鳥居の暗躍とは? わかりやすく解説

鳥居の暗躍

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 23:25 UTC 版)

蛮社の獄」の記事における「鳥居の暗躍」の解説

流布した『戊戌夢物語』は天保10年1839年)春ごろには老中水野忠邦にも達したようで、水野は「モリソン」という人物と『夢物語』の著者探索鳥居耀蔵命じた4月19日鳥居配下小笠原貢蔵大橋元六らに『夢物語』の著者探索ことよせ渡辺崋山近辺について内偵するよう命じた鳥居はすでに前年から崋山身辺探索しており、この機会利用して蘭学にして大施主」と噂され崋山拘引狙っていたとみられる10日後の4月29日小笠原調査結果復命した。 イギリス人モリソン人物について夢物語』は高野長英翻訳書元に崋山執筆したものであろうという風説 幡崎鼎人物像と彼と親しい者の名(松平伊勢守川路聖謨羽倉簡堂江川英龍内田弥太郎奥村喜三郎)。また彼らは幡崎が捕らえられてからは崋山長英親しくしていること 崋山人柄彼に海外渡航企てがある旨 これらを述べた後さらに小笠原は、順宣・順道常州無量寿寺人間たち無人島小笠原諸島)に渡航しようとしており、さらにアメリカまで行こうとしているという、『夢物語』とは関係なく水野探索指令にもない一件加えている。これら一連の情報小笠原もたらしたのは、下級幕臣花井虎一である。彼は蘭学界に出入りして崋山宅もしばしば訪れており、さらにはそもそも無人島渡航計画にも加わっていた人物であった鳥居蛮社の獄1年も前から花井使って崋山内偵進めており、花井鳥居一派に完全に取りこまれ、犯罪既成事実作るべく崋山と順宣グループそれぞれに渡海けしかけていた。報告受けた鳥居は、無量寿寺についてさらなる調査命じた一連の調査結果、順宣らの計画幕府許可願書出し済み合法的なのであることが判明したが、鳥居は、この計画崋山関与しさらに単独アメリカ渡ろうとしている旨の告発状書き上げ水野提出した先年崋山羽倉小笠原諸島調査同行しようとしたことも、密航企て証拠とされた。 なお告発状大部分崋山への誣告占められているが、崋山同調者として羽倉江川見分同行した内田奥村幕臣の名前が批判的に挙げられている。鳥居狙いが、崋山の陥れとともに政敵排除見分介入されて不快を覚えた私怨を晴らすことにあったということが、ここから伺える。ちなみに川路聖謨告発状中に名を挙げられていない水野鳥居訴状鵜呑みにはせず、配下の者に再調査命じたその結果俎上あげられ人間のうち、幕臣松平伊勢守羽倉江川内田奥村下曽根信敦)は皆容疑から外された。 以上の通説に対して田中弘之は、前記のとおり鳥居江川昵懇間柄であり、鳥居崋山友人幕府高官もいることを利用して水野崋山危険性影響力強さ強調しようしたもので、幕臣告発する意図最初からなかったとしている。また水野再調査命じた根拠とされる鳥居の上書(告発状以外のもう1通の上書についても、水野再調査命令による上書ではなく吟味過程鳥居告発疑問抱いた北町奉行所作成したものだと思われる。もし水野信任厚い羽倉江川疑惑があるなら直接問いただすはずだし、またこの時点水野鳥居全面的に信頼しているのは明らかだとしている。 5月14日崋山無人島渡航計画メンバー出頭命令下され全員伝馬町の獄に入れられた。キリスト伝記翻訳していた小関三英は自らも逮捕免れぬものと思い込み5月17日自宅にて自殺した高野長英一時身を隠していたが、5月18日になり自首して出た。これにより、逮捕者は以下の8名となった渡辺崋山田原藩年寄47歳高野長英町医36歳) 順宣(無量寿寺住職50歳) 順道同上。順宣の息子25歳山口金次郎旅籠後見人39歳山崎秀三郎(蒔絵師40歳本岐道平御徒隠居46歳斉藤次郎兵衛(元旗本家家臣。66歳) なお、崋山拘引直後水野は「登(崋山)事夢物語一件にてはこれ無く、全く無人島渡海一件魁首なり」と断言しており、『夢物語』よりも無人島渡海重要視している姿勢うかがえる

※この「鳥居の暗躍」の解説は、「蛮社の獄」の解説の一部です。
「鳥居の暗躍」を含む「蛮社の獄」の記事については、「蛮社の獄」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「鳥居の暗躍」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「鳥居の暗躍」の関連用語

鳥居の暗躍のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



鳥居の暗躍のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの蛮社の獄 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS