闘犬賭博問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 00:09 UTC 版)
2007年4月26日、ヴィックの従兄弟が麻薬(マリファナ)密売の容疑で警察に逮捕された。従兄弟が住んでいたバージニア州のヴィックが所有する邸宅で家宅捜索が行われたところ、多くの傷ついた犬と闘犬の痕跡が発見された。邸宅からは60頭以上の犬と闘犬に使われた用具が押収された。 その後の捜査で、ヴィックと仲間3名が自宅の裏庭でドッグファイトを開催し、賭博を行っていたことが判明した。更に、闘犬に使用するピットブルの調達やトレーニングを行い、闘犬イベントを運営する違法企業の経営にかかわったほか、闘いに敗れた犬を銃、首吊り、電気ショックなどで処刑する残虐行為を行っていたことも明らかになり、連邦大陪審から起訴された。当初、ヴィックは容疑を否認していたが、同罪に問われた仲間の証言もあって追い詰められ、最終的には司法取引に応じ、2007年8月27日に開かれた裁判で闘犬賭博への関与を認め、公的に謝罪した。判決を待たずして、NFLからは無期限の出場停止処分を受けた。 2007年12月10日、連邦地裁はヴィックに禁固1年11月の刑を言い渡した。収監中の2008年11月13日、ヴィックの弁護士がヴィックは復帰を望んでるというコメントを明かした。 2008年1月8日、バージニア州の刑務所から、カンザス州の刑務所へ移送された。 2009年5月21日、刑期を2ヶ月残してカンザス州レブンワースの刑務所を出所し、自宅に戻った。刑期の残り2ヶ月間は当局の監視の下で自宅軟禁され、更に3年間保護観察下に置かれる見込みである。弁護団の1人によると、ヴィックは自宅に戻れたことを喜んでいるが、自宅軟禁期間中は、更生の一環として、建築会社での時給10ドルの労働が課せられた。NFLのロジャー・グッデルコミッショナーは、7月の刑期終了後に、改めてヴィックの処遇を検討することを明らかにし、復帰の条件として「ヴィックが世間に謝罪し、それが受け入れられる必要がある」とした。 ヴィックはNFL復帰を目指し、本格的なトレーニングを再開。アトランタ・ファルコンズのアーサー・ブランクオーナーは、ヴィックのNFL復帰を支持する意向を表明し、現役選手からもヴィックの復帰を歓迎する声が上がった。しかし、ブランク・オーナーはヴィックのファルコンズ残留の可能性については否定し、その後、実際にファルコンズはヴィックを解雇した。7月20日に刑期を終えたヴィックは、グッデル・コミッショナーとの面談を経て、28日に「周囲から得られる支援を最大限に生かし、人生とキャリアの再構築に専念すること」を条件に出場停止処分を解除された。ヴィックは代理人を通じて、「再び機会を与えてくれたことに感謝している」とコメントした。 なお、ヴィックは今後、全米動物愛護協会が展開している闘犬撲滅運動に尽力することを約束している。収監中のヴィックと面会した同協会のウェイン・パーセル代表によると、ヴィックは自らの犯した罪について深く後悔しており、闘犬の撲滅へ協力し、特に子供たちが闘犬に関わることを防ぐ活動に携わりたいと話しているという。 米国では動物虐待に対する批判が強く、闘犬は全米50州全てで重犯罪に指定されている。 そのため、動物愛護団体を中心にヴィックのNFL復帰に反対する人も多い。 ヴィックの復帰に関しては、復帰を容認する声が多数を占めつつあるものの、依然として賛否は分かれている。USAトゥデイが2009年5月に実施したヴィックの復帰の是非を問うアンケートでは、31%が「自身の贔屓チームでの復帰」、23%が「自身の贔屓チーム以外での復帰」、14%が「2010年シーズンまで復帰見送り」、33%が「永久にNFLに復帰すべきでない」という結果であった。 フィラデルフィア・イーグルスへの入団記者会見の際には、会見の冒頭で「自分がひどい罪を犯したことは分かっている。最悪な過ちだった」と、自身の罪について改めて謝罪した。
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