音域・音階などについて
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 20:44 UTC 版)
基本的には音域は2オクターブ強(一尺八寸管でC4-E6)である。1オクターブ目を乙、2オクターブ目を甲という。用いられる頻度は少ないが、倍音を用いてその上の約1オクターブの音を出すことができ、3オクターブ目を大甲という。 単純な運指における5音を琴古流ではそれぞれロ・ツ・レ・チ・リ(甲音域ではヒ)といい、都山流ではそれぞれロ・ツ・レ・チ・ハという。これは陽音階や律音階となり、それぞれ一尺八寸管では乙音域でD4(壱越)・F4(勝絶)・G4(双調)・A4(黄鐘)・C5(神仙)(それぞれ甲音域ではその1オクターブ上)に相当する。その間の音をメリおよびカリで補うことで、基本的な運指において、西洋の12音音階すべての演奏が可能であり、譜字ではメやカなどの補助記号を付けたり、都山流では譜字を小さくしたりして表される。乙音域・甲音域とも、実際にはその他に特殊な運指やそれに相当する譜字もいくつか存在する。 大甲音域については、高度の技術によれば一尺八寸管のE7相当程度まで可能であり、譜字については基本音とは別の譜字を用いるか、基本音の譜字に補助記号を添えたものを用いる。全音域中で、一尺八寸管のF6相当の1音だけは演奏が極めて困難である。 音(一尺八寸)琴古流都山流C4(神仙) 乙 ロ大 乙 (ロ)メ C#4(上無) 乙 ロメ 乙 (ロ) D4(壱越) 乙 ロ 乙 ロ Eb4(断金) 乙 ツメ 乙 (ツ) E4(平調) 乙 ツ中 乙 ツメ F4(勝絶) 乙 ツ・レメ 乙 ツ・(レ)メ F#4(下無) 乙 レ中 乙 (レ) G4(双調) 乙 レ 乙 レ Ab4(鳧鐘) 乙 チメ・ウ 乙 (チ)・ウ A4(黄鐘) 乙 チ 乙 チ Bb4(鸞鏡) 乙 リメ 乙 (ハ) B4(盤渉) 乙 リ中 乙 ハメ C5(神仙) 乙 リ 乙 ハ C#5(上無) 乙 イメ・甲 ロメ 乙 (ヒ)・甲 (ロ) D5(壱越) 乙 イ・甲 ロ 乙 ヒ・甲 ロ Eb5(断金) 甲 ツメ 甲 (ツ) E5(平調) 甲 ツ中 甲 ツメ F5(勝絶) 甲 ツ・レメ 甲 ツ・(レ)メ F#5(下無) 甲 レ中 甲 (レ) G5(双調) 甲 レ 甲 レ Ab5(鳧鐘) 甲 チメ・ウ 甲 (チ)・ウ A5(黄鐘) 甲 チ 甲 チ Bb5(鸞鏡) 甲 ヒメ 甲 (ハ) B5(盤渉) 甲 ヒ中 甲 ハメ C6(神仙) 甲 ヒ 甲 ハ C#6(上無) 甲 イメ 甲 (ヒ) D6(壱越) 甲 イ・ ハ五 甲 ヒ・ ピ Eb6(断金) ハ三 タ E6(平調) ハ四 四 F6(勝絶) 大甲 ツ 大甲 ツ F#6(下無) 大甲 レ中 大甲 (レ) G6(双調) 大甲 レ 大甲 レ Ab6(鳧鐘) 大甲 チメ 大甲 (チ) A6(黄鐘) 大甲 チ 大甲 チ Bb6(鸞鏡) 大甲 ヒメ 大甲 (ハ) B6(盤渉) 大甲 ヒ中 大甲 ハメ C7(神仙) 大甲 ヒ 大甲 ハ C#7(上無) 大甲 イメ 大甲 (ヒ) D7(壱越) 大甲 ハ五 大甲 ピ Eb7(断金) 大甲 ハ三 大甲 タ E7(平調) 大甲 ハ四 大甲 四 運指名は代表的なもののみ示した。実際には他にも特殊な運指やその名前がある。都山流のカッコ付きの文字は、実際の楽譜では小文字で書かれる。
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