅の輪を腰につけている人は無事であろう」と教えた。
蘇民将来と茅の輪の伝説 ハヤスサノヲノ神が蘇民将来に、疫病を免れる方法を教えた(*→〔宿〕1b)。「子々孫々にいたるまで、あなたの名前(蘇民将来)を戸口に貼り、茅の輪を作ってこれをくぐれ。そうすれば、疫病を免れることができるであろう」。以来、茅の輪くぐりが、疫病よけの年中行事となった(広島県芦品郡新市町)。
『スターゲイト』(エメリッヒ) サハラ砂漠の古代遺跡から、直径数メートルの鋼製の環が発見された。米軍のチームがその環(スターゲイト)をくぐり、宇宙の彼方の未知の惑星に到る。惑星は、独裁者ラーに支配されていた。遠い昔、ラーは地球を訪れ、人類を指導して古代エジプト文明を作り上げた後、大勢のエジプト人を奴隷として引き連れ、この惑星に移り住んだのである。しかし今、ラーは地球を攻撃しようとしていた。米軍チームは激しい戦闘の後、ラーを倒して地球へ帰還した〔*チームの一員である考古学者ダニエルは、惑星に住む娘シュリを伴侶として、そのまま惑星にとどまった〕。
*輪に「長さ」があれば、「トンネル」になる。トンネルを抜けて異郷へ行く→〔トンネル〕1a。
『コーカサスの白墨の輪』(ブレヒト) 領主夫人の子供を、召使いグルシェが我が子のようにいつくしんで育てるが、領主夫人がやって来て「子供を返せ」と要求する。村役場の書記アツダクが裁判官となり、白墨で地面に輪を描いて、その中に子供を立たせる。2人の女は輪の両脇から、子供の左右の手を引っ張る。グルシェは「子供を引き裂いてはいけない」と思って手を離し、領主夫人が子供を引き寄せる。アツダクは、「子供はグルシェのものだ」と判決を下す。
*輪と同じ種類の言葉
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