陸王オートバイの特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/25 03:43 UTC 版)
「陸王 (オートバイ)」の記事における「陸王オートバイの特徴」の解説
当初生産されたオートバイはサイドバルブV型2気筒1,208 ccのエンジンを搭載した車両であり、これは当時のハーレーダビッドソン・モデルVLという車両を国内で生産したものである。戦前の陸王は軍需に依存していたため、生産の中心は軍用サイドカーだった。日本人の体格に合わせ、陸王としては小型の750 ccモデルも生産し、戦後一時期は白バイなどにも採用された。しかし、1,200 ccではフロントのスプリンガー式ボトムリンクサスペンションや後輪固定式シャーシなどを遅くまで使用するなど、シャーシ設計の旧弊さは後年まで陸王の弱点となった。 また、ハンドシフト、手動進角、手動オイルポンプ(実質、オイルを使い捨てる潤滑を恒常化させた古典設計)などといった、戦前のハーレー特有の特殊な操作体系も末期のRT2が登場するまで変わらず、説明書の操縦法を熟知し手慣れた者でなければ「壊さないように(更に単車では横転事故を起こさないように)乗りこなす事自体が難しい」といった点も、イギリス車やドイツ車の流れを汲む後発メーカーの(現在のオートバイとほぼ同じ)単純な操作体系の車種に圧される要因となってしまった。 なお陸王が生産されていた時からエンジンのOHVレイアウトは実用化されていた。1936年(昭和11年)にOHVレイアウトの傑作エンジン「ナックルヘッド」を市販化したハーレー本社からもOHVエンジンでの生産を勧められたが、サイドバルブエンジンが既に軍用車両で使われ実績があったことから、あえてOHVを使用しなかった。しかしそれはエンジンの高性能化を妨げる要因となり、太平洋戦争後は後発メーカーによる高性能で軽量な小排気量車両に押されるようになっていった。 こうした事態を打開すべく、1952年(昭和27年)にはBMWの単気筒バイクを参考に開発したOHV単気筒エンジン搭載のフットシフト中型車・A型(グローリー)を登場させ、その後250 ccのF型なども市場投入し、AB、AC及びFB、FC型へと発展させているが、品質に拘りすぎた事が祟り、他社との価格競争に敗退。最後まで「陸王=ハーレー」のイメージが抜けなかった事もあってか、大型車両中心の経営体質の改善に繋がる程の売り上げを達成する事は出来なかった。 750 cc陸王も、エンジンをOHVに改良した試作品の製作までは行ったものの、生産までには至らず倒産してしまった。
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