音声との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 01:14 UTC 版)
母音の識別には、各フォルマントの周波数が重要である。録音した音声から主要フォルマント(主に500~3000Hz近辺に点在する)を除去して再生すると、発音された母音とは認識できなくなる。逆に楽器などの音波にシンセサイザーやイコライザーなどでフォルマントを模したピークを加えると母音が混じったような音声が出来上がる。阻害音では明確なフォルマントは観察できない。母音の弁別は第一フォルマント(約500~1000Hz)と第二フォルマント(約1500~3000Hz)によって大体行うことができる(第一、第二といった数字の当て方は研究者や時代によって異なる)。 音声は、声帯(英: vocal fold)の振動によって生成された音波(喉頭原音)が声道(英: vocal tract)で共鳴することで形成される。音声の源となる声帯振動は会話の時は100~200Hz付近で、ゴム風船のブーという振動とあまり変わらない。この音は喉に直接マイクを当てれば聴くことができる。また、声帯を失った人に使用される人工声帯は、ブーという音しか出ない。この声帯音源が、声道つまり咽頭喉頭および唇・舌・歯・顎・頬で構成される口腔、さらに鼻腔、副鼻腔で共鳴することによって特定帯域ごとに倍音が増幅される。この増幅された成分の塊もしくはピークをフォルマントと言う。この音は、さらに口から外部への放射、伝播を経て、我々が普段耳にしている音声へと変わる。 人が言葉を発するということは、音響音声学的には、音声におけるそれぞれの音韻に必要な共鳴や生成方法を制御することで、これを調音または構音という。親子や兄弟で声が似ているのは、骨格などの形態が近いことも理由の一と言われるが、骨格と大きく相関するフォルマントの高低は音声の個性にはあまり影響しない。音色に影響するのはむしろ声帯の微妙な鳴らし方の違い(声種)で、これは習慣的なものである。似た声になるのは、聴き慣れた家族の声を無意識にまねることのほかに、使う発声が親から遺伝していることも理由である(使う発声とはあくまで「発声練習などを何もしていない状態」でのものであり、練習次第で遺伝した発声を変えていくこともできる)。
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