駐輪場の整備
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/01 01:01 UTC 版)
1977年(昭和52年)頃は駐輪場の収容台数(約60万台)より放置自転車の数(約68万台)の方が多く、駐輪場不足が深刻だった。1994年(平成6年)に改正された自転車法は「一般公共の用に供される自転車等駐車場の設置に努めるものとする」として、地方公共団体に対して努力を求めた。そのため市区町村は自転車等駐車場管理条例を作って駐輪場の整備に努め、2012年現在では30年前の7倍の収容能力となっている。一方で、駐輪場は「位置が駅から遠い」、「一台あたりのスペースや二段式ラックなど自転車の出し入れが難しい」、暗くひと気が少ないために防犯上不安」、「営業時間が短い」などの不満があるなど、駐輪場の利用やその料金を支払いたくないと考える人も一定数居るようである。 自転車法は鉄道事業者や、官公署・学校・百貨店・スーパーマーケット・銀行・パチンコ店などの「大量の駐車需要を生じさせる施設」に対しても、駐輪場の整備を求めている。しかし鉄道事業者の駐輪場の収容能力は全体の6%、大型店舗は約1%にすぎない。そのため市区町村は自転車法に基づいて附置義務条例を定め、「大量の駐車需要を生じさせる施設」に対して駐輪場の整備を促しているが、都心部などでは地価が高いこともあり、整備は難しい状況があるとされる。例えば東京都千代田区は自転車の放置率が約47.9%と23区内で最も高く、小川町駅・淡路町駅や神田駅や秋葉原駅の駅から500m以内で200台以上が放置されており、駅周辺(500m以内)に駐輪する自転車の半分近くが違法駐輪という現状であるが、これに対して区では、放置禁止区域の指定拡大や商業・業務施設や駅周辺への駐輪場整備やレンタサイクルの活用の対策を講じたりしている。一方、同豊島区は2003年に、鉄道事業者に対して条例で課税(目的税)して費用の原因者負担を求めるという施策を行ったが、同税は後に廃止されている。 山梨県甲府市の甲府駅では2009年の調査で1日当たり約1600台の自転車利用の駐輪需要があったのに対し2013年11月時点で駅前駐輪場の供給スペースが775台しか存在しなかったため放置自転車が常態化していた。そのため中心市街地の再開発で地下駐輪場の新設などが行われ、2015年6月時点で調査時の需要を上回る1685台まで増設している。今後も立体駐輪場を追加整備し、需要増に対応するとしている。
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