運用上の分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 04:46 UTC 版)
流れ込み式 河川の流量をそのまま利用するもの。発電所の出力は河川流量に比例し、任意での出力調整は難しい。総電力需要のうちベース部分をまかなう。比較的小規模なものが多い。 調整池式 日間・週間の電力需要変動に対応するため、需要の少ない軽負荷時に出力を落として貯水し、需要の多い重負荷時の発電運転に備えるもの。総電力需要のうちピーク部分をまかなう。年間流量に比較して中小規模な貯水量を有するダムを伴う。 貯水池式 豊水期に貯水し、渇水期でも安定した発電ができるだけの水量を確保するもの。調整池式が日間・週間の負荷変動であるのに対し、季節間の調整を行う。総電力需要のうちピーク部分をまかなう。年間流量に比較して大規模な貯水量を有するダムを伴う。 逆調整池式 調整池式・貯水池式の下流の流量変動を平滑化するために設ける逆調整池の落差を利用し、一定の出力で運転するもの。 揚水式 上下二つの調整池を持つもので、軽負荷時に下部調整池から上部調整池へ水をくみ上げておき、重負荷時に発電するものである。総電力需要のうちピーク部分をまかなう。 揚水発電には貯水池式水力発電をさらなる重負荷へ対応させるために揚水発電機を設置した混合揚水式と、上池を山の頂上近くなどに置いた自然流入量がほとんど無い純揚水発電がある。 揚水発電に対して、流れ込み式・調整池式・貯水池式・逆調整池式は一般水力発電あるいは自流式水力発電という。 揚水発電のエネルギー源は原子力発電所や大規模火力発電所の電力であり、一般水力発電の源は雨や雪を降らせる元になる海水を蒸発させた太陽エネルギーだという違いがある。つまり一般水力発電は再生可能エネルギーであるが、揚水発電は一種の二次電池(蓄電池)である。 揚水発電(揚水過程)の模式図電力需要が下がる深夜等の余剰電力で発電電動機をポンプとして回し、下部貯水池から上部貯水池へ水の汲み上げを行う。 揚水発電(発電過程)の模式図昼間・夕方などの高需要時間帯に上部貯水池から下部貯水池へ水を流し、発電電動機を水車として回し発電することで需給調整を行う。
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