運用上の教義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 04:50 UTC 版)
フランス陸軍は、歩兵支援兵器よりもむしろ火砲としてミトラィユーズを使用した。任務には後、機関銃の役割も充当された。実のところフランス陸軍のReffyeミトラィユーズの制式名称は"le Canon a Balles"であり、この呼称を字義通りに訳すならば「銃弾を射撃する大砲」であった。 "Comparing the fire of the Mitrailleuse to that of the rifle is misunderstanding the role of the Mitrailleuse. This weapon must begin to fire with effectiveness only at ranges where the rifle no longer carries. It must, for the great ranges of 1000 to 2500 metres compensate the insufficiency of grapeshot."「ミトラィユーズの射撃を小銃のそれと比較するのはミトラィユーズの任務を誤解している。この兵器は、小銃が投射し得ない射程においてのみ効率的に射撃し始めねばならない。これは葡萄弾(火砲で運用する散弾)の不足する1,000mから2,500mの広い射程を補償せねばならない。」 —Auguste Verchère de Reffye. ミトラィユーズは砲兵によって開発されており、当然これは砲兵員が操作し、通常の4ポンド野砲を装備した砲兵部隊に付属された。各ミトラィユーズの砲列は6門の銃および6名の砲兵員から構成された。1名は正面左に立って銃を射撃する際、もう1名は正面右に立ち、掃射のために銃を水平方向へ旋回させた。他の4名の兵員は、照準、装填、および再装填に従事した。Auguste Verchère de Reffyeは一貫してミトラィユーズを砲兵用の兵器として見ていた。 "The use of the Mitrailleuse no longer has anything in common with that of normal cannon, the employment and task of this piece deeply modify artillery tactics… Very few officers understand the use of this weapon which, however, is only dangerous by the manner one uses it…The partisans of the mitrailleuse are found among the young who crewed them during the war; but there are far fewer among superior officers."「ミトラィユーズの使用は普通の火砲の常識的なそれとすっかり同じで、この部隊の運用と任務は砲兵の戦術を深く変更する。……ごく僅かな士官達はこの兵器の使用を理解し、しかし、それが孤立して使用された時にのみ危険である……ミトラィユーズの支援者達は、戦争中に砲兵員であった若者達の中に見出せる。しかし上級将校の中にはごく僅かである。」 —Auguste Verchère de Reffye, 1875. ミトラィユーズを火砲として戦場に投入するのは、致命的に欠陥のある概念だった。ドライゼ小銃による銃撃の命中弾を回避する指示により、ミトラィユーズの砲列は敵の散兵線から1,400m離して組織的に展開された。ミトラィユーズの最大射程が3,400mであるにせよ、彼らが交戦した距離はまれに2,000mを越えた。これはミトラィユーズが配属された従来のフランス砲兵隊には非常に短かった。しかしながらそれは遠すぎ、そのような長射程をミトラィユーズに備えられた二つの照準器でこなすには、距離の測定と目標の選択が極めて困難であるという事実をもたらした。たとえばミトラィユーズの弾丸が地上に着弾するのをこのような遠距離から観測するのは、敵兵の列が、彼らへの命中弾で混乱でもしない限り不可能だった。現代の機関銃がその最大射程より遙かに短射程で用いられることは留意されるだろう。例としてM60機関銃では最大射程が3,725mであるのと比較して通常の有効射程が1,100mである。対照的にミトラィユーズでは、しばしばこの射程より外部で、また光学照準器の装備なしに用いられた。Reffyeミトラィユーズが有する作戦運用上のこれらの欠陥は、普仏戦争の中で決定的に機能不全であることが判明した。
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