運用上の実例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 06:03 UTC 版)
サウジアラビアでは統治基本法において、憲法はクルアーンおよびスンナである、と明記されている。 マレーシアではムスリムのみ飲酒を罰する法律があり、飲酒を行うとカーディー裁判により罰金と鞭打ち刑が科される。非ムスリムは処罰されない。しかし、起訴される事例は極めて少なく死文法に近くなっている。 豚肉などハラームとなる食品などの販売を行う店も非ムスリムが非ムスリム向けに営業している場合には消費者保護法(ハラーム製品の輸入製造販売を禁止する法律)が適用されない場合がある。 ムスリム同士であっても宗派によって法律が異なることが多い。ワッハーブ派が主体のサウジアラビアの法体系においてもシーア派住民は法務省の下位機関であるシーア派裁判所でシーア派の法律による裁判権が認められている。ただし、シーア派に認められているのは24条の刑法と婚姻、遺産相続、ワクフのみであり、ワッハーブ派住民とシーア派住民の間で訴訟になった場合にはワッハーブ派の法が優先される。このように一国に複数の法体系による複数の裁判所が存在すると言う複雑な司法形態になっている国もある。 基本的に加害者がムスリム以外であっても被害者がムスリムの場合にはシャリーアが適用される。逆に被害者が非ムスリムで加害者がムスリムの場合、欧米法において犯罪行為であってもシャリーアにおいて正当行為であれば無罪となることが多い。 鞭打ち刑などシャリーアに基づく刑罰が行われると世俗派や他の宗教、欧米諸国からは非難されるが、非世俗派のムスリムからは支持される。多くのイスラム教国で厳格な刑罰が存続している背景には厳格な適用を求める自国民からの支持がある。中東などイスラム諸国では厳格な運用を求める国民が多いため、シャリーアの体制が維持されている。
※この「運用上の実例」の解説は、「シャリーア」の解説の一部です。
「運用上の実例」を含む「シャリーア」の記事については、「シャリーア」の概要を参照ください。
- 運用上の実例のページへのリンク