陽明学左派―心学の横流-とは? わかりやすく解説

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陽明学左派―心学の横流-

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/03 03:38 UTC 版)

陽明学」の記事における「陽明学左派―心学の横流-」の解説

王陽明高弟としては、王畿(龍渓)、王艮(心斎)、徐愛横山)、欧陽徳(南野)、銭徳洪(緒山)、鄒守益(東廓)、羅洪先(念庵)、聶豹(双江)らが有名である。しかし王陽明死後陽明学はいくつかの派に分裂した王陽明生前より、主に良知説における「無善無悪」の解釈をめぐり王龍渓左派朱子学再接近ようとする緒山らは対立していたが、師の没後分裂決定的となった陽明学左派中心人物王龍渓と王心斎であって、この両者王学二王称する王陽明は心そのもの善悪区別はないとしたが、「四句教」にあるように「意」「良知」「物」には善悪認めた。しかし王龍渓らは師の説は徹底を欠くとして、「意」「良知」「物」も「無善無悪」としたのである。したがってそれらに基づく行動善悪無し主張した。これを「四無説(しむせつ)」という。いわば善悪といった倫理超えたものとして「良知」を解したのである。この主張は銭緒山右派のみならず朱子学からも倫理に背くものとされ、彼らの思想行動心学横流呼ばれ厳しく批判された。また、彼らは狂人聖人紙一重という説も唱えていた。 王龍渓王龍渓上で王陽明良知説を革新したと述べたが、もう少し具体的にいうと、以下の二つの意味良知追加した。まず王陽明にあって良知はあくまで人の心にあるものであったが、弟子王龍渓はそれを「天則」(天のことわり)にまで拡大した点。次に現成良知」を主張した点。「現成」とは、眼前にすでに出現しできていることであり、良知発現させるために作為的もしくは意識的な修養無用であって良知はすでに既成善悪超え自律的に正しく判断するのだと主張した王龍渓良知を非常に動的なものとして捉え直したといえる。 また理学がその成立当初から禅宗影響強く受けていることは、宋代より言われ続けてきたことであるが、陽明学左派とりわけ仏教の、そして老荘思想影響顕著である。この傾向王陽明持っていたが、特に王龍渓はこの傾向強めたといわれる。その証拠として経書解釈においても積極的に仏教などの語彙使用して説明しようとした点がよく指摘される。そして仏教道教真理一面有していたことを認め三教一致目指そうとした。この傾向は王心斎の一派にも見られそれ故にもはや儒教ではなく 禅宗の学だという批判を招くに至った。 王心斎と泰州学派王心斎も王龍渓同じく現成良知」を奉じていたが、思弁性よりも、社会向けた実践活動特徴有する具体的には王心斎は、『孝経』と四書重視したが、経書注釈に拘らない自得学問説き独特な淮南格物」を主張したこと、古代理想とする尚古思想をもっていたことがその思想的特徴といえるが、なによりも重要なのは、知識人以外の階層陽明学広めることを己が責務としたことである。王心斎らの一派泰州学派といわれ、この派からは何心隠、羅如芳(近渓)、楊起元(復所)、李贄(卓吾)、周汝登(海門)、陶望齢を輩出した。彼らはその身の中で、万民を救うという士大夫責任感と「知行合一」とを結合させ、以下に述べるような社会批判繰り広げていくのである。この意識が非常に高揚して、「侠」あるいは「遊侠」という境地達するものも現れた。 李卓吾李卓吾陽明学左派掉尾を飾る人物である。彼にいたって朱子学唱えた読書による人欲排除といった理学基本概念とは全く正反対主張なされた。まず良知説を改良し、「童心説」を唱えた童心とは経書など外的権威・道徳を学ぶ以前純真な心を指し読書学問によってかえって失われるとした。また「穿・衣・吃飯、即ち是れ人倫物理なり」とも述べ食欲衣服を身につけようとすることは人間の本来の自然だとし、人欲を全肯定した

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