駐輪場を持たない方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 03:13 UTC 版)
「自転車シェアリング」の記事における「駐輪場を持たない方式」の解説
中華人民共和国では、2014年ごろに駐輪場をもたないシェア自転車が登場し、急激にシェアを伸ばした。 中国でも最初は駐輪場を持つ方式が導入された。最初2008年北京オリンピックのために北京市で一時的にシェア自転車が導入され、その後2008年に杭州市、2009年に武漢市で本格的な導入が行われた。2014年には自転車の数が世界一の43万台に達した。しかしながら、目的地の駐輪場に空きがなかったり、自転車や駐輪場が故障していることが多いという問題が発生した。 駐車場を持たない方式では、これに対して基本的に自転車は目的地に放置される。自転車はGPSを使ったSIMカード内蔵の鍵を装備しており、スマートフォンを使って近くにあるシェア自転車を検索・予約し、自転車についているQRコードの読み取りによって解錠し、目的地で施錠、決済を行う。業者は夜間・早朝に放置されている自転車を回収・再配置する。 中国では2010年代にスマートフォンの利用とネット決済が広まり、また交通公共機関が整備されて、下車後目的地までの「ラストワンマイル」を解決するためにシェア自転車の需要が発生した。政府もまた2015年に「インターネット+計画」を策定し、2016年からの第13次五か年計画において公共交通と自転車利用の奨励を提起するなど、シェア自転車は政策にも合致していた。 2015年頃から自転車シェアリングに参入する業者が増加し、瞬く間に都市部を中心にサービスが拡大した。一時は、高速鉄道、モバイル決済、ネットショッピングと並ぶ「中国新四大発明」と呼ばれた。進出企業の急激な増加により中国市場が飽和状態になると、次々と海外進出が始まり、2017年8月には業界一位のモバイクが札幌市で、2018年3月には業界二位のofoが和歌山市に進出した。しかしながら、2017年を境に倒産する中小企業が相次いだ。四川省重慶市を拠点としていた悟空単車が倒産すると町町単車、3Vバイク、酷騎単車、小藍単車、小鳴単車が相次いで経営破綻した。経営破綻に当たっては、町町単車の経営陣がデポジット料金を持ち逃げするように行方不明になったほか、利用者サイドも自転車の持ち逃げや不法投棄を行うなどモラルの無さが際立った。これら企業の倒産ラッシュで200万台の自転車がゴミになったと推計するデータも存在する。 2016年に30社、2017年に70社もの会社による激しい競争が行われ、大手のofo・モバイクはともに2016年に500万台ほどの自転車を導入したという。しかし、2018年には40社以下に減少した。ofoなど大手も採算が取れるようになる見通しがつかず、経営難に陥っている。2018年末にはofoが倒産を予定していると報告された。 中国での無軌道な発達と衰退はともかく、方式自体は中国以外でも評価され、台湾のYouBike、アメリカ合衆国のジャンプ (Jump (transportation company)) (2018年にUberが買収、2020年にLime (Lime (transportation company)) が買収)のように、同様の駐輪場を持たないサービスを行う会社が現れた。しかし放置された自転車が障害者にとって危険であると批判されている。
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